パンデミック(パンダは何も悪くない)
どうしてこうなったの?
パンダミックは人類が考えられる全ての感染経路から感染する感染症だ。
これに感染した生物は“パンダ”になる。別に比喩的な表現なんかじゃない。
別にパンダになるだけだと思われてるのなら訂正せざるを得ないのだろう。
この感染症で人類は全滅したのだから。
ある日、ニュースでとある事件が報道された。
一家が全員行方不明になり、その人数と同じ頭数のパンダがその近くで確保されたというのだ。
あまりにも不吉な話ではあるのだが。まあ、考えられなくはないだろう。
パンダなんて今や動物園に行けば大抵はいる生物だ。
どこかの学者がパンダの最高効率な繁殖法を確保した。
それからというものパンダは相当リーズナブル、といったら違うが少なくとも珍しい生物ではなくなった。珍しいが買っている個人だっている。
問題はその付近で急激に行方不明者が増えたということだ。それどころか調査しに行った学者の集団までもが全員行方不明になった。
そして代わりに、その付近ではパンダが異常に増えた。
ある時、とある人がこういった。
「行方不明者がパンダになってるんじゃないの?」
その人は2日後に行方不明になった。
世界の叡智というのは常に驚かされるばかりだ。一ヶ月後には“そういう”感染症だと確定した。
それどころか変化のシークエンスさえ公開された。
そしてそれに関係した人間は全員パンダになった。
この感染症の恐ろしいところは、記憶持ちですらまともに対処できなかった事だ。
これのせいで請負人どころか特級請負人のほぼ半数が消えた。
そしてトントン拍子、とは言っても一年後だが、とある事が問題になった。
人間の子供が生まれないのである、研究所で強制的に受精させようが何しようが人間の子供が生まれない。
まぁ代わりと言っては難どころではないが、パンダが生まれるようになった。
いや、冗談じゃない。なんでこんなくだらない冗談を言わないといけないのか。
まぁつまり、人間はどんどんいなくなるのに、パンダは増えていくということだ。
そして最初の行方不明事件から十年後
地球から人類はいなくなった。
私を除いて。
大丈夫、私がいれば、大丈夫。
いつでもやり直せるから、やり直してあげれるから。
だから。何もしなかった私を許して。
記憶解説回、暫く続きます。