テンプレ展開で前世を思い出しましたが地雷でした
久々の投稿。お手柔らかに!!
…”地雷“と言う言葉をご存知だろうか?
言葉通り一般的に使われ指し示す意味は、「埋められた爆弾」「隠された爆発物」…といった辺りだろうか?
それに転じて、人の触れられたくないところ、知られたくない事を“地雷”と呼ぶこともあります。
…何故急にそんな話をしたか?単純に、私にも地雷があるからです。
申し遅れましたが、私はリナエル…公爵令嬢令嬢です。15歳ではあるが、精神年齢はプラス二十数年…つまり私は転生者です。
思い出したのは一昨日。
庭で盛大にズッコケて頭をぶつけたと言う、なんともまぁ面白くないテンプレで。
俗に言う俺TUEEEEEEでチートな無双系、某小説サイトでよくあるパターンですか、はいはい、なるほど把握。
…と行きたかったが、残念ながらそんな力は微塵も感じではありません。強い魔法でカッコいい冒険者…残念ながらそんな夢は破り捨てました。
ならば前世の知識で政治的チート…!なんて、夢のまた夢。私自慢じゃないですが、勉強って好きじゃなかったようです。
…何故、私は地雷と転生について話たか?それは目の前にいる彼…お見舞いに来たアルフ殿下が関係しています。
アルフ殿下と出逢ったのは…数年前、宰相を務める父様に「同年代の合わせたい方がいる」と連れられて城へ遊びに行った幼少期の事です。
幼い私はただ能天気に「きゃー王子様カッコいい」だったと思う。ただただ目をキラキラさせてたら、いつのまにか婚約者候補筆頭扱い。
その数日後から、家庭教師に知識を詰められる日々が待っていたのは言うまでもない。
…ズッコケた原因が、これから逃げる為だったとはなんともまあ恥ずかしい事です。
さて、色々脱線した気がいたします。
殿下は金髪碧眼で見目麗しく、ザ・王子様。
ここまでは何となく察した、ここは所謂乙ゲーの世界なのだと。そして私は、おそらく悪役令嬢か当て馬かその辺の役割だろう。ヒロイン?このつり目な外見でありえないですよね。
外見は好み、身分も釣り合う、悪役?上等!
目前にいる殿下と地雷、そして転生についての関係ですが…
「何か難しい事を考えてるみたいだけど、大丈夫?」
ああああああ!!!これです、これなんですよおおおおお!!!!
どう言えばいいでしょう?声優…いや、キャラクターボイス、所謂CVが地雷なんです!
「…リナエル?」
顔を抑えながら、沈む。
違うんですよ…声優とかCVが嫌いって訳じゃないんですよ…一種の独占欲?キャラAの声はAの声。キャラBがAの声なんてありえない…ありえなくないですか!?
いくら声優が演技上手で違う声が出ていたとしても…アルフ殿下、あなたのCV(キャラA)は別キャラ(キャラB)の声…推しのであってあなたの声ではない!
「殿下、声をかけないでください。」
「えっ」
殿下の間が抜けた声でハッとする。
あかん、不敬罪や。
「えっとそのあの…私はあくまでも筆頭であり正式な婚約者ではなくてですね、たかが軽傷でお見舞いに来ていただくのは他の御令嬢に申し訳がなく、更に自業自得で起きた出来事を労られるととても困惑致します。お見舞いにいらした事は、切実に感謝します。私は元気です。
ですがそれは実際に会いに来られるレベルの問題でしょうか?本来ならば、家臣である私が伺い現状を伝えなければなりません。私でなくとも、父様ならばお伝えするのではないでしょうか?我が家が職務怠慢と疑われるやもしれません。それに私と会う時間など価値があるとは思えません。他にもっと重要で学ぶべきことがあるのでは?このようなところにいるべきではありません。
私はとっても元気です。ご心配をお掛けいたしました。どうぞお帰りくださいませ。」
頼むから早く帰ってくれと言わんばかりに捲し上げる。
こう言う時の饒舌さだけは切実に感謝を覚えます。
「ええっと…帰って欲しいの?」
首を傾げる姿尊い…声さえ…声さえ違えば…!
「…なんで耳を塞ぐの?」
「はっ!?無意識に!!」
パッと手を外す。
その姿をみて、殿下は何か納得した様子。
身近な紙にスラスラと文字を書く。
[大丈夫?耳か頭が痛いの??喋らなきゃここにいいていいの??]
殿下賢い…
「そうです。殿下の心地良いテノール声を聴くと、クラウス様(前世の推し)を思い出していまうのです…是非声は出さないでください。」
殿下は訝しげな表情を一瞬した後、何かをスラスラ書いている。
[クラウス様?]
…しまった。この世界にそんな人…
[ケルティア男爵の長男?]
いないけど、同名の方がいらっしゃいましたか!セーフ…セーフ!!
間髪入れず、数回コクコクと頷く。
殿下は紙とペンを置き、立ち上がられる。ふうっ…ようやく思いが通じーー
「僕よりクラウスの方が大切なの?」
ヒェッ!顔近っ!?通じてない!!
「あのっ、殿下!この距離はちょっと!!」
ないんじゃないんですかああああ!!と大声で叫ばなかった自分を褒めて欲しい。
さっと後方へ身をよじると、合わせて前進してくる。ちょっ…出口はこっちじゃないですうううう!
「女性をみだりに追い込むのはとても不味いと思いますが」
「リーナ。」
ぞわわっと背中に悪寒が走る。
いい声!でもちゃうんや!!
目前には美形、退路はなし、声は地雷、後頭部はズキズキする。
「リーナ?」
顎クイ!?どこでそんな高等テクを!??
思考がぐるぐると回り…
「…はぁ?ご自分の立場と現状をご理解なさってますか?」
一周回って冷静になって来た。
「えっ」
素っ頓狂な殿下の声を無視して、顎の手を払う。そしてじっと前を見据える。
「何考えてるんですか?愛称で呼ぶ意味をご理解していますか?幼少期ならば、愛らしいで済みますがそんな歳ではありません」
「知ってる」
「ならば、ご自愛を!」
全く…ヒロインとどうせ仲良くなるならば、婚約破棄の過程がない方が近道なのに…
「…不満げな顔をしてもダメです。そしてここは私の寝室です。…侍女の一人も居ないのに…」
既成事実の噂でも浮上したらどうするつも…り?
…ん?あれ??
「侍女の一人もいない…!??」
「そうだね」
さあっと青ざめるのがわかる。
「…待って、扉閉まってない??」
「完全に2人きりでいるね」
ひっ…なんでこの方こんな冷静なんですか??
「僕が指示したからね」
あっこれあかん、はめられた。
「…リーナ?」
「……ひゃっ!?」
顔が熱くなるのがわかる。
耳元で呼ばれる上に、2次元系のご尊顔が目前。あっ無理、顔が良すぎて死ぬ。
だが脳が比定する。推しじゃない推しの声、目を閉じれば推しの…推しの…
「…リーナ??」
「…とお…とい」
ガクッと意識が遠くなった。
目前が暗くなる前に聴いた声は、クラウス様(前世の推し)が怪我をしたヒロインを必死に支えるシーンを彷彿とさせ、悔いがなかったとだけは報告しておきます。
メモ書きを完成させたもの。
テンプレですが楽しんでいただければ幸いですm(__)m