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003/街符長(ハイカードリーダ)を討つ≪明るく踊る鼠≫【女子中学生な異世界転移者/スリープ】

異世界転移して悪徳領主と戦います

「まずやる事は、御祖父さんの持って居た≪神符ゴッドカード≫の能力検証」

 僕の言葉にカードが首を傾げる。

「それって向こうのTCGと同じじゃないの?」

「≪符闘カードバトル≫では、そうだったとしても、普段使う時の検証をしないといけない。その為にも≪神恵デッキ≫に≪恵力エナジー≫が溜まるのを待たないといけない」

 僕は、御祖父さんから姉妹三人共に受け継いだ≪神恵≫を見る。

 TCGの時は、最初とその後、先攻後攻のターン終了後にフィールドにあった≪恵力≫が追加されていた。

 残り少ない時間で御祖父さんから聞き取り調査した限りこの≪ドーカ≫の世界にも時間の概念は、ある。

 一日の始まりを四時として二時間区切りの命/火/水/風/土/木の六刻、昼間を光、夜を闇と表現した十二刻で一日になる。

 場所によって溜まる量は、異なるが該当する属性の恵力が得られる場所ならば、一刻で最低一は、溜まるらしといっていたので確認していたが、確かにあっているようだ。

 因みに暦は、この世界の神様、≪名神ナジン≫/≪布神フジン≫/≪百神オジン≫/≪波神ハジン≫/≪月神ゲッジン≫/≪杖神ジョジン≫を順番に一旬とし、その中で属性色を週、属性種別を日とする。

 こっちの暦と対応させるとなると一月一日は、名神/白/光になる。

 ただ、日にちなのだが、白の場合、闇が無く、黒の場合、光が無く、そして桃の場合、命が無い七日であり、他の色が八日、詰り一旬が61日になって一年が大凡366日になる。

 偶々地球に近いのかと何気ない質問をした時に≪百神≫曰く、あまり一年の日数が違うとバイオリズム的問題で体に変調を来す為に比較的近い環境の世界に御祖父さんを異世界転移させたとあっさりと答えてくれた。

「あの≪百神≫ちゃんは、お祖父ちゃんには、親切よね」

 老若男女構わずエッチの相手にする節操無し姉さんは、≪百神≫について好意的だ。

 しかし、僕は、違う。

「御祖父さんにそうだったからといって全ての人々にそうだとは、限らない。特にこの世界の人々に対して」

 僕がそう口にするのにも根拠がある。

 御祖父さんとの契約不履行の交渉の対応がそれだ。

 ≪百神≫がこの世界の人々に対して好意的ならばもっと御祖父さんに対して資料の製造を促すのが当然だ。

 しかし実際は、違った。

 促すどころか、寿命を縮めるから止めた方が良いみたいな事を口にしている。

 そんな気配は、詳細を決めている時にもあった。

 僕達がするのは、あくまで低レアで高レアに勝つ方法だけであり、その他の科学技術等の供与は、禁止されている。

 ≪百神≫自身は、上位世界の知識の浸食が下位世界を歪にするからと正論を言っていた。

 これは、地球でもあった事だから間違っては、いない。

 でも、少しでも良い生活をさせようとする気持ちが全く感じられなかった。

 これが≪百神≫が全ての人間に対しての冷酷だが、公平な態度なら神としてしかたないとも思えるだが、そうでもない風に感じられた。

 その良い例が低レアでの戦い方を習いたいって人への助力は、基本的に好きにしていいって内容だ。

 ただ単に公平なだけならば低レアでの戦い方を習いたいって人への助力すら禁止すべきなのだ。

 そんな事を僕が考えて居るのを知ってか姉さんが言ってくる。

「≪百神≫ちゃんは、絶望的な状況でも努力する人間には、優しいのよ」

 その言葉が指す意味は、ある意味嫌な意味で大きい。

「つまりこの世界の人々の多くが神様に見捨てる程に問題ある精神構造をしてるって事です」

「だから、最後まで行かなくても良いって態度だったじゃないかしら?」

 姉さんの指摘は、あっているのだろう。

 僕は、大きなため息を吐く。

「僕達は、神様すら見捨てる様な人たちを相手にしなければいけない。前途多難」

 予測は、してたんだ。

 元の世界と構造が違うって言ってレア度の暴力で支配された世界が真っ当な訳がない。

 そう気分を暗くする僕を見てカードが笑顔で言ってくる。

「大丈夫。≪符闘カードバトル≫で勝てば良いんだったらあちきがどうにかするから!」

 漫画の様な単純な事を考えて居る。

 でもある意味正しいのかもしれない。

「そう。この世界にとってレア度が全て。それだけに相手の≪神符ゴッドカード≫を奪える≪符闘≫で勝ち続ければなんとかなる筈」

 本当に漫画やゲームの様な考え方だが、それがまかり通って居たからこの世界は、神様に呆れられてしまった。

 そんな状況を改善さえすれば未来が見える。

「その為にも必要な事がいくつもある」

 そういって僕は、この世界に持って来たキャンピングカーを見る。

 色々と詭弁を使って持って来たのは、良いが最悪、埋めて隠す事になる。

 何故ならば燃料が確保出来なければ動かせないからだ。

 でも燃料には、あてがあった。

 そうしている間に≪神恵≫の≪恵力≫として黒が二つ溜まった。

 僕は、≪一時の双子≫、レア度2/黒二の≪神符≫を取り出す。

「それってTCGだとレア度3までのカードを1ターンの間だけ複製するって奴だよね」

 カードがTCGでの能力を説明してくる中、僕は、用意して置いたガソリン入りのポリタンクに向けて使ってみる。

「≪一時の双子≫≪符現パワー≫対象は、ガソリンが入ったポリタンク」

 すると手元のカードが光ったと思うと足元にガソリンが入ったポリタンクが置かれていた。

「そうやって増やして使うつもりだったのね」

 納得顔の姉さんと違ってカードが眉を顰める。

「でも、カード効果が同じだとしたら、1ターン、最長でも二時間で消えるんじゃない?」

「その可能性が高い。だから姉さんもやって」

 僕がカードをしまって言うと姉さんも同じ手順でガソリン入りポリタンクを複製した。

「こうやってずっと複製を続けるの?」

 僕は、首を横に振り、空のポリタンクを一つ出して、後から姉さんが出したポリタンクの中身を移す。

 そして一刻、二時間後それが起こった。

 最初に僕が呼び出したガソリン入りポリタンクと姉さんが呼び出した空のポリタンクは、消えた。

 しかし、移したガソリン自体は、消えなかった。

「どういう事?」

 首を傾げる姉さんに対してカードが手を叩いて声をあげる。

「そっか、複製したカードをコスト代わりに召喚したモンスターや≪神符≫効果は、ターン終了後も残る。だから複製したままなら消えるけど、使用した状態にする事で残せるんだ!」

 僕が頷く。

「賭けだったけど正解だった。むこうから持って来た貴重品のストックを作るよ」

 こうして僕達は、一晩中貴重品のストック作りをした。

 まあ、カードは、零時を超す前に寝てしまったが仕方ない。

 他にも御祖父さんが≪符獣狩人カードハンター≫だった時、持ち運べない大型の≪符獣カードビースト≫を手に入れた時に≪神課ゴッドテスト≫を達成したとして手に入れた≪魔法の小箱≫、レア度3/黒三は、TCGでは、ただ五枚という手札限界を超して手に入れる為だけの使いづらいと評判のカードだったが、こっちでは、何でも一つだけ入る便利な≪神符≫だった。

 試しにキャンピングカーを入れたら確り入った時には、流石に驚いた。

 同時にこれで隠すのに困らないと安堵した。



 御祖父さんとの別れの夜が過ぎ、朝を迎えたが僕達だが、直ぐには、移動しなかった。

「早く低レアの戦い方ひろめにいこう!」

 そう主張するカードに僕が現実を突きつける。

「僕達には、お金が無い」

「そんな物が無くなってどうにか……」

 カードの反論に被せる様に僕が告げる。

「街に入るには、お金が必要」

 このドーカの世界には、倒す事で≪獣符ビーストカード≫になる≪符獣≫が無数に存在する。

 それらは、倒されて≪獣符≫にされる事を知ってるのか、人間を見ると戦うか逃げるかするらしい。

 無数の≪符獣≫に何時襲われるか解らない状況で生活なんて出来ない。

 だからこの世界の人々は、≪神符≫の加護を使う。

 ≪符長カードリーダー≫と呼ばれる人々が居て、その人達が持つ≪神符≫の能力で≪符獣≫を近づけなくする結界を集落等に張る。

 その為、その結界内に入るには、お金が居る事が多い。

 外からの物資が命の村や町単位は、別として、千人を超す街クラスになるとほぼ間違いなく入門料が発生する。

 その事を説明すると複雑そうな顔をするカード。

「でも、こっちのお金ってどうやって稼ぐの?」

「御祖父さんのお仕事を真似する」

 僕の答えに姉さんが納得する。

「つまり、≪符獣狩人≫をやるのね」

「まあ、まだ資格をもっていませんが、御祖父さんの話では、最初に一体を狩って持ってくことで資格が得られるって話だから問題ない筈」

 実は、その資格を得る為に最初に街に入る時の入門料をどうするかの問題が残っているが、これは、その場で交渉するしかないと考えて居る。

 目的が決まれば行動は、早く、キャンピングカーをベースに≪符獣≫を探索、見つけた所で姉さんが前に出る。

「≪風切る剣≫≪符現≫」

 姉さんの手に僕が知識として知る件より刃が長い剣が現れる。

 それを手に、見つけた≪符獣≫≪真直ぐ突撃する牛≫レア度3/黄2桃1の前に立つ。

 こっちを見つけた≪真直ぐ突撃する牛≫は、一切の躊躇なく特攻を仕掛けてくる。

 姉さんは、それを直前で横に躱す。

「終わったみたいだよ」

 カードがそういうと突撃を躱された≪真直ぐ突撃する牛≫が倒れる。

 姉さんは、少し様子を見てから≪神恵≫を当て≪獣符≫として回収する。

「何をしたの?」

 僕が確認すると姉さんが笑顔のまま答える。

「すれ違い様に首を切っただけよ」

 あっさりいうけどそれってかなり凄い事の筈。

「ドー姉、伊達にエッチじゃなければ武士道道場の後継者って言われていないね」

 カード本人は、純粋に褒めているつもりなんだろうが、姉さんが苦笑する。

 姉さんは、僕達姉妹の中でも一番武士道道場との繋がりが強く、御祖母さんの弟である道場主の一番弟子とも言われている。

 ただ、生活態度に問題があるって道場での指導は、させて貰えてなかった。

 その生活態度の問題っていうのが、物凄いエッチ好きな事。

 やり過ぎて死んだ両親の血をより濃く継いでいるいると言われる姉さんは、老若男女関係なくそういう事をする人で、門下生がその毒牙にかかっては、いけないと指導関係には、ノータッチになってると聞いて居る。

「さて妹達を養うんだからもっと頑張らないとね」

 気合いを入れる様に後ろ髪を束ねる姉さんだった。



 数日の≪符獣≫討伐でかなりの数が集まった。

「カードの≪底無しの器≫があって本当に助かったわね」

 姉さんがしみじみというが本当である。

 そうでなければ年齢+1、元から持って居るカードを考慮に入れれば三人合わせても十体で打ち止めだった。

 姉さんが走らせるキャンピングカーの助手席で今後の予定を考えて居ると後部と繋がるドアが開いてカードが言ってくる。

「街が見えたよ!」

 その声に僕は、開いていたノートパソコンを閉じる。

「ここからは、歩きだね」

「えー、こっから歩いたら一時間以上かかるよ!」

 不満の声をあげるカードに姉さんが言う。

「車を使ってるのを他の人にみられるのも問題でしょ。下手をすると≪百神≫ちゃんに取り上げられてこの後ずっと歩きになっちゃうわよ?」

「……解った」

 しぶしぶ納得するカードと共にキャンピングカーを降りる。

「≪魔法の小箱≫≪符能≫キャンピングカー」

 姉さんがキャンピングカーをしまってから僕達は、街に向かってあるいいく。



「スー姉、大丈夫?」

 入門審査待ちの行列を離れた木陰で休む僕の所にカードが走ってくる。

「もう順番来た?」

「もう終わったよ」

 カードの答えに僕は、眉を顰める。

「終わったって入門料も無いのにどうして?」

 カードが首を傾げる。

「なんかドー姉と審査員の人が隣の部屋に行ったと思うと少しして戻ってきたら三人とも特例で入れてくれるって事になってた」

 僕は、入門許可の木札を三人分もった姉さんに近づくカードに聞こえない様に言う。

「カードが居る所でそういうのは、止めて」

 姉さんは、あさっての方向を見て呟く。

「妹には、手が出せない為の仕方ない鬱憤解消法だったのよ」

 カードや僕にエッチな事をしてくるよりは、ましだが、きっと姉さんは、入門料かわりだって審査員の人とエッチな事をしたんだ。

 こんな事情をカードに知らせる訳には、いかないのでそれ以上突っ込まず街に入る。

 街に入ると剣と魔法のRPGの世界の街並みが広がって居た。

 当然と言えば当然だが、カードなんて目を輝かせて今にも走り出しそうだった。

「まずは、お金を手に入れないとね≪符組カードギルド≫の場所をきかないと……」

 僕がそんな事を呟いている間に姉さんは、近くを歩いていた女性に甘い声で話しかけていた。

「運命ってあるんだよ思うよね? この出会いは、≪月神≫が下さったあたしへのご褒美だと思うのよ」

「そ、そんな事は、ないですよ!」

 同性に言われたっていうのにその女性は、顔を真っ赤にしている。

「何時も思うけど姉さんは、どうして老若男女関係なくもてるのだろう?」

 僕の疑問にカードが少し考えてから口にする。

「きっとそこに愛があるからだよ」

「随分と薄利多売な愛だね」

 僕が半ば呆れている間に姉さんが戻ってきた。

「≪符組≫の場所のついでに良い宿の確保は、終わったわ」

 僕は、深いため息を吐いてしまう。



 ≪符組カードギルド≫とは、国家の縛りを越えた組織で街以上の場所には、まず支所があり、そこで≪獣符≫の売買を始めとする≪神符≫と≪獣符≫に関わる様々の事を行っている。

 ≪符獣狩人カードハンター≫の資格もここで貰える。

 僕達は、当座の活動資金を得る為にここに来た。

「いらっしゃい! 今日は、どんな様かな?」

 受付でそう対応してくれた幼い顔立ちの女性の頭には、兎の耳が生えていた。

「兎の獣人……」

 思わずそう漏らしてしまってから口を押える。

「気にしなくても良いわ。チーピ王国が人以外も受け入れているっていってもまだまだ他種族は、珍しいのは、当然だからね」

 全く気にした様子を見せない受付の女性の手を握る姉さん。

「そうは、行きません。妹の無礼を謝罪する機会を頂けませんか?」

「同性でもナンパお断り」

 笑顔のまま即座に断わる受付の女性。

「それで本当の要件は?」

 姉さんが拙い物を感じたのか下がったのを見て僕が交渉に入る。

「そこの姉、ドローの≪符獣狩人≫申請と≪獣符≫の買い取りをお願いします」

 受付の女性が僕の表情を見た後、姉さんの体を上から下まで見てから頷く。

「倒した≪獣符≫を見せて貰える?」

 僕達は、それぞれの≪神恵≫から数枚ずつ分けて≪獣符≫を取り出す。

 ≪獣符≫を確認してから受付の女性が応じる。

「申請は、問題ないから≪神恵≫を出して。買い取りだけど少し問題があるわ」

 姉さんが早速≪神恵≫を差し出し登録する中、僕が確認する。

「問題ということは、通常とは、異なるって事ですよね?」

 受付の女性が頷く。

「そう。他の支所じゃない話。まず自己紹介しておくわ。あたしは、ここの支所で長く勤めている兎の獣人でラサ。問題っていうのは、この≪中符ミドルレア≫の≪吠え猛る狼≫が税として徴収する事になるって事よ」

 ≪吠え猛る狼≫レア度4/紫3桃1、今回狩った中でも一番レア度が高い≪符獣≫。

 高額でも買い取りを期待していたけど、この口ぶりからすると単純に金額的な話しじゃない。

「税って事だけど、他の≪獣符≫二枚って訳には、いかない?」

 念の為の確認にラサさんは、苦々しい表情で頷く。

「そうね。≪中符≫のこれじゃないと駄目ね」

「一番強い≪獣符≫を取り上げて自分達が常に勝つって事?」

 不満たっぷりのカードの言葉にラサさんは、自分自身が納得していないだろう言葉を口にする。

「それがこの街での税の取り方よ」

 弱者から一番良いカードを奪い、より戦力を挙げて勝ちやすくする正に大貧民。

 それでも僕は、少しは、安心する。

「そうこの街だけの特色な税の取り方なんだ」

「何で嬉しそうな顔をしているんですか?」

 怪訝そうな顔をするラサさんに僕は、答える。

「他の街は、この街程に腐ってないって証拠ですから。それで問題ないので買い取りをお願いします」

「本当に良いの? 他の街にいけば金額的にももっと儲かるわよ」

 確認してくるラサさんに僕が肩を竦めて見せる。

「残念ですけどその他の街に行くまでお金がもたない」

 口には、出さないがそれどころか今、無一文だ。

「そう本当に残念ね」

 そういってラサさんは、買い取りをしてくれた。

 買い取った≪獣符≫をラサさんは、≪符組≫と一部の富裕層しか持てない≪符箱カードボックス≫に入れる。

 ≪神恵≫に入れておかないと≪獣符≫は、長時間放置すると消滅してしまうからだ。

 だからこそ、≪獣符≫の買い取りは、≪符組≫でしかおこなっていない。

「≪低符≫の3が五枚と2が十枚で板銀が六枚。内訳は、3が一枚で板銀一枚、2が一枚で円銀が一つよ」

 ラサさんがそういって板銀六枚を積み重ねるこっちに押し出して来る。

 それを受け取り僕が頭を下げる。

「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」

 ラサさんは、少し驚いた顔をしながらも頷いてくれる。

「これからもよろしくしてくれるのだったらこちらも助かるわ」

 そうだろう、誰も好き好んで一番高い≪獣符≫を税として取り上げられる所で買い取りなんてしないだろうから。

 きっとこの街には、あまり≪符獣狩人≫が居ない筈。

 そんな事を考えながら僕が買い取りをやっている間に暇だったのか周りを見て回っていたカードの所に行く。

「≪神課≫の情報や近くにいる≪符獣≫の情報なんて言うのも提示しているんだね」

「そうした方が≪符組≫で取り扱える≪神符≫や≪獣符≫が多くなる」

 僕がそう答えながら傍に見えている売りの一覧として書かれた≪神符≫を見る。

 どれも≪低符≫であるが、そこそこの値段になる。

 逆言えばそこそこの値段でしか売れない。

 御祖父さんの話では、誰でも成人すれば三枚の≪神符≫が持てるが、同時に三枚以上の≪神符≫を持つ者は、多くない。

 御祖父さんみたいに≪符獣狩人≫して≪神課≫を達成する者や特別な≪神課≫を達成して≪神符≫を手に入れる≪符探究者カードクエスター≫くらいだろう。

 因みに≪符探究者≫もまた貰えるのが不定の≪低符≫の例の三つ以外≪神課≫を達成して≪神符≫を一枚でも獲得しそれを≪符組≫に報告する事で資格を得られる。

 ≪符組≫で同じ様に資格を与える物には、もう一つある。

 カードは、その情報が書かれた場所に行く。

「ここのてっぺんにあちきの名前を乗せるのが当座の目的だね」

 ≪符闘者カードバトラー≫、≪符闘≫を行い一勝でもする事が資格条件。

 御祖父さんが成ろうとして結局なれなかった職業。

 一番多い≪符獣狩人≫やそこそこ数居る≪符探究者≫と異なり絶対数少ない≪符闘者≫の主な仕事は、どうしようもない理由で≪符闘≫を行う富裕層に代わって≪符闘≫を行う事。

 そしてカードが見るのは、その勝率が高い人のランキング。

「いくらになりました?」

 姉さんが尋ねて来るので手に入れた銀板を見せて答える。

「銀板六枚。そこそこの収益だけど本当だったら多分、倍くらいは、稼げたかも」

 こっちは、貨幣は、次の様になっている。

粒銅=十円

円銅=百円

板銅=千円

円銀=一万円

板銀=十万円

円金=百万円

板金=千万円

 大体の目安で物価もかなり違う。

 御祖父さんの時から物価が変わって無ければ、庶民は、板銅までで日々の暮らしを過ごす。

 円銀すら一生持つ事もなく終わる人だっているらしい。

 ≪符獣狩人≫は、比較的儲かる職業と言える。

「まあ、仕方ないわ。税の徴収が真っ当ならばもっと増しな街でしょうからね」

 姉さんがそう言いながら売り出し≪神符≫のリストを見る。

 そこそこの値段でしか売れないのに一生で三枚しか手に入れて居ない≪神符≫を売ろとしている人が多いって事は、そういう事なんだろう。

「とにかく疲れたから今日は、宿に行こう」

 僕は、仕方ない事とは、いえ一時間以上もろくに整備されてない街道をあるいて棒になった足を引きずるのであった。



 姉さんが決めていた宿≪旅人の靴休め亭≫は、大き過ぎず小さすぎない旅人向けの宿。

 三人一部屋一泊二食付きで円銀三枚(三万円)だから良心的な宿だろう。

 そしてやはりと言うか街の入り口であった女性、リッハさん十七才の親が経営している宿だった。

 宿に到着直後に野暮用があると姉さんが消えた後、遠くの方からまだ早い時間だっていうのに妖しげな声が聞こえて来たのは、無視しておこう。

 そして部屋で棒になった足を休めている僕の横では、カードが≪神恵≫のカードリストを拡げて色々と戦略をねっている。

「最初の目標は、≪高符ハイレア≫を持つ≪街符長ハイカードリーダ≫だけど、今のデッキで勝てる?」

 僕の確認にカードがあっさり頷く。

「多少、≪神符≫が物足りないけど、でも勝つよ。その為に今日は、十六枚しか≪獣符≫を売れなかったんだから」

 姉さんが狩った≪符獣≫は、もっと多い。

 しかし、その多くをカードが自分で使うからと言う事で売らない事にした。

「でも勝負勘を鍛えたいから少し野試合したいかな?」

 カードのその容貌は、こちらの予測と違う形で叶う事になる。

 もしかしたら姉さんの選んだ≪極符レジェンドレア≫≪必然の出逢い≫の効果なのかもしれない。



 翌日、僕達は、街の様子を調査する為に三人で歩いていた。

 そして解ったのは、一つ。

「寂れつつある」

 僕の言葉に姉さんが頷く。

「リッハちゃんの話じゃ、前の≪街符長≫は、出来た人間だったらしいけど、その人が亡くなって今の≪街符長≫に代わってから色々と税が増えたそうね」

「悪代官の負の連鎖って奴だね」

 カードがあっさりそう結論付けるが多分間違っていない。

 税収を増やそうと税を増やす、しかし税が増えた事で取引が減って税収が思う様に伸びない。

 だからさらに税を増やすと更に取引が委縮し、それだからと更に税をって感じの悪循環。

 特に機能の≪符組≫でやって居た様な一番強い≪獣符≫を税として強引に取り上げるなんてやり方をしたら一定の収入がある≪符獣狩人≫なんて他所の街に行ってしまう事だろう。

 そして残るのは、この街でしか生きられない低所得者、詰り納税能力が低い者達になる。

 原因に気付かない≪街符長≫は、更に税を増やそうとするだろうがそれをしていけば間違いなくこの街は、終わりに近づく。

 なんというか僕達の目的になんとも合致した街に来てしまったという座りが悪い感じが拭えない。

 言うなれば≪百神≫の掌で踊らされている気がしてならないからだ。

 姉さんなんかは、最早諦めつつある気がする。

 そしてカードは、見つけてしまうこの≪百神≫が用意しただろう絶好の舞台を。

「さあ、誰か私と≪符闘≫をしないか!」

 街の広場で高そうな服を着た男が数人の供を連れてそう公言している。

 一般人は、あまり≪符闘≫をしない。

 ≪符闘≫は、この世界の場合、親から子に貴重な≪神符≫を渡す為の八百長が主である。

 後は、権力者同士の争いに使われるか一部の権力者が弱き者を虐げるのに使われるかくらいであり、今回のは、後者である。

 いつの間にかに離れていた姉さんが近くの男性に胸を押し当てながら聞き出した話によるとあの男は、コアト=ハイ=ファスト、24歳は、この街の≪街符長≫チュアト=ハイ=ファストの長男であり、後継者。

 そして強い≪獣符≫が手に入ると決まって今回の様に領民相手の≪符闘≫を≪神符≫を奪う。

 正に悪代官の息子を体現している。

 この世界では、ミドルネームを持つのは、≪高符≫以上の≪神符≫を継承している家の人間で、継承する≪神符≫のレア度をつけている。

「どうした上手く行けば私の持つ≪中符≫が手に入るかもしれないのだぞ?」

 そんな事を少しも思って居ないだろうコアトにカードが路地の所から≪炎の矢≫レア度1/赤1を取り出し≪闘符≫を挑む言葉を口にする。

『月神のもたらせし巡り合わせの元に己が高みを示さん』

 この宣言に対して拒否するには、よりレア度が低い≪神符≫を提示する必要があるのだが、レア度1の≪神符≫を提示された場合、拒む事は、出来ない。

 この時点で警戒する必要があった筈なのにコアトは、おかしそうに笑いながら言う。

「小娘が折角手に入れたばかりの≪神符≫を無駄にするか! 良いぜ、受けてやろう!」

 コアトがレア度4の≪神符≫を賭けの対価として提示した。

『名神よ我を闘いの場に導き賜え』

 カードのこの宣言で二人は、消えた。

 暫くすると上空にでかでかと映像が映し出される。

 今回の≪符闘≫を公開で行う事にコアトも承諾した証拠である。

 この公開は、≪神符≫以外も賭ける事になった時のみ必須になる。

『絶対に負けるのが解って居るのに負けた方は、勝った相手が許すまで≪符闘≫を続けるなんて条件をつけるなんて馬鹿か?』

 公開されてるコアトの言葉を無視してカードが進める。

『布神よ我の闘争の間を拡げ賜え』

 二人の前の前に場が形成される。

『杖神よ我が魂杖を顕現させ賜え』

 賭けた≪神符≫が≪魂杖ソオルロッド≫に変化する。

『波神よ我が符を使う事を許し賜え』

 手札が最大数五枚まで≪符産ドロー≫される。

『百神に誓わん、正しき研鑽を始めんことを、符闘カードバトル

 そして≪符闘≫が始まる



01巡目/先攻  白黒桃赤青紫緑黄

戦場=昼の路地  30101221

先/魂杖01   30101221

符=銀2:白1桃1/銀2:白1桃1/金2:黒2/銀3:紫2桃1/銀3:紫2桃1

主場:

上空:


後/魂杖04   30101221

符=銀4:紫3桃1/銀3:黄2桃1/金3:青2緑1/銀3:黄2桃1/銀3:黄2桃1

主場:

上空:



 先攻は、レア度が低いカード。

 TCGと違いフィールドは、今いる場所になる為、フィールド選択権は、ないのが不利だが、カードに言わせれば≪魂杖≫にする≪神符≫を選べる分楽らしい。

『≪明るく踊る鼠≫≪符召コール≫』

 カードのエースモンスター、≪明るく踊る鼠≫レア度2:白1桃1が主場に≪符召≫される。

『≪明るく踊る鼠≫≪符攻アタック≫』

 ≪明るく踊る鼠≫の攻撃で≪魂杖≫を減らすがコアトは、ヘラヘラと笑ったままである。

符鎮エンド

 カードのターンが終るとコアトも直ぐに宣言する。

『符鎮』

 これですぐさまカードに手番が移る。

符産ドロー

 小さく新たに≪獣符≫レア度2:白1桃1を引いたカードが微かに安堵の表情を浮かべる。


03巡目/先攻  白黒桃赤青紫緑黄

戦場=昼の路地  30101221

先/魂杖01   50102442

符=銀2:白1桃1/金2:黒2/銀3:紫2桃1/銀3:紫2桃1/銀2:白1桃1

主場:明るく踊る鼠/2/白1桃1

上空:


後/魂杖03   60202442

符=銀4:紫3桃1/銀3:黄2桃1/金3:青2緑1/銀3:黄2桃1/銀3:黄2桃1

主場:

上空:


『≪明るく踊る鼠≫≪符能パワー≫』

 カードが≪明るく踊る鼠≫の特殊効果で新たな≪明るく踊る鼠≫を手札から≪符召≫するがそこで終わらない。

『≪明るく踊る鼠≫≪符能≫』

 三体目の≪明るく踊る鼠≫が召喚され。

『≪明るく踊る鼠≫≪符攻≫』

 三体目の≪明るく踊る鼠≫の攻撃で二本目の≪魂杖≫が失われると流石にコアトも舌打ちを打つ。

『≪低符≫の≪符獣≫ばかりならべやがって! 直ぐに無駄だと解らせてやるよ』

『≪群れ成す烏≫≪符召≫上空』

 最後に≪群れ成す烏≫レア度3:紫2桃1を≪符召≫するカード。

『符鎮』

 カードのターンが終り自分のターンに移った所でコアトが高笑いがあげた。

『これでもう決まりだ。どれだけ≪低符≫の≪符獣≫を並べた所で≪中符≫の≪符獣≫の前では、無力だ! ≪吠え猛る狼≫≪符召≫』

 昨日僕達から税として徴収した≪獣符≫を試しに来てたのか。

 正に必然の出逢いだった。

 コアトが自分の主場に≪符召≫された≪吠え猛る狼≫を誇る。

『こいつを倒せない限り私の≪魂杖≫は、これ以上減る事は、ない! 詰りお前の負けだ! ≪吠え猛る狼≫≪符攻≫』

 ≪吠え猛る狼≫の攻撃で≪明るく踊る鼠≫が一体減った。

『いくらでも≪低符≫の≪符獣≫並べやがれ! 全て俺の≪吠え猛る狼≫で叩き潰してやるからよ! 符鎮』

『符産』

 カードが手札を補充する。


05巡目/先攻  白黒桃赤青紫緑黄

戦場=昼の路地  30101221

先/魂杖01   60103463

符=金2:黒2/銀3:紫2桃1/銀3:黄2桃1

主場:明るく踊る鼠/2/白1桃1・明るく踊る鼠/2/白1桃1

上空:群れ成す烏/3/紫2桃1


後/魂杖02   90203263

符=銀3:黄2桃1/金3:青2緑1/銀3:黄2桃1/銀3:黄2桃1

主場:吠え猛る狼/4/紫3桃1

上空:


『いま、貴方は、負けないで済む道を自ら放棄したよ』

 カードの言葉にコアトが顔を歪める。

『何を意味不明な事をいっているんだ?』

『貴方は、さっきの手番でもう一体≪符獣≫を≪符召≫出来た。それをしなかった事が敗因だっていっているの』

 カードの説明にコアトが声を荒げる。

『ふざけるな! ≪吠え猛る狼≫を≪符召≫した時点で私の価値は、確定だ!』

『その考え方が間違っているって事を今から証明してあげる。≪群れ成す烏≫≪符召≫上空』

 カードの上空に二体目の≪群れ成す烏≫が≪符召≫された。

『また≪低符≫の≪符獣≫じゃねえか! そんなのが何体居ようと関係ねえ!』

 コアトが怒鳴る中、カードが告げる。

『≪群れ成す烏≫≪符能≫』

 ≪群れ成す烏≫の特殊効果が発動する。

 上空に居た二体の≪群れ成す烏≫が同時に≪吠え猛る狼≫を攻撃し、倒す。

『嘘だ! 何で≪低符≫の≪符獣≫で≪中符≫の≪符獣≫を倒せるんだ!』

 信じられないって顔をするコアトに対してカードが説明する。

『≪群れ成す烏≫の特殊能力だよ。≪群れ成す烏≫は、紫2の恵力を消費する事で同名≪符獣≫全部と同時攻撃が可能になる。≪群れ成す烏≫の紫、風の属性力は、2それが二倍になって4になり、≪吠え猛る狼≫の紫、風の属性力3を上回ったんだよ。そしてあちきの主場には、まだ≪符獣≫が残って居る。≪明るく踊る鼠≫≪符攻≫』

『ま、待て! 私は、このストファの次期街符長なんだぞ! 私に勝ってタダで済むと思って居るのか!』

 ≪魂杖≫が最後の一本になったコアトは、自分の身分を盾に攻撃を止めさせようとするがカードには、そんな物は、関係ない。

『≪明るく踊る鼠≫≪符攻≫』

 カードの最後の宣言でコアトの最後の≪魂杖≫が失われ、次の瞬間、二人供が戻ってくる。

 御付きの人間が慌てる中、コアトがカードを睨む。

「こんな事をしてタダで済むとおもうなよ! 父上に言ってお前を処刑してもらうんだからな!」

 それに対してカードが笑顔で応える。

「そんな事より、≪符闘≫で賭けたのは、≪神符≫だけじゃなかったの忘れた?」

カードは、勝ち取った≪神符≫をピラピラと見せながら問う。

「約束って何を言ってるんだ?」

すっかり忘れているコアトにカードが言う。

「負けた方は、勝った方が許すまで≪符闘≫を続けるって奴。さて始めましょうか」

 カードは、そういってさっさと二戦目を始める。

 この世界の≪符闘≫では、≪獣符≫は、一度しか使えない。

 ≪吠え猛る狼≫を使ってしまったコアトにカードに勝つ術が無く、最後の一枚になるまで≪神符≫を奪われるのであった。



「≪符闘者≫としての登録をお願いします」

 ニコニコ顔のカードの要求に≪符組≫の受付、ラサさんは、なんとも言えない顔をする。

「≪符闘≫に勝利した以上≪符組≫としては、問題ないですが。大丈夫なんですか?」

 ラサさんが忠告と共にその対象がやってくる。

 ごつい兵士達を連れてやってきた肥えた男、太っているがコアトとの血縁を感じさせる顔立ちをしたそいつが怒鳴る。

「強奪したなんて正式に≪闘符≫で勝ち取っただけです」

 全然怯まないカードに対してそいつ、コアトの父親でこのストファの≪街符長≫、チュアト=ハイ=ファストが言う。

「小娘が≪高符ハイレア≫を持つ≪街符長≫がどれだけの存在かをその身で教えてやる!」

 そういってチュアトは、レア度5の≪神符≫を見せて宣言する。

『月神のもたらせし巡り合わせの元に己が高みを示さん』

 それに対してカードは、レア度2≪一時の双子≫を見せて言う。

「拒否します」

 呆然とするチュアトを他所に≪符闘者≫の登録を終えたカードは、≪符組≫の建物を出て広場に向かった。

 広場で待って居るとようやく復活したチュアトがさっきと同じ事をしてくる。

 それに対してカードは、同じ様に拒否する。

「もうこうなったら無理にでも≪符闘≫をさせてやる! お前達、そのガキに痛目みせてやれ!」

 チュアトの命令に従ってごつい兵士達が襲ってくる。

 まあ結果は、解りきっていた。

「もう少し訓練をした方が良いですよ」

 姉さんの楽勝であった。

 これは、予測出来た事だった。

 この世界では、高レアを持つ事が全てであり、そうでない戦いは、あまり重んじられていない。

 それに対して姉さんが習得している技は、戦国時代という実戦で基礎が生まれ、何気に技術の向上に貪欲な道場主によって様々な最新鋭の戦闘技術を取り込んだ物であり、エッチに見境のない行動からヤクザまで相手をした事がある姉さんが使っている。

 圧倒的な差だろう。

「糞くそクソ! なんでこうなるんだ! ≪符闘≫を受けろ!」

 そう地団駄を踏むチュアトに対してカードが告げる。

「≪街を護る結界≫を賭けるんだったら勝負してあげるよ」

「そ、それは……」

 流石に二の足を踏むチュアトに対してカードが納得した様に頷く。

「そうだよね。万が一にも負けたら全てを失うんだもんねやらないよね」

 挑発である。

「良いだろう! 絶対に≪低符≫しかもたないお前などに私が負ける訳がない!」そういってチュアトがこの 街を≪符獣≫から護る≪街を護る結界≫レア度6/白2黒2桃2を賭けてしまう。



01巡目/先攻  白黒桃赤青紫緑黄

戦場=昼の広場  30111221

先/魂杖02   30111221

符=銀2:白1桃1/銀2:白1桃1/金1:赤1/銀2:白1桃1/銀2:白1桃1

主場:

上空:


後/魂杖06   30111221

符=銀6:白5桃1/銀4:紫3桃1/金3:青2緑1/銀3:黄2桃1/金5:白3黄2

主場:

上空:


 公開≪符闘≫がカードの先行で始まった。

『≪明るく踊る鼠≫≪符召≫』

 お約束の≪明るく踊る鼠≫の≪符召≫。

 そして流れる様にそれが行われる。

『≪明るく踊る鼠≫≪符能≫』

 二体目の≪明るく踊る鼠≫。

『≪明るく踊る鼠≫≪符能≫』

 三体目の≪明るく踊る鼠≫。

『≪明るく踊る鼠≫≪符攻≫』

 そして三体目によるアタックでチュアトの≪魂杖≫が一つ減る。

『符鎮』

 カードのターンが終るとチュアトが告げる。

『フフフ、息子と同じだと思うなよ私には、必勝の策がある。それは、これだ』

 そういって指さすのは、レア度6/白5桃1の≪獣符≫だった。

『もしもの時の為に≪高符獣狩人ハイカードビーストハンター≫から高額で買い取った≪輝く爪持つ虎≫だ! これは、光の属性力を追加しただけ同時に複数の≪符獣≫に≪符攻≫する事が出来る。お前が幾ら≪低符≫の≪符獣≫を並べた所で一撃で壊滅させてくれるぞ!』

 自信たっぷりなその宣言に対してカードは、淡々と告げる。

『恵力足りなくて何も出来ないんだから早く手番を終らせて』

 さっきまでの勝ち誇った顔を怒りに歪ませながらもチュアトがターンエンドする。

『符鎮』

『符産』

 カードが手札を補充し終える。


03巡目/先攻  白黒桃赤青紫緑黄

戦場=昼の広場  30111221

先/魂杖02   30122442

符=銀2:金1:赤1/銀2:白1桃1/金3:紫2桃1

主場:明るく踊る鼠/2/白1桃1・明るく踊る鼠/2/白1桃1・明るく踊る鼠/2/白1桃1

上空:


後/魂杖05   60222442

符=銀6:白5桃1/銀4:紫3桃1/金3:青2緑1/銀3:黄2桃1/金5:白3黄2

主場:

上空:


『≪明るく踊る鼠≫≪符召≫』

 四体目の≪明るく踊る鼠≫を≪符召≫された時点でカードの手札には、≪獣符≫が無い。

 これ以上の≪符召≫は、出来ない中、フルアタックが行われた。

『≪明るく踊る鼠≫≪符攻≫』×4

 それによって≪魂杖≫の残り一本になったがチュアトは、勝ち誇った。

『惜しかったな! 後一歩だったが、≪獣符≫が手札に無い以上、これ以上攻撃もできまい。そして私の手番になれば≪輝く爪持つ虎≫を≪符召≫させてついでに二体蹴散らし。次のお前の手番で追加出来たとしても私の手番で三体全部倒し、≪符召≫した≪符獣≫で≪魂杖≫を一本無くし。その次の手番壁役の≪符獣≫を用意出来たとしても私の手番でそれを蹴散らしたあと、最後の≪魂杖≫を打ち砕いて私の勝利だ!』

 よくアニメで勝ち筋の説明は、負けフラグっていうけど、ここまで見事な負けフラグもそうそう無いだろう。

『≪炎の矢≫≪符現パワー≫』

 カードが≪神符≫≪炎の矢≫レア度1/赤1を使用し、チュアトの最後の≪魂杖≫を破壊した。

 勝ち誇ったまま戻って来たチュアトが現実に気付く前に僕達は、宿に帰っるのであった。



「今回は、完全にメタデッキだったからいまいち勝った気がしないね」

 宿に戻った後、不満気にそう口にするカード。

「仕方ないわよ相手の切り札も予測し辛い上、権力を使われて≪符闘≫を何十回もやらされたら≪獣符≫が尽きて勝負が出来なくなるんだから」

 僕のフォローを受けカードが決意を決める。

「うーん、次は、普通のデッキで勝ってやる」

「それにしてもああいう勝ち方もあるのね」

 姉さんがカードが広場に誘導している間に連動している僕と姉さんの≪神恵≫から四枚の≪明るく踊る鼠≫と≪炎の矢≫と≪一時の双子≫と≪風切る剣≫以外の全ての≪神符≫と≪獣符≫を抜いていたそれを戻しながら呟いた。

 あの≪符闘≫でカードの手札に四枚の≪明るく踊る鼠≫と≪炎の矢≫があったのは、それ以外には、≪魂杖≫にした≪一時の双子≫と≪風切る剣≫しかないから当然な事だった。

「とにかく、最初の目的は、達成したけどこれからが本番だよね!」

 カードの言葉に僕が頷く。

「そう、もっとレア度の高い相手や戦い慣れた≪符闘者≫も相手する事になる」

「どんな相手でも姉妹三人力を合わせて頑張りましょう」

 姉さんの言葉に僕達は、覚悟を新たにするのであった。

この話の基本は、こういう、高レアを嵩に庶民を虐げる奴等を低レアで勝ってお仕置きするって感じになります。

異世界転移して補充無しにキャンピングカーを使う手段とか色々と設定を考えました。

因みに長女のドローの守備範囲は、熟年エルフ男性からドワーフロリまで果てしなく広いです。

次は、ドー姉視点で、ストファの新しい街符長ハイカードリーダ絡みの話になります。

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