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001/TCG決勝で輝く≪低符(ローレア)≫【ある大学のTCGサークルの新入部員/佐藤一】

世界的に浸透したTCG大会の決勝を観るモブ視点です

「これで終わりだ!」

 そういって先輩が超レアカードの一撃で俺のライフを削りきった。

「……負けです」

 ため息混じりに俺が敗北を認めると先輩が勝利をもぎ取った超レアカードを見せつけて来る。

「やっぱりTCGに勝つには、こういうカードをもってないとな!」

 高笑いをする先輩の態度は、腹が立つがTCGにおいてレア度が高いカードを持って居るかどうかは、間違いなく勝敗を分ける重要な要素である。

「そうとも言い切れないわよ」

 そういったのは、三年生の女性副部長だった。

「これだから趣味に金を懸けられない女は、駄目だな。多少は、デッキ構成や引きで変わるかもしれないが、TCGにとってレア度は、絶対正義なんだよ」

 先輩が傲慢に言い切ると四年生の部長がニヤリと笑う。

「そんなんだからお前は、全国大会で勝てないんだよ」

「そ、それは、あれは、偶々引きが悪かったのと、俺のメタデッキを使ってたからで……」

 口籠りながらも反論する先輩のその試合は、俺も見ていた。

 確かにその試合の先輩の相手は、流行りのデッキに対応出来るカードを多く入れたメタデッキで、先輩に勝った次の試合で相手が流行りと違ったデッキ構成だったのであっさり負けて居た。

「TCGの勝敗を運だっていっている内は、全国大会で勝ちあがるのは、無理だな。そうだ、丁度良いTCG決勝があるから一緒に見るか?」

 部長の言葉に副部長が立ち上がる。

「もしかして今日のドーカの決勝観戦権を手に入れたんですか!」

 部長がブイサインを見せる。

「おお、ドーカのカードを爆買いして貯めたポイントでゲットしてやったぜ」

 二年の女性会計の先輩がジト目で言う。

「今日は、月間大会ですから数万円分のポイントが必要ですよね?」

 部長は、視線を逸らして言う。

「次の大会の為のデッキ強化になったからいいんだよ」

 副部長が苦笑する。

「十日後の低ポイント視聴で我慢するつもりだったのがライブで観れるんですから良いじゃないですか」

 そういってサークルの部室にあるパソコンでの視聴準備を始める。

 今まで予算申請の書類を書いていた二年の男性書記の先輩が作業を中断してやってくる。

「確か、今月は、大波乱があって、新生≪白龍の騎士ナイツオブホワイトドラゴン≫とランキング一位に返り咲きを狙う古豪≪低符の皇帝エンペラーオブローレア≫の対戦でしたよね」

 部長がスマホに表示させた決勝観戦権コードを副部長に見せながらいってくる。

「そうだ。ドーカは、ネットで行うTCGの中でも特出的に賞金が懸かった大会が多い上、今俺が出しているライブ観戦権コードが選手のスポンサーにも配布されているからな。≪白龍の騎士≫としては、今後のスポンサー拡充の為にも勝っておきたいだろうな」

「何ですかそのスポンサーって?」

 あまりネットTCGに詳しくない俺が聞くと会計の先輩が教えてくれる。

「さっき部長が言った様にドーカは、多くの賞金がある大会を運営しているの。最低でも週一で一位に二十万円の総額五十万円の大会と月一で一位に五十万の総額百万の大会。年に数回は、一位に何百万って賞金が出る大会までやってるのよ」

「本当ですか! でもカードの売り上げだけでそんな大きな大会なんて……」

 俺が驚きの声をあげる。

 TCGの大会で高い賞金が出る大会がある事もしってるが、多くて月一、下手すれば一年に一度か二度が普通の筈だと考えて居ると書記の先輩が補足してくる。

「だからスポンサーなのさ。予選大会を勝ち抜き、賞金が出る大会で一勝でもできた場合、三年有効なポイントを得てランキング入りする。ランキングに載った選手には、運営会社を通してスポンサーが付く。スポンサーは、自分が投資した選手の出場する大会の試合のライブ観戦権のコードが運営会社から投資額にあった分手に入れられる。一定の規約があるが、スポンサーになった企業は、そのコードを自由に出来る。≪白龍の騎士≫の場合、健康ドリンクメーカーがスポンサーになってて、商品についているシリアルコードでポイントを溜める事で観戦権コードと交換出来る。そうやってスポンサーに利益を生み出す仕組みがあるから高いスポンサー料を得てドーカは、高額な大会の運営を続けられるって訳だ」

「そんな訳だから決勝に進む選手のスポンサーのポイントを貯めていないと、割高な運営会社のポイントと交換する訳になるのよ」

 会計の先輩の呆れた視線が部長に突き刺さる。

「仕方ないだろう。≪低符の皇帝≫は、初期からのランカーなのにスポンサーをつけていない特例なんだからよ」

「そうよね。大手の会社がスポンサーに名乗りをあげてるって話は、よく聞くのにね」

 副部長が準備を進めながら不思議そうな顔をする。

「それなんですが、ネットでは、≪低符の皇帝≫は、ドーカの運営会社の関係者じゃないかって噂になってます」

 書記の先輩が出した噂に部長が肩を竦める。

「都合の良いカードを引き過ぎてるって奴だろ? 馬鹿いってるんじゃねえよ。だったら、連敗して十位まで落ちるか。チートしてるんだったら一回戦負けなんて記録を残すかよ」

「そうね、引きがどうしようもない時に負ける事は、確かにあるわね。でも、そうでも無い限り、かなり高確率で勝てるだけのデッキを組んでいるのも確かよ」

 副部長が準備の片手間に出した予測されるデッキリストを見せてくれた。

 俺は、そのデッキリストを見て首を傾げる。

「ドーカってカードは、レア度は、三段階しかないんですか?」

 部長は、俺の頭をポンポン叩く。

「≪低符の皇帝≫のデッキだけみたらそう思ってもしかないな。でもな、ドーカのカードレア度は、十段階だぞ」

 俺は、眉を顰める。

「冗談は、止めて下さい。それだったら最高レアが3のデッキなんてありえないでしょ」

「そう思うわよね。でもあるの、対戦相手の予測デッキリストがこれ」

 副部長が新たに見せて来た予測デッキリストには、レア度が10のカードを含め、レア度が5以上のカードが大量に含まれていた。

「これって勝ち目ないんじゃ……、それともドーカってTCGは、レア度をそれ程重要視されないとか?」

 俺がそう呟く程にデッキの差があり過ぎた。

「ドーカでは、レア度が高いさこそ最重要って言われてるな」

 部長が面白そうだって顔をしていってくる。

「意味が解りません!」

 抗議する俺の顔をパソコン画面に向けさせる部長。

「お前達が言っていた答えがそこにあるからじっくりみておけ」

 パソコン画面に派手なオープニング演出と共に決勝を戦う選手の紹介が始まって居た。

 ≪白龍の騎士≫の紹介の際は、スポンサーである健康ドリンクが広告がサイドに出ている。

 実況が両者の意気込みを聞き終わると、カードデッキのシャッフルが派手な演出と共に行われ、そして試合開始前に関わらずカードがドローされていく。

「これがドーカにとってレア度の高さが重要とされる由縁の一つでな。ドーカのカードは、カードの主な種類は、二種類。所謂モンスターカードと呼ばれる銀淵の獣符ビーストカードとその他と一部モンスターカードの金淵の神符ゴッドカードがある。最初に神符が出て来るまでドローするんだが、そのレア度が自分のライフになるんだよ」

 部長の説明と共に両方ともが金淵のカードをドローを終えていた。

 ≪白龍の騎士≫の方は、白の△が5、赤の△が3描かれたカードで、≪低符の皇帝≫の方は、白の△が1書かれたカードだった。

 そのカードを残してドローされたカードは、デッキの最後に混ぜられ、そして画面上に八つと一つの杖が表示された。

「まさかと思いますけど、あの杖がライフですか?」

 俺が信じられない想いで口にすると部長が悪い笑みを浮かべて来る。

「おー、中々理解が早いじゃないか」

「理解が早いじゃないですよ! ライフが七も違うなんてはっきりいって勝負になりませんよ!」

 俺の主張に書記の先輩が頷く。

「そうだな。これが≪低符の皇帝≫以外ならば完全にデッキ事故扱いされただろうな。もちろん、ライフ差のハンデに対する対処は、一応ある。ドーカの場合、何をするのもコスト、このゲームの恵力エナジーが必要になるのだが、基本的にバトルフィールドから毎ターン毎に発生し、バトルフィールドによってその恵力の属性と量がことなるんだが、ライフが少ない方がそのバトルフィールドの選択権と先攻を得られる。かなり大きな要素だぞ」

 確かにTCGにおいてコストは、重要だ。

 それでもこのライフ差は、ない。

「因みにレア度が一緒の場合は、カードが持つ属性、裏に書かれている△で示しているんだけど、それの一番多い色の属性同士で比べて決める事になってる。それも一緒の場合は、先攻と選択権を話し合いで決めるのが普通ね。それと神符が出るまでのカードの情報も裏面でレア度と属性が解るドーカでは、お互いに重要な情報になるわね」

 副部長のイレギュラー時を含む補足が終る頃には、試合が始まる。

『昼の大草原を選択』


01巡目/先攻  白黒桃赤青紫緑黄

戦場=昼の大草原 30211321

先/魂杖01   30211321

符=金2:黄2/銀2:白1桃1/銀2:白1桃1/銀2:緑1桃1/銀2:黄1桃1

主場:

上空:

地中:


後/魂杖08   30211321

符=金3:白3/銀4:緑3桃1/銀3:赤2桃1/金4:青2緑2/金10:白9桃1

主場:

上空:

地中:


 ≪低符の皇帝≫の選択と共に画面に色々と情報が表示されて書記の先輩が頷く。

「やっぱりそこを選択したか」

「≪低符の皇帝≫は、多くのモンスターを展開させていきますからね、白が多く、特殊戦場もあるここを選びますよね」

 会計の先輩も納得している。

「ドーカには、八つの属性があるわ。それぞれ光、闇、命、火、水、風、土、木って感じで、属性の有利不利が当然あるの。火から木に関しては、後の色のには、不利。先の色には、有利。光は、闇以外に不利。闇は、逆に光以外に有利。桃は、モンスターには、必ず一つなければいけない属性で、光と闇以外に有利不利は、存在しないわね」

 副部長の解説に俺が疑問に思った事を口にする。

「今の話を聞くと光だけ自棄に不利じゃないですか?」

 部長が頷く。

「だから光の白は、ほぼすべてのフィールドで発生するし、昼間のフィールドでは、大抵一番多い恵力が得られる。不利だろうが、多くのコストを使用して数を展開かけるのが≪低符の皇帝≫のやり方って事だ。

 部長の言う通り、≪低符の皇帝≫は、二体のモンスターを召喚し、その一体で攻撃して相手のライフを削って居た。

符鎮エンド

 ≪低符の皇帝≫がゲーム特有な言葉を口にしてターンエンドした。

「カードを伏せ無いんですね?」

 俺の指摘に対して先輩が嘲笑ってくる。

「これだから素人は、困る。ドーカには、伏せカードという概念は、ない。基本手札=即時使用可能なのだ。モンスターカードのみ、コストを消費して場に出さないといけないがな」

 かなりむかついている俺に対して会計の先輩が優しく諭してくれる。

「知らないのは、仕方ない。所で気付いたかい? ≪低符の皇帝≫がモンスターを置いた所が違うって事に」

「確かに違いますが何か意味があるんですか?」

 オレが素で尋ねると嘲笑う顔のまま先輩が何か言う前に書記の先輩が教えてくれる。

「これもドーカの特別ルールでね。フィールドによって主場以外のモンスターを置くフィールドが存在する。このバトルフィールドの場合、≪上空≫と≪地中≫だな。特殊場と呼ばれるこれらは、対応したモンスターしか置けない代わりに同フィールドのモンスターしか攻撃できない。ただし、ダイレクトアタックが出来ないし、当然、相手の攻撃を受けてライフを護るって事は、出来ないがね」

「そんなモンスターが居て意味があるんですか?」

 そう考える俺に副部長が教えてくれる。

「さっき部長が言った様に属性の有利不利があるの。だから特殊場においたモンスターが有利の主場のモンスターを削るって戦略が可能になるの。このTCGにおいてコスト、恵力は、重要で、相手のモンスターを効率よく倒せるって事は、それだけ有利な展開が行えるのよ」

 副部長の言葉が正しさを示す様にコスト不足でモンスターを呼べない≪白龍の騎士≫がターンを終え、次のターンでも≪低符の皇帝≫は、ダイレクトアタックを決めていた。



符鎮エンド


20巡目/後攻  白黒桃赤青紫緑黄

戦場=昼の大草原 30211321

先/魂杖01   10011211

符=金1:黄1

主場:明るく踊る鼠/2/白1桃1

上空:颯爽と飛ぶ雀/2/緑1桃1

地中:力をため込む土竜/2/黄1(7)桃1


後/魂杖01   90223422

符=金3:白3/金10:白9桃1

主場:

上空:

地中:


 19ターンが過ぎた。

 レア度4や5のモンスターをメインに使いパワーで押す≪白龍の騎士≫を≪低符の皇帝≫は、レア度3以下のモンスターとカード効果で撃退、ダメージを与えて遂にライフでおいついた。

「ここまでくるなんて……」

 実際にみていても信じらえないカード戦術の数々に言葉もろくに出ない。

「このターンで倒しきれなかったのは、致命的かもしれないな」

 部長が渋い顔をし、書記の先輩も頷く。

「そうですね。逆を言えば、ここまでもたせた≪白龍の騎士≫の戦術が上手かったという所ですかね」

「えーと、これって≪白龍の騎士≫がこのターンでモンスターカードを引けなければほぼ負けじゃないですか?」

 俺の想定に対して書記の先輩が首を横に振った。

「≪白龍の騎士≫その象徴、エースモンスターは、獣符ビーストカードじゃない。レア度10、極符レジェンドレアと呼ばれる神符ゴットカード≪輝き放つ白き龍≫。最初のドローした五枚のうち、ずっと使われて無かったカードなんだよ」

 ≪白龍の騎士≫が語る。

『流石は、古豪≪低符の皇帝≫。しかし、これで終わりだ! 全てを包み込む光の龍よ、我が愛龍よ、その姿を顕せ、≪輝き放つ白き龍≫符召コール

 画面全体を白い光が覆い、その中から白き龍が咆哮と共に現れた。

「なんですか、この演出!」

 顔を引き攣らせる俺に対して会計の先輩が肩を竦める。

「最初に言ったでしょ、スポンサーが付くって。ドーカのランカーにとっては、目立ってスポンサーを増やす事も大切だから、必要に応じてこうした映像を差し込む事は、許可されているのよ。実際のTCGには、全くかんけいないんだけどね」

「何でもこういったCGを作って商売している専門家もいるそうよ」

 副部長が軽く言う中、俺が何でか≪低符の皇帝≫を応援する様な事を口にする。

「どれだけレア度が高くても、壁モンスターを展開し続けて、なんとかすれば……」

 部長が首を横に振った。

「それが無理なんだ。極符は、伊達じゃない。≪輝き放つ白き龍≫は、その属性力を一つ減らす事で自分ターンで一度だけ、敵主戦場のモンスターを殲滅できる上、そのまま通常攻撃が可能なんだ」

「それってほぼ毎ターンライフにダメージを与えられる、殆ど反則じゃないですか!」

 俺の突っ込みに書記の先輩が渋々という感じで頷く。

「そうだ。ライフが一桁のドーカにおいては、召喚を成功された段階で勝利をほぼ確定するとさえ言われているカードだからな」

「カード効果で攻撃を防ぐしかないって事ですか?」

 俺の漏らしたぼやきに対して部長は、首を横に振った。

「こいつは、自己の攻撃効果無効化の無効化まで持ってるんだよ」

 狂ってる言いたくなるほどモンスター効果だ。

「一応は、能力を使う度に属性力が落ちるから倒し易くなるのは、確かなんだが……」

 頭を掻きながら言う部長に対して書記の先輩が肩を竦める。

「こいつが召喚される様な後半では、攻撃が通じる程に属性値が落ちるまでライフが残ってる可能性は、低いですね」

「正にレア度故の絶対有利って奴だよな」

 むかつく先輩が自論の正しさを証明した様なカードに嬉しそうにしている。

『障害物を全て排除しろ! ≪輝き放つ白き龍≫符能スキル、シャイニングブラスト!』

 ≪白龍の騎士≫の宣言に応え、画面にまたCGが走って、≪低符の皇帝≫の主場に居たモンスターを消滅させる。

『これで終わりだ! ≪輝き放つ白き龍≫符攻アタック、ダイレクトアタック!』

 勝利宣言ととも思えた≪白龍の騎士≫の宣言の直後にその声が響く。

『≪引きずり下ろす重力≫符現パワー

 ≪低符の皇帝≫の宣言と共にカード捲られる。

「あれは、攻撃が通じない上空モンスターを主場に落すカード。どうしてこのタイミングで?」

 副部長が眉を顰めながら呟く。

『残念だが、≪輝き放つ白き龍≫は、攻撃を無効化する如何なる効果も通用しない。それは、無駄撃ちになるだろう』

 自信たっぷりの≪白龍の騎士≫に対して≪低符の皇帝≫は、告げた。

『確かに≪輝き放つ白き龍≫には、効かない。だいたい、この神符では、攻撃を中断させることは、出来ない。でも、こういう使い方がある。対象は、自分フィールド上空に居る≪颯爽と飛ぶ雀≫』

 対象に選ばれた≪低符の皇帝≫の特殊フィールドに居た≪颯爽と飛ぶ雀≫メインフィールドに落ちた。

『ば、馬鹿な!』

 ≪白龍の騎士≫が驚愕の声をあげる中、≪輝き放つ白き龍≫の攻撃が≪颯爽と飛ぶ雀≫に決まり、バトルが終了してしまう。

「上手い! ≪輝き放つ白き龍≫を召喚されたら相手ターン中に召喚可能な特殊モンスターでもなければ対処不可能と思って居たが、こんな方法で攻撃を防ぐとは、流石は、≪低符の皇帝≫だ!」

 部長が指を鳴らして感嘆する。

「こうなると、局面は、完全に≪低符の皇帝≫有利ですね」

 書記の先輩の言葉にむかつく先輩が反論する。

「今の攻撃が防がれましたが、属性力八ある≪輝き放つ白き龍≫を倒せない。だったら次のターンで≪白龍の騎士≫の勝ちでしょ」

 会計の先輩が≪低符の皇帝≫側に残った最後のモンスターを指さす。

「≪力をため込む土竜≫が属性値を7溜めこんで居るわ。モンスター効果で溜めこんだ属性値を加算した攻撃を行える。光属性の八と土属性の八では、土属性が勝ちよ」

『まだだ! お互いに主場に符獣が存在しなくなるが手札にも獣符が無い。どちらが先に符召可能な獣符を引くか、符産ドロー勝負で勝つ! 符鎮エンド

 ≪白龍の騎士≫は、勝負を諦めない意思を見せる中、次のターン、≪低符の皇帝≫がカードをドローする。

「まあ、この状況で≪低符の皇帝≫がドローするカードなんて決まってるよな」

 部長がニヤリと笑う。

「≪低符の皇帝≫のエースモンスターですね」

 副部長も確信をもってそう告げる。

 これだけのバトルをする≪低符の皇帝≫のエースモンスター、さぞ物凄いんだろう。

 そして≪低符の皇帝≫が動く。

『≪力をため込む土竜≫符能』

 派手なCGは、無いがその攻撃で絶対的な存在感をもっていた≪輝き放つ白き龍≫が消滅していく。

 そして召喚が行われる。

『≪明るく踊る鼠≫符召』

 画面に≪低符の皇帝≫が最初に召喚し、このバトル中だけでも幾度となく倒され続けた≪明るく踊る鼠≫がここで召喚された。

「まさかこれが?」

 信じられない想いで口にするが部長が満面の笑みで告げて来る。

「そうだ。≪低符の皇帝≫のエースモンスター≪明るく踊る鼠≫だ」

「レア度2ですよ! だいたい何枚入れてるんですか?」

 俺の突っ込みに副部長が始まる前に見たリストを確認しながら応えてくれる。

「今は、十枚くらいよ」

 四十一枚制限のデッキで十枚もこんな雑魚モンスターをいれてるなんて正気とは、思えない。

「だが間違いなく、≪低符の皇帝≫のエースモンスターだ。幾度となく対戦者に止めを刺していった。そして今回も……」

 部長を始め部員全員が画面を凝視する。

『≪明るく踊る鼠≫符攻アタック

 ≪白龍の騎士≫の最後のライフがそれで消えた。

「本当に勝った……、相手が最高レア度のモンスターの召喚さえ成功させてたのに低レアのカードだけで勝った」

 半ば呆然とそう呟いていた。

「でも、偶然でも運が良かった訳でもないわ。相手の手札に≪輝き放つ白き龍≫にあり、それが召喚される可能性を考慮して、≪力をため込む土竜≫に属性力を溜めながら温存し続けた。そして自分のライフを護る為にデッキを圧迫するのを承知で≪明るく踊る鼠≫を大量に組み込んだ。最後のドローは、引きが良かった訳じゃない。多く入れたカードが必然的にドローされたそれだけの事よ」

 副部長の解説に部長が続ける。

「だが、流石月間大会の決勝だ。お互いにギリギリ線の好勝負だった。負けは、したが≪白龍の騎士≫も能力を使わなければ≪力をため込む土竜≫に勝てる内に≪輝き放つ白き龍≫を召喚にさせていた。今回は、見事に捌かれてしまったが、ランキング上位者として素晴らしい戦術だったな」

 そして部長が俺達を見る。

「さて、この戦いを見てもまだレア度だけが全てだろ思えるか?」

 むかついていた先輩する首を横に振るしか無かった。

 俺は、自分の全力のカードデッキを握りしめて誓う。

「俺も≪低符の皇帝≫に負けない戦術を編み出してやるぞ!」

「その意気だ。頑張れよ!」

 部長のその声を背に俺は、デッキの再構築を始めるのであった。

TCGを書きたくなって書きました。

因みにこのスポンサーとかの設定って実は、この話限りで以降異世界にいくんで使われません。

一話限りの設定を手間暇かけてGW中の暇な時間を使って考えてたって訳です。

次は、主人公視点で、異世界転移までの予定です。

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