Magical girl Ending memory case1
「はぁ……はぁ……どうして……どうしてよぉぉぉ! 私はただ……ただ……貴女に生きていて欲しかった……それだけなのにっ!」
何度やり直しても結果が変わることはない。
過程だけが独り立ちをするも巡り巡って最後には同じ結果だけが突きつけられる。
雲井恵美の死。
私はただの炎。太古の昔、人間という種族の始まりを意味する道具として産まれた存在。だからこそ、私は幾度となく繰り返されるこの歴史をいつまでも覚え続け、恵美の危機の時には駆けつけ危機の回避を目指していた。前回は恵美が魔法少女にならなかったが故に、魔法少女戦争に巻き込まれて無力な一般人として死んでいった。前々回は魔法少女としての仕事中に死神によって惨殺された。その前は……
因果は必ず雲井恵美の死をもって収束をする。
私はただ無力なまでに立ち往生をし続けるしかない。
私が何もかもなくしてしまった時、雲井恵美は私との交流を断ってしまった。だが、それは私が自ら選んで彼女を避け続けたからだ。彼女はいつまでも私の側に居続けてくれた。それがどれだけ大きな支えとなっていたかを私は理解しないまま切り捨てた。その後悔と贖罪を私はまだ口に出して謝罪出来ていなかった。今まで以上に仲良くなりたいと願っていただけなのだ。せめて……中学時代の仲を戻したい……それだけのはずなのだ。
「あと何回……私は恵美を殺せば願いを叶えられるというの……?」
「何度繰り返しても結果は絶対に変わらない……!」
聞いたことのない声が背後からする。
私は咄嗟に振り向いた。
瞬間の出来事を私の目には鮮明に写っていた。
黒髪の少女の手に拳銃が握られる。少女は私に向けてありったけの銃弾を撃ち込んできた。躱すことはできない。体がピクリとも動かないのだ。
時が動き始める。
「ぐっ……がはっ……!」
血が止まらない……立ち続けることができない……両膝から地面に崩れ落ちる。
「見つけた……この街の魔女を」
「いったい何の話をしている……」
「自覚がないのでしょうね。それでも、貴女がいつまでも願い続ける限り、この街の因果は収束しない。ズッと雲井という女の子を守りたいと願い続けているのでしょう? でも、それは絶対に叶うことがない夢。なぜなら、一番初めの魔法少女戦争に勝利した貴女は願ってしまったから。いつまでも雲井恵美を救い続けたいと」
この初対面の殺し屋は戯れ言を言っている。
理解はできたが体も心も動かない。
何故か理解できてしまう。納得はしなたくないと拒絶しながらも殺し屋が言っている言葉が正しいと理解できてしまうのだ。
「元々いた魔女はあなたの願いを聞き入れ、いつまでも貴女が雲井恵美を救い続ける状況を作り続けている。貴女が救いたいという不十分な願いを口にしてしまったから。そしてそのせいで……私は永遠に時を遡り続けなければいけない……!」
「時を……遡る……?」
「……この街の魔女は炎を使う。炎は記憶すら焼き尽くして刻み続ける。探すのに苦労したわ。貴女が時を遡れているのは私のおかげ。私の魔法少女としての才能があるからこそなの。でも、終わりにしましょう。時の矛盾を覚えているのは私だけで充分。ここで魔女を一人殺して、私はまたひとつ願いを叶える」
「何が目的……なのっ!」
「私が守りたい誰かを守るため……!」
脳に銃弾が直撃する。
銃弾が回転をしながら私の脳内をかき回し、やがて外へと飛び出していった。その感触は初めて感じるものであり、不快感しかない何かだった。私は死んでしまう。私はここで死亡する。あぁ……これで全部終わるのだろうか……これでようやく恵美のもとへいけるのだろうか……
「恵美……」
残した言葉ただ一言。
守りたいと願い続ける少女の名前。
魔法少女戦争の終結。
この街の魔法少女は全て死に絶え、永遠の終わりを迎える。
そして始まる新しいストーリー。
願いを欲を持ち続ける者はいなくならない。
これは終わりの始まりでしかない。
第1部 完
次回、第二部へと続きます。




