魅惑の幼女、そして不登校
平日、午前のとある公園のベンチにて。
(はぁ、学校に行きたくなくて、公園まで来ちゃった…どうやって時間を潰そうか……)
「へい!そこのおにーさん!」
「な、何?」
(変な子だなぁ)
「私とお話しましょう!!」
「お、お話?」
「そうですお話です!!」
「いいけど…」
(この時間にこんな子がなんでここに居るんだろう…)
「では決定です!!」
(まぁ、暇だし子供の遊びに付き合うのもいいか)
「どんなお話をするんだい?」
「その制服、○○高校の制服ですよね?」
「そ、そうだけど」
(よく知ってるなあ)
「なんでこんな時間に公園にいるんですか?」
「ええっと…」
(いじめのせいで親に内緒でサボってるなんてこんな小さな子に言えないよなぁ)
「分かりました!!学校でいじめられて、でも誰にも相談できなくて、親にも心配をかけたくなくて、学校に行くとは言ってみたはいいものの本当は行きたくなくて、結局通学できなくて公園で時間を潰しているんですね!!!」
「ええ……」
(全くその通りなんだけど…)
「分かります!その気持ち!!とても分かります!!」
「は、はぁ」
「何せ私も同じ口ですからね!!」
「え?」
「私の喋り方、変でしょう?」
「ま、まぁ、少しは…?」
「そのせいで、少しいじめられていて……でも親には心配をかけたくないのでそれでここに友達と遊びに行くと言って出てきたのです……」
「そうなんだ…」
(この子も色々悩んでるんだなぁ、そんな子がこんなに明るくしてるなんて。それにつけても僕は……よし、今日は学校に行ってみよう。そして帰ったら親に勇気をだして言おう。そうすれば僕もこの子みたいに明るくなれるかもしれない)
「僕、学校行ってくるよ」
「お?そーですか…お話はもう終わりですか…じゃあまたさぼりに来てくださいね!!その時はまた色々お話しましょう!!」
「うん!」
「では、私は友達が待っているので!!」
パタパタパタ
「おにーさん!!さよーなら!!」
「じゃあね!」
(…あれ?友達?あの子いじめられてて、親に嘘ついて1人でここに来たんだよな…?)
「私は嘘は付いてませんからーーーー!!!」
「確かに親に嘘をついてここに来た、なんて言ってなかったけど……はぁ」
(ため息ついてないで、学校行こ……)
(まぁ、あの子がいたから学校行こうと思えたしいいか!)
「計画通り!!」
(ん?なんか聞こえたような……気のせいか)
数日後の土曜日
(さすがに今日は居ないかな?)
「あ、おにーさん!!!またサボりですか?」
「あはは…今日は土曜日だから学校は休みだよ」
「あらら、そうでした!忘れてました!!」
「忘れてたって…まぁ、部活は所属してないけど、他の人達は部活だしサボりと言えばサボりかな?」
「そーですか!」
(いや、でも帰宅部は学校に認められてるしサボりではないのか…?)
「では、今度こそお話しましょう!!」
「うん、そうだね、どんなお話をするんだい?」
「では、今朝見た夢の話をしましょう!」
(こんな所は子供っぽいのか)
「それはとてつもなく怖い夢でした」
「へぇ、どんな?」
「ある日、おにーさんと私がお話をしていました。」
(僕が出てくるのか…)
「その日は秋で、肌寒くなってきた頃なんですが、だんだん暑くなっていくんです。」
「ほうほう、それで?」
「最初は、残暑かなーってくらいの暑さだったんですけど、どんどん暑くなっていって、しまいには漢字が変わって熱いくらいになってきたんです!!」
(すごい夢だな…)
「おかしいと思って、空を見てみると、いつもの何倍も大きくなった太陽が!!!」
「た、太陽…」
(どんな世界観なんだろう)
「そしてそのまま太陽は大きくなっていって……」
(ん?)
「なっていって?」
(なんでうつむいてるんだ?)
「ど、どうしt」
「ドカンッ!!!!!!!」
「うわぁっ!」
「爆発してしまったのです」
(声が出てしまった…恥ずかしい…)
「太陽の光がなくなった世界はどんどん荒廃していきます」
(あ、終わりじゃないんだ)
「最初の頃は太陽光がなくても、電気があったのです。それで、光をつくり生き残ったみんなを元気づけていました。しかし、電気を巡る争いがおき、遂には電気が無くなってしまいます」
(壮大な話だなぁ…その設定で物語くらいかけそうなくらいだなぁ)
「太陽がなくなり、電気がなくなり、それによって娯楽がなくなり…生き残った人々は絶望に明け暮れました」
(終わりかぁ)
「…そして快楽に溺れ始めます」
「ん?」
「その中でも生き残ったおにーさんは身近にいた女性である私に目をつけます」
「あの…?」
(あれ、話がおかしな方向に行ってないか?)
「私のnice、body、 に手を伸ばすおにーさん。怖くて抵抗できない私。暗闇の中、おにーさんの魔の手は伸びていきやがて…」
「まてまてまて!」
「はい?どうかしましたか?いい所だったのですが」
「おかしいでしょ!」
「どこがです?」
「どこって…ぼ、僕が君に手を出すところからだよ!!僕はロリコンじゃないぞ!!」
(どちらかと言うとお姉さん系がいいんだ!!!)
「ほう?そうなのですか?てっきり小児性愛者であると思っていたのですが」
「なんでだよ!」
「うーん、私のnice、body、に向けるいやらしい目線?」
「向けてないよ!!って言うかナイスバディってなんだよ!!どこからどう見ても同世代の男の子と変わらないじゃん!!……あっ」
(言いすぎたか?)
「……そうですか」
ニヤリ
(やばい、なんか嫌な予感しかしないぞ)
「では、私のような男の子と変わらない子になら何されたって何も感じませんよね?」
「か、感じないとも!」
ギュッ
「こんなことされてもですか?」
「な、なんともないね!!」
(い、いい匂いがする……くんくん……ハッ!僕は何をやっているんだ)
「おにーさん、顔赤くなってますよ?」
ニヤニヤ
「な、なってないよ!」
「そんなこと言って〜本当はいい匂いだなぁとか思ってたんでしょ?」
「…」
(なんで分かるんだろ)
(もう、なんかロリコンでも小児性愛者でもいい気がするなぁ…)
(ああ、そう考えるとこの背中にかかる重さも体温も心地の良いものになっていく気がするなぁ)
「ちょっとそこの君、いいかな?」
「え?」
(け、警察…?)
(ま、まて、僕は警察になにか呼び止められるようなことをしただろうか?今日は土曜日だから学校はない、例え来ていく服がなくて制服でこの公園に来てしまったということを鑑みても補導なんてことは無い。だ、大丈夫、普通に話せばなんにもないはず)
「は、はい、なにか用ですか?」
「用ですかって君、背中のお嬢ちゃんは妹さんかな?もし違うなら…ちょっと署に同行して欲しいんだけど?」
「え?」
(あれ…?客観的に見て僕は今、幼女を背負っている制服を着た変な人。しかも、どうやら顔を赤らめていたらしい……あ、アウトだこれ。僕がそんなやつを見たら1発で通報するね)
「い、いやそれは誤解で!!」
「本当に?」
「本当です!!」
その後、警察が誤解だということを納得するのに30分近くかかった。最後は、「この人は私の兄のお友達です!!」という幼女の鶴の一声が決め手となった。
30分間も何も言わなかったことについて「さっきのお返しです!!」と言われた俺が膝をついたのは言うまでもないことであった。