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5話

低クオでごめんなさいorz

 お寿司をたくさん食べてお腹も心も満足した昨日を終えて、朝が来る。落ち着かなくて、いつもより早起きして少し凝った朝食を作った。お弁当も作ってからゆっくり食べようと思った。けど、落ち着かない気持ちのせいでのんびりすることもできずに、早々に準備を整えて寮を出る。

 そうして学校に着く。

「!」

「あらぁ、銀城さん。おはよう」

「お、はようございます」

 教室に行くと先生がもう仕事していて、予想外の出来事に声が裏返ってしまう。まだクラスメイトは1人も登校していない。いつも私が最初だから、それはわかっていたけど。

「早いのね、銀城さん。忘れものでもあったのかしら」

 自分の机に鞄を置く。先生はすぐ目の前だ。

「あの、昨日はすみませんでした」

 もう既に嫌われてるのかもしれない。けど、謝らないと。

「昨日? あー! そうなのよぉ、先生知らなかったの。びっくりしちゃってごめんなさいね」

 知らなかった? 先生は私を見てニコニコしてる。気にしてない? なら、良かったのかも。

「最近の子はすごいのねぇ。挨拶でキスするものなのね。昨日渡海さんの妹さんにもお礼を言われてほっぺにキスされてね。可愛いわねぇ」

 雫ちゃんのことね。あの子、本当に愛想を振りまいてるのね。恐ろしいわ。

 ……雫ちゃんも、先生にキスした?

 何故か私の中でふつふつと、よく分からない感情が湧き上がる。

「……そんな」

「え?」

「……そんなことあるわけないですっ! 普通キスは好きな人とするものですよ!?」

 自分で出した大きな声にびっくりしてしまう。どうしようどうしよう。状況が悪化してる。

「あら、先生勘違いしちゃってた?」

 ここまで言っても何も伝わってない鈍感な先生の発言にますます気持ちが昂る。

「違います! だから、キスするのは好きな人が相手だからなんです!」

 昂った感情が溢れて言葉が出てくる。けど、思考が追いついてない。

「だから、だから……」

 こんなの私じゃない。何を言ってるんだろう。落ち着かなきゃ。深呼吸。

「……大きい声出してごめんなさい」

「いいの。分からなくって、ごめんなさいね」

 違う。違うの、先生。回りくどい言い方じゃ、この人には伝わらないらしい。自分でも何にイラだってるのか何を言いたいのか、よく分からない。でも謝って欲しいわけじゃない。


「先生が、好き。だからキスしたの」


 混乱した頭で出たその言葉。

 言った後で、そうか、それで、と。

 絡まった糸がようやく、するりと解けていく。

 それで、他の人にキスされたのが気にくわなかった。

 それで、鈍感な先生に苛立った。

 それで、昨日あんなに悩んだ。

 嫉妬、してたんだ。

 人を好きになるってこういうことなんだ。

次回、最終回です。

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