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初日

「あのね唯花、ママ来週から仕事変わるけど、今まで通り、5時過ぎには家に帰るから」


「うん、わかったよ」


「何かあったら、今度の所はいつでも電話取れるから」


「うん」


「これからはママもかなり勉強しないといけないんだ。でも土日は休みだから、お出掛けも出来るよ」


「やったーっ!!」


その唯花の喜びように私は胸が痛くなった。


「今まで我慢させてごめんね」


「ううん、ママ無理しないでね」


「大丈夫!じゃあご飯にしよっか」


「うん!」


―――そしてやってきた、初日。


唯花を送り出し、私も会社へと向かった。


資料は目を通すのがやっとで、7割位しか覚えられてない。


新人の頃は簡単に物事が覚えられたのに。


総務部に入るとすぐ、一番奥のデスクにいる総務部長に挨拶した。


「おはようございます。本日よりお世話になります、平坂梓です」


「立橋人事部長から聞いてるよ。総務部長の中曽根です」


名前を聞き、顔をよく見ると…


「中曽根さん!?」


「あーちゃん、気付くの遅いよ」


私をあーちゃんと呼ぶ、総務部長の中曽根さんは、なんと親戚のお兄さんでした…。


私の父方の祖母は5人兄弟。


祖母が上から2番目で、中曽根さんの祖父が1番下。


なので、サザエさんでいうとイクラちゃんとタラちゃんの関係である、はとこにあたる。


本当に久しぶりで、すぐにはわからなかった。


「あーちゃんて呼ぶ年終わりましたよ?」


「いーの、あーちゃんはあーちゃんだから。前みたいに、司兄ちゃんって呼んでよ」


「だから嫌ですって」


「あーちゃんはケチだな〜」


「そーゆー問題じゃないからっ!それより、仕事しましょうよ」


「はいはい、皆〜注目して!今日から配属になった、平坂梓さん。あーちゃんって…」


私は中曽根さんの口を塞いで、


「平坂梓ですッ!よろしくお願いしますっ」と頭を下げた。


「じゃあ、あーちゃんは、横山さんの隣だから」


「平坂さん、こっちよ」


手を上げて呼んでくれた横山さん。


ありがとうと言って、デスクについた。


「ねぇねぇ、平坂さん。私のこと覚えてる?」


「えっ…あぁっ!ヒカリ先輩!?」


ヒカリ先輩は、サナン商事時代も隣で、よくお世話してもらった人。


「中曽根部長と知り合いなんだ?」


「中曽根さんとは親戚なんです。まさかこの会社にいるとは…」


「じゃあ、立橋さんがいるのも…?」


「実は知らなくて。面接に来て驚きました」


「そうだったの」


「知ってたら、多分来てないですね」


「私でもきっとそうする」


「でも、ヒカリ先輩がいてくれたから、来て良かったです!また後輩として、宜しくお願いしますっ」


こうして、私の1日は始まった。


途中入社ながら、温かく迎えて貰えたのは、ありがたかった。


それが、流都さんはじめ、サナン商事時代の知り合いがいて、中曽根さんという直属の上司が親戚なんて恵まれた環境だからでも。


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