あなたと出会えて幸せでした
「今日は早く帰って来れそう?」
「大丈夫。
りいとまいの誕生日だからな。
仕事減らしてあるし。
じゃあ行ってくるよ」
今日は璃衣花と愛衣花の誕生日。
2人も今日で、6歳だ。
流都さんは私に手を振り、外に出て行った。
「行ってらっしゃい」
私も流都さんに笑顔で手を振って見送る。
―――あれからもう5年。
やっと翔真がいなくなって出来た心の穴が塞がってきた。
だけどまだ、最後に会った日の顔が浮かんではズキズキと胸が苦しくなる。
「…お母さん、ちょっと邪魔」
私が感傷に浸っていると、唯花が言った。
「唯花、忘れ物はない?」
「心配性だなぁ、大丈夫だってば」
中学3年生になって、唯花はちょっと反抗期。
「行ってらっしゃい」
「…行ってきます」
ふてぶてしいながらも、毎朝ちゃんと行ってきますと言って出て行く所は変わらない。
流都さんと唯花を送り出した後は、璃衣花と愛衣花の準備。
年長さんになって、自分で出来る事はしてくれるようになったから、少しだけ余裕がある。
ここに来るまでが大変だった。
幼稚園に通い始めたばかり頃は地獄だった。
なかなか起きない璃衣花に、ぐずぐずしてご飯を食べない愛衣花。
歯磨きも着替えも2セット。
幼稚園に送り出してほっとするのも束の間で。
それまでに出来なかった家事を済ませたり、買い物に行ったり。
それが終わると、あっという間にお迎えの時間がやってくる。
そんな慌ただしい毎日だから、私は前を向いていられたのかもしれない。
一人考え事をする時間があんまりなかったから。
それでも子供達が寝て、流都さんの帰りを待つ時間は、嫌でも色んな事が頭を過る。
それが、アメリカへ行った翔真の事だったり、流都さんの事だったり…。
そしてやっと、私達は本当の夫婦になれたと思う。
再婚して8年。
開き直りと言われれば否定しきれないけど、私は素直に自分の気持ちを伝えられるようになった。
前までの私は翔真への気持ちを捨てきれず、流都さんに後ろめたい気持ちがあった。
だから、遠慮して、良い子ぶって、絶対に否定的な事は言わなかった。
でも今はお互いに言いたい事言い合って、溜め込まない。
それがこの幸せに繋がってると思う。
…翔真との事は無かった事に出来ないし、これからも完全に忘れる事は出来ないと思う。
だけど、私は流都さんを選んだ事、後悔してない。
今は胸を張って流都さんを愛していると言える。
でもね。
翔真…
あなたと出会えて幸せでした。
私の青春はあなたがくれたきらきらの思い出たち。
本当に好きだったよ。
流都さん…
裏切ってばかりの悪い妻を愛してくれて、ありがとう。
あなたの妻になれて、私は幸せです。
ずっと一緒にいてください、愛する旦那様。
私は2人に出会えて、愛されて本当に幸せです。
この小説を書いている時に世間では色んな不倫が騒がれてました。(今も、だけど)
私は否定も肯定もしません。
でも嘘はいつか、必ずバレます。
…私の嘘もいつか、暴かれるのでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ちなみに、流都さんは、一度梓のスマホを見てしまいました。
それから、不倫の相手が翔真であるという所に辿り着きます。
なかなかの名探偵です(笑)
その辺りとか、かなり加筆修正したい所がありますが…
今は次の作品を書きたいので、いずれ出来ればと…




