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13の理論  作者: 安藤真司
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セカンドページ

「鶯よ」

「うぐいす……春告鳥ですか」

「そう。柴山君に春を告げに来たの」

「春告げに来て部屋で死にますかねぇ」

「じゃあ(にしん)よ」

「結局春告げに来てるっ!?」

「柴山君もしかして突っ込みの腕上げた?」

「先刻から話ズレっぱなしですね元に戻「そろそろ敬語やめて欲しいんだけどな?」

「……そんなこと言われましても、やっぱり」

「由紀人好きっ」

「黙れ琴音(ことね)っ!!」

「そういえば私の紹介まだじゃない?」

「くっ……なんなんだ……えっと、必要、ですか?」

「紫山君」

「柴山です」

「兄弟とかいたっけ?」

「へ、いえ、いないですけど」

「やっぱ最低限やんないとな~」

「なにがです?」

「紹介」

「あぁ、えと、藤崎琴音(ふじさきことね)さん」

「だから、敬語」

「あー、うん、藤崎?」

「……」

「藤崎……藤崎?」

「藤崎って誰よ」

「お前だよ琴音」


「お姉ちゃんの彼氏、うるさい」

「だから彼氏じゃないって、私の片思い」

「どこがいいのさ?」

「話聞いててわかんない?」

「全然」

「自分が一番傷つくのが嫌なくせに人の傷を全部受け止めちゃうトコとか」

「それってマゾってこと?」

「とは違うかな。お人好しって感じ?」

「あのぅ、俺もう帰ってよろしい?」

「必要最低限やることやってくれよ彼氏」

「やること、って」

「紹介」

「結局それかよ……藤崎静音(ふじさきしずね)さん」

「敬語」

「はいはいわかったよ静音」

「馴れ馴れしい」

「あーもうわかったよ藤崎!!」

「私何か悪いことでもしたっ!?」

「絶対わざとだろ琴音っ!?」



なんとここまで語り部不在とか。

ではでは。

あの事件のあと、つまり13が血まみれで死んでいるのを見た後、俺は大学の研究室で夜を過ごした。

その状態を端的に表現すれば、半狂乱だ。

そして翌朝家に帰ってみると、何もかもがなくなっていた。

13に関するものが俺の周りから欠片も残さず消えていた。

件の写真もなくなっていたのは余談。

デジカメのメモリーもなくなっていたのは余談。

俺の部屋の壁には傷一つなかったし、少しも荒れていない、前の状態が戻っていた。

寮の管理人も13を知らないと言うくらいなので、未来が何かをしたのかもしれない。

とにかく、13のことについては謎だらけのまま、向こうで勝手に幕を下ろした、ということなのだろう。

それと関係あるのかないのか、俺は日本に帰ってきた。

向こうの大学を辞め、日本の大学に編入することを決め、しかし特に授業に出たいという気力もなかったのでやたらと実力だけは感じられる成績表等を乱用し、文系でそこそこの所に入学することに成功した。

今回、寮ではなく大学の近くのアパートでも借りようかと考えていたのだが、丁度クラスメイト(という表現は間違っているが意味が通じれば問題はない)で近くのアパートに住んでいるという藤崎琴音が、一室空きが在るという情報をくれたのでそこを借りて、今に至る。

まぁ、話そうと思えばそこ藤崎琴音に関して。

今の微妙な関係に至るまでに一つ二つ山場というか修羅場というか、そんなものを迎えているのだが。

その話はいいだろう。

さほど重要ではない。

特に、今の俺にとってはそんなことは少しも問題ではない。

ともかく、そういった流れの中で、藤崎琴音の二つ年下の妹、藤崎静音とも知り合うようになった。

たびたび琴音に呼ばれて彼女の家に行くのだが、俺はもちろん、静音も実はかなり迷惑していたりする。

断る理由もないので、静音には悪いが藤崎家でのんびり談笑していることは多い。

琴音は明るい性格で、見た目からもそれが窺える。

少し背は高めでボブカットにした髪はほんのり茶色に染まっている。

肌は透き通るように白く、ちなみに胸はでかい。

静音は対照的に胸が高二にしては小さ背丈が高2にしては小さく、流れるように艶のある黒髪を、肩を越える長さにまで伸ばしている。

無愛想ではあるが、それは琴音曰く、

『恥ずかしがり屋さん』

だそうで、目の前で琴音にそう言われていた静音も否定しなかった。

顔立ちはやはり姉妹で似ており、肌が白いとこも共通している。

以上説明終わり。

閑話休題。

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