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プロローグ

皆は勇者の物語を知ってるのか?

弱いものを救いながら、悪人を倒す凛々しい存在。皆がそんな勇者を憧れ、そして尊敬する。でもその後勇者はどうなるのか?


……、


その後の話は誰も知らない。勇者はいつも悪い者を倒す。それ以外はなんでもない。こんな勇者の先入観は一体どこから始まったのか。それも分からない。いつの間にか決められた事だからだ。だとしたら他人が勝手に決めた先入観を守る必要があるのか?だからって社会的に反する行為をするのではない。そう、政党なことをすれば良いのではないか。


と、考える者が居た。




「はあ、だるい…」


勇者の朝は遅い。眠りから起きても特にやる仕事もないし、やりたい仕事もない。まさにこの世界は平和だ。こんな平和な世界になった事も全部自分が魔王と戦って、世界を救ったからだ。

正確に言うとと何年前。


とある魔王がこの世界を侵攻した。その魔王と魔王の軍勢の力はとても強かったので人間の力では敵わない。なので侵攻された王国の王は世界中の名乗られる者たちに魔王を倒す事を命じた。数多いの実力者たちは力を合わせ、大元帥たちを倒し、魔王の前まで到着した。そして時の魔王の声が今でも聞こえる。



========================================




「俺はスッゲ―――― 強いんだ――!うはははははは――――!!!」


そう。本当にスッゲ――――強かった。世界から集まった実力者たちを虫のように潰す馬鹿力。まさに魔王の力。

倒れた王国の兵や、冒険者たち。だが一人の男が立っていた。男は剣を握り、駆け出す。


「俺も…、」


今まで一緒にすごした仲間たちの死体を乗り越えて、走る。

狙うのは目の前の奴だけ!


「俺も――――!!」

「来るのか!最後の人間!言っとくけど俺は強い!誰よりもだ!!」


魔王と男は走った。互いの全力を持って、そして男は叫んだ。


「俺もちょぉぉぉぉぉぉぉお――――!!強いんだ―――!!」


それが勇者誕生の瞬間だった。

勇者と魔王の戦いは続いた。昼も、夜も。ある時は勇者が勝って、ある時は魔王が勝った。もはや二人の戦いに世界の命運など存在しない。ただ己の前に立つ相手を倒すことだけが全部。魔王が勇者と戦いをしている途中、世界は自然に平和になった。

平和になった世界だが、勇者と魔王の戦いで誰が勝ったかは分からない。しかし魔王から平和を取り戻した勇者を人々たちは尊敬した。世界を救った救援者だと。





========================================




「そう言えばあれからだいぶ時間がたったな。モンスターも出ないし」


自分の家の天井を見ながら呟いた。ある意味自分が作った平和に文句を抱くのもなんだが…、

する仕事がない。いや、一応、勇者なのでモンスターの侵略から街を救う事もそれっぽいんだが、あれ以後、魔王の奴が自分が支配するモンスターたちに街を襲う行為を禁じたそうだ。変な話に聞こえるかも知らんが、まず魔王が人間と仲良く過ごしたいとか、そんな事は絶対ない。ただあいつはモンスターたちが街を襲うと勇者がよけいに力を使って自分と戦う時に全力で戦う事が出来ない。

という理由だ。実はそんな内容の手紙が勇者の部屋に届いたのだ。ちなみに自分が住んでる魔王城の住所も書いて送った。


「いや、魔王だろ、一応…」


もはや勇者とか魔王とか関係なくなった気がする。何て言うかな…、そう。このままではいつかはあの馬鹿魔王が自分の家まで遊びに来るような――――


「勇者よ!俺が来た!」


そうそう。こんな感じ。

いや、考えるだけなのに奴の声が耳元まで聞こえる。

うん。俺の聞き間違い……


「ゆうしゃ――――――――――」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」


思いっきりワンパンを奴の顔に打ちこむ。

よし。俺が見てもナイすな打撃だった。


「貴様!いきなり俺の顔に!これは何の蛮行だ」

「てめえこそ何の嫌がらせなんだ!」

「暇で死にそうな貴様のためにわざわざ足を運んだものを!」

「頼んでない!」


俺は聖剣で、魔王はすぐ魔剣で対峙した。無論、昔のように互い本気ださない。その気だったらこの街はもちろん、周辺は世界からとっくに消えた。

いや、本当に来るとは何のつもりだこいつは。


「おかしいな、手紙はちゃんと見たのか?今日中に貴様の家に行くと書いてあるはず」

「いや、どこにも…」


前に貰った手紙を再び確認してもそんな内容はどこにもない。一体何の考えなんだこの馬鹿は


「あるんじゃないかここに」

「うん?」

「いや、ここだここ」


よく見ると右側下のは端っこに本当に小さな文字があった。

【明日行く】


「………」

「ほら、馬鹿か?手紙はちゃんと見ろ。それでも世界を救った勇者か?」

「お前には聞きたくない。で、なんで来た?」


こう見えても一応、世界を救った勇者と世界を侵略した魔王だ。一応な…

魔王はなんだか自慢の顔で話した。


「勇者よ。俺は退屈だ」

「お前な…、魔王だろ。悪の支配者だろ」

「はあ…、これだから人間は。まずはこれを見ろ」

「は?」


魔王が出したのは古い本だった。今は使わない古代国家の文字に書いてる本。なんか高風的な感じがする本に見える。

魔王は本を広げてあるページを見せた。


「俺が城内で調べたところ、実は世界中は色んな次元が存在する事実を知った」

「で?」

「で、ではない。未知の世界。それはつまり無限に広がる世界って事だ。勇者たる者が挑戦しなくてどうする!」

「いや、魔王が勇者に心得を教える時点でお前は魔王失格じゃないか…?」


えいっ、黙れ!と言いながら魔王は広げた本を指した。


「異世界に行くためには厖大な力をぶつける必要がある。ただの力ではない。互いに反対的な力だ」

「水と火みたいな?」

「そうだ。だが残念だが俺は水使いや、火使いではない。魔法は使いこなせるが、究極的な魔法は魔王である俺でも不可能だ。が、反対的な誠実は水や火だけじゃない」


魔王は俺を指で指した。それはつまり…


「光と闇…、か?」

「そうだ。光と闇は水と火よりもっと反対的な誠実をもってる。よって――――――」

「断る」

「いや、まだ話が……」


聞かなくても十分分かる。だからこいつは俺の聖力と自分の魔力の力で異世界に行く。という話をするつもりだ。


「そもそも異世界に行ってどうするつもりだ。異世界征服でもするのかお前は」

「ふん、こうなるとは思った。だが!」


魔王が手を広げた。その瞬間、窓に見える外が黒くなり、体が止まった。

空間支配。

上級の存在が使うスキル。勇者の家だけ空間支配したとはいえ、この家は勇者の拠点。そう簡単には出来ないはずだ。だが、

相手は魔王だ。


あの大馬鹿が!


「はははははっ、勇者よ!俺は望む!新しい世界を!そのため、勇者であるお前は俺のためにすばらしい生け贄になれ!」


いや、待って。確かに異世界に行くためには…


「おい、魔王」

「うん?」

「それさ…、俺が聖力を出さないと出来ない…のでは?」

「え?」


馬鹿だ。こいつは正真正銘の馬鹿だ。


「あ…、その、勇者よ――― いや、勇者様」

「………」


わあぁ、『様』付けた…


「………」

「………」

「;;;」

「;;;」

「ふふふふふふふ……」


ついに頭までおかしくなったのか。だが不幸はまもなく起きた。


「勇者!たとえお前が聖力を使わなくても方法はある!そう、これだ!」

「は?一体何の――――――- っ!!!!」


しまった!

魔王が指したのは先俺が出した聖剣! そして魔王は聖剣を床に置いて自分の魔剣を手に持った。


「おい、ちょっと、あの…、魔王さん?いや、魔王様?」


聖剣はその自体が聖力だ。それはつまり

魔剣も魔力そのもの。


「ふはははははははははははははははは!」


終わった。魔王は勇者の聖剣に自分の魔剣を全力でぶつかった。


「てめえ、魔王ぉぉぉ―――――――――………」


言葉が消えた。最後に見えたのは俺を見ながら笑ってる魔王の面上だけ。


「喜べ勇者よ!これで俺の!いや、魔王と勇者の物語が新たに生まれる!」


そう。

俺、勇者と、あのくそ魔王は異世界に行きました。

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