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「確かに、種族としてはお主が考えておる通り、高次元意識生命体という種族だが、如何せん硬すぎる・・・お主も呼び難いだろうし、神と呼んでくれんかの?」
此方が防御で自身を閉じているにも関わらず、意識を読んでくる「神」を名乗る高次元意識生命体。
確かに、常に高次元意識生命体と呼ぶには長過ぎるのだが・・・
改めて神を見やると、初老の男性に見える存在が目の前にいた。
取り敢えず、神は俺の前では現在の姿を取るつもりらしい。
「咄嗟だった為、反応出来ず申し訳ない。」
身体が無いのは承知の上で、頭を下げたつもりで謝罪の言葉を述べる俺。
俺の言葉に気を良くしたようで、神の表情には柔和な笑みが浮かんでいる。
「気にせんで良い。お主程の手練れな魔術師がここに来るなどそうそう在ることでは無い故な・・・」
どうやら、隠し事は無意味である様だ。
此方が一方的に閉じていても、此方の事をほぼ読んでいる様子。