最終話
「あなた何をしたの?」
奇妙なものを見るような目で女は言った。
「僕は嘘をついただけですよ」
大塚は笑顔で言った。
「どんな嘘なんだよ」
若い男は興味深そうに言った。
「どのような方法でも良い」
老人が目を瞑ったまま言った。
「直接大八木に関わったわけではないのじゃろう?」
「もちろん」
「どうかしらね」
「よさんか、もう終わったことについてとやかく言ったところで何の利も生まん」
「僕はこれで失礼してもいいですか?」
「おっさん、デートかい?」
「わがままな狐に会いに行くだけだよ」
大塚は苦笑いと共に口にした。
***
なぜ伊勢が生きているのか?
俺のこの些細な疑問は全員で買い物に出かけ、伊勢によって再度作られた数々の料理を食している最中に判明した。
大八木の背後で爆散した瞬間、五十メートル離れた地点まで瞬間移動したらしい。そしてそこで気を失い、次に目を覚ましたのが、病院のベッドの上で、どうやら伊勢も俺たちと同じく大塚さんの働きによって命を助けられたらしい。
本当に何者なんだよ、あの人は。
「ねぇ、なんでこの家新築の一軒家に生まれ変わってるの?」
「月夜が勝手に建て替えたんだよ」
「影千代さんも共犯です」
「じゃあお礼はいらない?」
「わたしが全部やりました」
「ありがとー、月夜ちゃん」
伊勢は月夜の頭を抱いた。
随分と調子のいい奴だよ。ほんと。
「そうだ、みんなで写真撮らない?」
唐突だな。
「いいですね」
「じゃあ、決まりだね」
「俺の意思確認はしないのかよ」
「影千代さんはどうせカメラマンで参加が決まっていますからね」
「そうだね、影千代君はカメラマンでいいね」
「いや……」
「なに?」
「なんですか?」
「どうせなら俺も映りたいかな、と」
「じゃあカメラマンと兼任頑張ってね」
「影千代さんなら出来ます」
そこは瞬間移動という実に便利な能力をもった伊勢がカメラマンでいいんじゃないのか。という実にもっともな俺の意見は口にすら出すことなく却下されてしまう。
くっ、なんで俺はこんな役回りなんだ。
「じゃあいくぞ」
俺はタイマーを五秒にセットし、滑り込むようにして適当な位置に陣取る。
『カシャ』
フラッシュが俺たちを包み、とても軽いシャッター音が鳴った。
というわけで、最終話でした。
至らぬ点が多々あるとは思いますが、少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。
はい、というわけで『ギフト』終わりです。
ここまで読んでくださった方、そうでない方もありがとうございました。




