デスゲームのラスボス戦

(注)作者はMMOをプレイした事がありません。

　前略―ログアウト不能、死んだら終わりのデスゲーム、というよくあるVRMMORPGで、三年掛かってラスボスである魔王バーミルドの元にたどり着いた。まあ、ゲーム時間は24倍速らしいので現実世界では45日程度なのだが。

　ちなみに最初は二万人いたプレイヤーも四割死亡した。

　魔王城に突入する時点で200人いた攻略プレイヤーも城内のトラップや中ボスとの戦闘で王座にたどり着いたのは120人だった。

　やっとだ、この魔王さえ倒したらゲームクリア、現実世界に帰れるのだ。そう思っていた……

　ラスボスなんだ、ＨＰゲージが十段あっても仕方がない。

　ラスボスなんだ、ゲージが一段減る毎に変身しても仕方がない。

　ラスボスなんだ、変身する度に攻撃力、耐性、質量が増加するのも仕方がない。

　だが……

　魔王バーミルドの魔法を、必死で回避するプレイヤー。避けた魔法が床を抉り柱を壊す。飛び散る破片がプレイヤーのHPを削る。

　魔王城を破壊可能オブジェクトにするのはやめろ!!

　倒れてきた柱に潰されたプレイヤーは一人や二人ではない。床なんぞとっくの昔に抜け落ちて今なおひび割れ行動を妨げる。

　ゲージも残るは一段、しかも半分以上削っている。ここにきて魔王の攻撃が激しさを増し、ついには、

　ドガァッシャアッッァ!!

　天井が落ちてきた。

　大量の瓦礫が真っ先に巨大化した魔王のHPを僅かだが削っていく(笑)。だがすぐに瓦礫は自分達にも降り注ぐ。ダメージは魔王の比ではない。あっという間にHPが０になり死亡するプレイヤー。自分の真上にも巨大な瓦礫が落ちてきた。

　「ふざけんなーっっ!!」

　グチャッ

　俺の人生はこうして終わった……

　『魔王城崩壊と共に魔王バーミルドは撃破され、ゲームはクリアされました。生き残ったプレイヤーはゲームから自動的にログアウトします。繰り返します、ゲームはクリアされました……』

続きません。