正しい友達
短編です
高校の頃の友人と久しぶりの再会。4人で集まるとカフェで数時間、下手したら一日中喋っている可能性もある。
「でさ~、彼氏超いい人なんだけど、仕事仕事でさ~、全然かまってくれないの!」
「えぇ~寂しいじゃん」
「そうなの~」
「じゃぁ別れちゃえば?」
でた。この中で一人、ちょっとずれてることを言うA子。B美も、C代も彼女が口を開くと笑って「なにそれ~」なんて言って笑ってるけど、私は少し、A子のことが恐ろしかった。
「えぇ~、でも別にそんなに別れたいとかそう言うんじゃないのよ~」
「そうなの?でも不満が出るってことは、やっぱり何かしら合わない部分があるんだよ」
「そうなのかな~」
「A子ってそう言うのきっぱりしてるよね~」
「きっぱりしてるって言うか、私を嫌な気持ちにさせる相手が悪いかなって思うから」
「あ~、まぁそれは一理あるかな~」
これは、指摘するべきなのかずっと悩んでいたんだけど、高校生の頃から、極端に“嫌ならやめれば良い”という固定概念を筆頭に、彼女はそうふるまってきた。彼女は文化祭で演劇がやりたいと言ったが、他のクラスメイトはカフェで良いという結果になり、彼女は準備にも当日にも来なかった。体育祭だって、出たかった競技に出られないとわかると、途中からでも帰ってしまったりする、ちょっと変わった子だった。
私やB美、C代とは、なんとなくウマが合っていたようで、一緒にいることが多かったけど、あの時も、彼氏が~、選択受業が~、部活が~、と愚痴をこぼすと、彼女は決まって「じゃぁやめればいいじゃん」と言った。
「今の会社、結構古いんだよね、価値観が」
「あ~、前例がないから~とか言われるんでしょ?」
「そうそう」
どうやら話題は仕事の愚痴に変わって行ったようだった。でも相変わらず、A子は「じゃあ辞めなよ」と言って、B美とC代から笑われていた。
どうしよう、これ、私がおかしいのかな。なんでB美もC代も笑って聞けるんだろう。ただ愚痴をこぼしたいだけなのに、すぐに極端に辞めればいい、別れれば良いって言えるんだろう。
私も社会人になっていろいろな人と接してきて、A子の異常さというか、異常なまでにきっぱりとした性格が、やはりどこかほかの人とは違うのだということには気がついていた。でもそれを指摘する勇気もないし、別にそれで、何か問題があったわけでもない。それに他の二人だって、笑って過ごしているんだ。だから、私はこの空気の中でニコニコ笑って話を合わせていれば良い。今日のこの一日を、無難に、楽しく過ごしていければ良い。
だって、私たち、友達なんだから。
「あ、ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
「あ、アタシも~」
B美とC代が席を立った。A子と二人きりになるのはちょっと気まずい。でも、無難に、普通に接していかないと。笑顔笑顔。
「ねぇ、あんた、アタシの事苦手でしょ?」
笑顔がひきつる。背中をヒヤリとしたものが駆け下りていく。
「え・・・っと・・・」
「B美とC代も苦手でしょ?なんで一緒にいるの?」
「え・・・だって私たち友達だし・・・・」
——嫌なら友達やめればいいのに——
それが出来たら・・・




