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“それ” は劣化チートおじさん  作者: バンブー
青少年編(前編)

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第85話 男性嫌悪よ

 ロイスとシャルが先頭を歩き、俺が後を着いていく形で森の中を進む。

 主にシャルが足跡など痕跡を捜索し、ロイスがその護衛。俺は敵が近づいていないかの警戒役となった。


「ロイス様、足下お気をつけ下さい。木の根が出ております」

「ありがとうシャル」

「ロイス様、葉がくっついております」

「ありがとうシャル」

「ロイス様、靴に泥が付いて――」

「あ、ありがとうシャル」


 俺の目の前で、若いメイドが主人の身の回りの世話を行い続けている。

 常に無表情なシャルがどことなく嬉しそうな雰囲気で、ここぞとばかりにロイスへくっつこうとしているのが分かる。

 別に羨ましい訳ではないのだがこの緊張感の無さ、本当にこの人選で良かったのか疑問が浮かんできた。

 一応遊びではないのだから気を引き締めた方が良い。

 俺は彼等の間に水を差すことにした。


「それで、ゴブリンか子供達の痕跡は見つかったのか? シャルちゃん」

「……」


 俺の言葉で無言になるシャル。

 対して何故かロイスが俺の質問に答えた。


「方向はこっちで間違いないみたいなんだ。靴後もちょくちょく見つかっているみたいだからさ」


 俺は頷いて見せるが違和感を覚える。

 シャルに対してずっと疑問に思っていたのだが、俺に対する距離感が非常に遠い気がする。雰囲気的に何か見えない壁を作られているようなそんな感じ。


「なあ、シャルちゃん? 俺、何か悪いことをしたのか?」

「……」

「いや、俺の勘違いなら申し訳ないのだが何かやたらと避けられている気が……」


 そういうとまた庇うようにロイスが話す。


「ああ……ごめんイット君。シャルは僕以外の男性が苦手なんだ」

「……男性恐怖症ってやつか?」

「うん、イット君も知っていると思うけど5年前に僕達が出会って以降ね……」


 ロイスが濁しながら話した。

 俺も直接は言わなくて良いと言った。

 5年前に盗賊や荒くれ冒険者達に廻されていたのだ。

 男性に嫌悪感を抱くのは分かる。

 俺も自分という存在が負担になるかもしれないと思い極力近寄らないし、話し掛けないようにはしていた。

 しかし、しかしだ。


「少なくとも今の俺達は仲間だ。嫌でも俺と会話をしなきゃいけない状況だって出てくる。そんな時に返事もろくに返ってこないのは困るぞ」


 俺の意見に、ロイスが答える。


「それは大丈夫。彼女はちゃんと状況を見て判断出来るし――」

「いやロイス。何で君が答えるんだ? 俺はシャルちゃんに話しているんだ」


 何故か変にフォローし続ける彼を静止させシャルを見る。


「恐怖症やトラウマがあるのは理解出来る。でも、それを承知の上でロイスに着いて来たのだろ? それとも、俺みたいな男と絶対に関わらずに行けるって考えていた訳ではないよな?」


 厳しいようだが、旅だってまだ日が経っていないからこそお互いにハッキリさせておく必要がある。俺達の世界でいうアルバイトとは訳が違う。

 人の生き死にがかかっている以上、わずかな失敗が命に関わると思っている。

 先程の彼女も自身の力を証明したいのなら、いずれはぶつかる問題のはずだ。

 彼女が何と答えるか、黙っていると……


「……はぁ」


 ……はぁ?

 何だ? 俺の聞き間違いか?

 まるで、説教がダルくて態度に出てきた様な、凄いめんどくさそうな溜め息をしたぞこの子。

 シャルが続けて、


「かしこまりました。不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」


 彼女は目を閉じながら俺に深く頭を下げた。俺の捉え方が悪いのか、嫌々謝られた声色に聞こえる。

 ロイスは彼女に笑顔を向ける。


「偉いなシャル。君のことは僕が支えるよ。無理しないでくれ」


 シャルの頭をロイスが撫でる。

 すると氷のように冷たい表情のシャルが熱を帯びて頬を赤く染める。


「ありがとうございます。ロイス様……」


 何だこの遣り取りは……

 コイツらは付き合っているのか?

 色恋沙汰は、前世の時から苦手だったがこうして目の前でイチャイチャされると更にどうしたら良いのかわからない。

 俺が呆然としていたその時だった――



「たすけてええええええ!!」



 突然叫び声が聞こえた。

 俺達は目配せをし、声の方へと向かった。

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