第44話 休日よ【挿絵有り】
そんなこんなあって、翌日となる。
「イットおおおおおお! 起きて! 朝だよおきてええええええ!」
柴犬の姿になったコハルが俺達の寝室へと全力で駆けてくる姿が見えた。
早起きのコハルは、毎朝同じく早起きのガンテツの手伝いをしてからこちらへ来る。
毎日見る光景だが、何かいつもより早い気がする。
「んん……あと、五分」
「イヤああああああ! 起きて起きて起きて起きて起きて起きて起きて!」
俺の上でコマのように回転し始める柴犬。
毛布も引っ張ってくるが抵抗していると、ついに柴犬から人間の裸姿に戻った。
またがるコハルは、俺を揺さぶってくる。
「イット! 今日からお休みくれるんだって! 一緒に遊びに行こうよ!」
「うるさいな……休み? 休みなら寝たい……そして服を着ろ」
たぶん変身した時に脱げたであろう服が手元に届く距離にあったので無理矢理渡す。
「イヤだ! イット起きて! 起きて! 起きて! 起きて! 起き――」
コハルは起きてコールが頭に響く。
今度は俺にまたがり服を着ながらギシギシと俺を揺さぶるウチに、声が吐息へと変わっていた。
「……ん?」
「イット……なんか……変な気分になってきちゃった……」
「……は!?」
コハルに何が起きたのか想像が出来た。
しかし遅い。
悲劇は止まること無く、今度は部屋のドアが開きフライパンとお玉を持ったアンジュが現れた。
「もう……うるさいわね! そろそろご飯だから早く起きなさ――」
この光景を見たアンジュは、持っていた金物達を落として硬直する。彼女はみるみる顔を真っ赤にしていくのが見えた。
「イット起きてえええええ! 腰が止まらないのおおおおおお! おかしくなるうううううう!」
ガクガクと俺を掛け布団ごと抱きしめて服が乱れた姿で腰を打ち付ける発情期のコハル。ミノムシのように拘束された俺に為す術はなかった。
「あ、あ、ああああアンタ達!! ここから出て行きなさいよおおおおおお!!」
アンジュの叫び声が木霊すいつもの朝。
その日の朝食を済ますと、突然ガンテツから小さな金袋を二人分渡された。
「これは……」
「ちょいと早いが給料じゃ。子供が持つにはちと多いから少しだけじゃがな、一日と半日分それぞれ100Gを渡す」
「あ、ありがとうございます!」
「それと、コハルから聞いてると思うのじゃが、今日は休めお主等。せっかくだからこの街を散策すると良い」
休みは労働者として当然かもしれないが、人情味溢れるはからいが嬉しい。
服をちゃんと着たコハルも尻尾を振りながらお礼を言った。
「嬉しい! ありがとうガンテツ店長! それにアンジュちゃん!」
「うむ、擦られるなよ」
「そうよ! 治安はそこまで良くは無いんだから、アンタ達が少し戦えたとしても憲兵を呼んだ方が良いからね! わかった? 特にコハル! むやみに犬になっちゃダメよ! 犬になってたら服が脱げるんだから気をつけなさいね!」
「うん! わかった!」
お母さんのように注意を促してくるアンジュに俺達は頷く。
身支度を調え、俺達は出かける。
「「行ってきます!」」
給料を大事にしまい、冒険者の行き交う
街へ俺達はくりだした。




