エピローグ。
宝くじと雷が当たる確率は同じくらいだと誰かから聞いた覚えがあり、それを馬鹿正直に鵜呑みにするのならば、前者と後者には月とスッポンくらいの差があり、やるせなさを感じてしまう。
どう考えたって前者の方がいいに決まっている。
──だったら、今のこの僕の現状はまさかの前者ではないだろうか。だとしたら──
──だとしたら、えのと出会った僕はだいぶ運がいいのだろう。
なにせ僕は宝くじが当たるという強運よりもまだ凄い、命を助けて貰うという幸運に恵まれたのだから。まさか、まさかの超前者。
依然として、なにがどうして、どうなっているのかが全く分からない状況ではあるのだけど、えのが仮定したように、えのが作った意思を持った自動物が、もしも、本当にもしもだが、上白まなぎを狙って襲ってきたのであれば、一緒に居たに過ぎない僕は単に巻き込まれ、なす術もなく死んでいたのだから。
生きていられるのは、正に幸運だ。
なのだけど、
「ふはははははは!! それにしてこの世界は最高だな。アニメを見ながら菓子とジュースを飲む。これ以上に素晴らしい事が他にあるのか? いや、ないな! バリバリ、ボリボリ。バリバリ、ボリボリ。ふははははは! ゴクゴクゴクゴク。ふはははっっケプッ! ふははははははは!!」
僕の命の恩人はこんな感じなので、その恩義はあまり口に出さないようにしていた。
それに、
「……えの、お前がさっきから食べて飲んでいる菓子と飲み物だけどな……それも、全てが金が絡んでいるんだ。だから残念ながら……いや、少しも残念ではなく、残念なのは僕なんだけど、まあ、取り敢えず、お前が至福に思うその時間は暫くやって来ないからな。シュークリームの時も話たけど、物は無限じゃないからな」
と、えのにはこの世界における金の重要性と人が人に対する礼儀をもっと知っていただかないといけない訳だし。
「なっ! また我慢か! 我慢ばかりしていたらちっとも楽しくないではないか! なんだお前の世界は? 我慢が大好きなのか!?」
我慢が大好きな人はたぶんいない。けれど──
「……我慢があるから、割と平和な世界なんだ……」
僕はなんとなく良い事を言って締め括った。




