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プロローグ
宝くじと雷が当たる確率は同じくらいだと誰かから聞いた覚えがあり、それを馬鹿正直に鵜呑みにするのならば、前者と後者には月とスッポンくらいの差があり、やるせなさを感じてしまう。
どう考えたって前者の方がいいに決まっている。
──だったら、今のこの僕の現状はまさかの後者ではないだろうか。だとしたら──
「運がいいな、お前」
僕の人生はたぶん今日で終わりなのだろう……。
「──どうした? この世界の人間よ。もっと喜んでよいのだぞ──ははーん。そうか、喜び過ぎての放心というやつか、カワイイ奴よ」
腕を組み、膝を組み、威圧的な態度でそう言ってくる“少女”。ただその小さな身体が椅子やソファーに預けられているのなら僕だって平常心を保ったままで無視してやれたのだが……あろうことか、彼女は宙に浮かんでいたのだった。
宙に浮かんで、尚且つ座ったような姿勢をしている少女。
「ふははははははははは!!」
……しかも笑い声が大分アレな感じ……。
「……ああ、やるせない……」