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オブラートー1分で読める1分小説ー

作者: 浜口倫太郎

「やい、うすのろ! とうへんぼく! まぬけ!」

宇宙飛行士の男が空を見上げるように、ペトラ星人に向かって叫んでいた。

ペトラ星人は大型の巨人で、男の何十倍も大きかった。



同僚がたしなめる。

「おい、何やってんだよ」

「ストレス発散してんだよ」

「巨人が怒ったらどうするんだよ」



「こいつら人は食わねえし、おとなしいからキリンみたいなもんだよ」

「まあそれはいいけど、悪口ももう少しオブラートに包んで言えよ」

「その例えよく聞くけど、どういう意味なんだ?」



「オブラートっていうのは、半透明の薄い膜だ。粉薬など飲みにくい物を包んで飲むのに用いるんだよ。そうしたら飲みやすいだろ。

それが転じて、直接的な刺激のある表現は避けて、婉曲的にするっていう比喩で使うんだよ」

「なるほど」



そう男が膝を打つと、巨人が男をつかんだ。それから大きな葉で男を包むと、パクリと食べてしまった。同僚はかん高い悲鳴を上げ、ガタガタと震えた。



そこに巨人の友達が来た。

「おいおい、大丈夫かよ。たしかに地球人は良薬とはいうけど、苦すぎて食えたもんじゃないぜ」



「こいつらの話聞いてたらさ、この甘いマルキミの葉に包んだらいけるかなって閃いたんだ。ぜんぜん苦くなかったぜ」



「ほんとかよ。新発見だな」

ああと巨人がうなずくと、こう付け足した。





「あとこの葉っぱの名前をこれから『オブラート』にしようぜ」


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― 新着の感想 ―
オブラートってボンタンアメの包み紙のことだと思っていました。 けれど違ったんですね。気付きを得られて良かったです。
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