始まりの星
”それは遥か彼方にあるようで常に自分が持っている星”
当時12歳だった少年はとある青髪の「星剣師」によって怪物から家族や村の人を救う姿を見る。その戦う姿はまるで全てを明るく照らし、直視すると焼けてしまうようなような「星」そのもの。
「ちょっと火力足りてないな、村の建物被害はあまり出したくないけど……って言ってたら人に被害が出ちまうか」
「総隊長!住民の周りに10人で星結界を貼ります!星剣武装を!」
一緒にいた星剣士達が星剣師に声を上げる
怪物と戦いながら星剣師は
「お、気が利くじゃねぇか!しっかり貼っとけよー!お前らが怪我する分には気にしないが住民に怪我は絶対させんなよ!」
と星剣師は剣を前に構え、唱えた
「星剣武装
”蒼炎ノ星王シリウス” 」
蒼い炎が鎧となりその星剣師の体を纏った
「久しぶりに使ったから火加減は出来んからな、今更文句言っても聞かねぇぞ?まぁ……」
その後一瞬にして怪物の体を縦に真っ二つに斬り、そこから蒼い炎が燃え上がって怪物の体を一瞬にして灰へと変えた。
「聞く前に殺すから関係ねぇよな、俺は人の話をあまり聞かないって言われてるんでね」
星剣師は真面目な顔で灰になった怪物の方を振り返ると
「総隊長!そいつ怪物なんで人じゃないっすよ!」
星剣士達は総ツッコミ入れると
「やかましいわ!人がせっかくカッコつけてんだから黙っとれ燃やすぞ!」
この時少年は自分の中で圧倒的な強さを持っていた父をも超える強さを、そして青髪で蒼炎の星剣師というのが記憶に刻まれた。
戦いは終わり少年はそれを見て胸が熱くなりすぐさま駆け寄って
「僕も貴方のように強く!そして希望の星になるにはどうしたらいいですか!!!」と大声で聞くと
「綺麗事だけど、誰かを守る……それだけでも十分力になるんだぜ坊主」と微笑みながら語りかけてきて一泊置くと……
「だが!それだけじゃあここまでにはなれないから鍛錬は必須だぜ!」と彼は意地悪そうな笑みを浮かべその場を去っていった。
月日は流れ約6年が経過した、周りには木造建築の家が立ち並びそして中心部には城が建ち、小さな村だったのが大勢の人が移住する街が出来ていた……
「いやーこの村に……ってもうそんな規模じゃないか!久しぶりに帰ってきたな……みんな元気してるかな?」
ハルは星剣士の修行を経て5年ぶりに帰ってきたもののあまりにも変わり過ぎた街並みに少し驚かされながら実家へと足を進めた。
突然ピタッと野菜屋で足を止めたハルは
「せっかくだしみんな大好きジャイアントトウモロコシでも買って帰りますかね……!」
「おっちゃん!ジャイアントトウモロコシ1個!とびきり良い奴お願い!」
ハゲ頭でちょび髭を生やした厳ついおっちゃんに頼むと
「あいよ!あれ?よく見たらお前さんハルじゃねぇか!星剣士の修行は終わったんか?!」
「???……」(やっべこの人誰だっけ……僕の知り合いにこんな人……)
あまりにも間があったのかおっちゃんは
「おい!さては……?」
(やばっ覚えてないのバレたか?)
「まだ終わってないんだな!まぁあれは凄く大変って聞くしな!でもへこたれんじゃねぇぞ?せっかく適正ありだって言われたんだからな!あ、悪い悪い!引き止めすぎたな、じゃあまたな!頑張れよ!」
あまりにも勢いのある声と自由さに少しびっくりしながらも
「は、はい!!!」
と普通のトウモロコシの10倍くらいの大きく糖度が高いのを買って再び足を進めようとすると
「引き止めちまった詫びに花いれといたから家にでも飾ってくれや!」
と野菜屋のおっちゃんは白くて綺麗な花をくれた。
街並みは変わったが家の場所は分かりやすいとこに建っていたのにホッとしたハルはドアの前に立ち、バタッと勢いよく開けると
「星剣士修行を終えたハル!ただいま帰還しました!」
と言うと居間から妹のフユと母のアキが出てきて
「おかえり」
「おかえりなさい」
と出迎えてくれた
しかし2人ともあまり元気がなさそうで、母に至っては少しやつれているようだ
(僕が帰って来てこの感じだとなんかあったな……)
とハルは考えているとフユが話し出した
「実はね、ハル兄が修行にでた3年後に惑星守護神って言う連中が大群を引連れて攻めてきたの……この街の星剣使いを全て出せ、じゃなきゃ根絶やしにするぞってそれでお父さんが……」
フユは泣きそうになりながらも話してくれたそしてハルは連れてかれたと思い、なら助けにいくしかないと考えると
「殺されたの……」
「ッッッ!!!」
ハルは息が詰まり、そして唇を噛み締めた
「嘘だよね……だって父さんは最強の位の星剣師だったはずだよ……!」
ハルは凄く焦り、そして心臓が締め付けられるような思いをしながらもフユに話すが現実を突きつけてくる
「お父さんが……そんな要求にすんなり答えると思う?」
「………………」
沈黙の時が流れる……そしてフユが
「勝てるわけないよね……他の人はすぐ投降したのにお父さんだけがあの何万という軍勢に対抗したんだよ……」
「馬鹿……野郎……なんで……」
涙を堪えながらハルは悔しい気持ちが湧いてきた、しかしそれ以上に……
「僕は……なんで……そんな時にっ!!!」
自分に対する怒りが、憎悪が……そして黙っていた口を開いた母が
「ハルがいても、お父さんは絶対貴方を戦わせなかっ思うわ」
なんでと言いそうになった瞬間母はそれを遮るように
「親ですもの、子をあんな危険な戦場で戦って欲しいなんて思わないわ、そしてあの人はあの人なりにハルの事を認めていたのよ、そして帰ってきたら貴方に意志とこの剣を託せって頼まれてたの」
剣身には12星座の星々が刻み込まれた蒼い剣だった
「これは星振りの剣12星座全てを従える究極の剣、あなたはこれから12星座の剣を集め、そして連れていかれたみんなを取り返して欲しい、これがあの人の意思よ」
なんで?と聞く必要はないと思った、僕が父さんの意志を次いで絶対にみんなを取り返すと心に決めた……
その日の夜僕は次の日から出発すると母とフユに伝え眠りについた。
~翌日~
「そういえば昨日野菜屋に寄ってジャイアントトウモロコシを買ったんだった!」
と、母に言いながら出発の準備をしていたハルは後に
「ねー母さん、あの野菜屋のおじさんが誰か知らない?僕覚えてないんだよ」
と昨日のおじさんの事を話した瞬間母は
「え……そんなとこに野菜屋なんてあったかしら……?」
「え?」
ハルは困惑しながらも昨日貰った花を飾ると母は
「あら、その花スノードロップじゃないそれもそのおじさんに貰ったの?」
「うん、そうだよ 白くて綺麗だなって」
とハルは花をじっと見つめてると
「その花の花言葉には希望の意味が込められてるの、多分あなたに希望の星になって欲しいと思って渡したんでしょうね」
母は微笑みながら話した
「よし!準備完了!……と言いたいけど母さん」
「どうしたの?」
母は不思議そうに尋ねると
「僕……頑張ってくるよ、絶対にみんなを助ける希望の星になって……最強の星剣師になってくる!」
ハルは拳に決意を固め母に伝えると
「うん、いい目をするようになったわね、そういうとこちゃんとお父さんに似たのね」
母は嬉しいような寂しいような感情になりながらも笑顔で話した。
会話の途中でフユが2階から降りてくると
「頑張ってねハル兄、私も星剣士になって絶対追いつくから!」
「うん!待ってるからな!」
兄妹の約束も交わしドアの前に立つハルは
「星剣士ハル!己の役目を果たしに行ってきます!」
「「行ってらっしゃい!」」
ハルは青空の元旅立っていった。
(ハルに……星王のご加護があらんことを……)
自分初の作品です!
これからハルの行く先、生き様を見届けて下さると嬉しいです!