私を呼ぶ声
第2話
私が小学3年の時、父親と二人で大峰山に行った。
山頂に向かって歩いていると、途中で人集りが出来ているので何かと思い覗いてみた。
すると山伏のような人が、少し離れた場所にあるローソクに気合で火を付けたり消したりしている。
もう少し見続けているとテッシュを取出し石に巻き付け出した。
山伏「誰かこの石を持ち上げて貰えませんか?」
周りの人は誰も手を上げる人がいない。
山伏はおもむろに私の所に来た。
山伏「ボク少し手を貸してくれるかな?」
私はやむを得ず手伝うことになった。
山伏「この石を胸の所まで上げるとテッシュが切れるから、なるべく腕を前に出し持ち上げる様に」
言われた通り、石を胸の所まで上げるとやはりテッシュが切れ石が落ちた。
私が父親のもとに帰ろうとすると山伏に呼び止められた。
山伏「今やったのは霊的な事なので、身代り札の入った御守りを貰い必ず身につけるように。もし何か生命の危機に陥った場合、一度だけ助けてもらえる。」
山伏がそう言うと御守りをくれた。
御守りを貰った後、父親と再び山頂に向かった。
山頂に着くと、大峰山名物【西の覗き】に挑戦することにした。
(西の覗きとは大峰山にある絶壁で、修行の一環として命綱を身体に縛り顔面から吊るされるという荒行が行われている場所)
順番待ちをして、いよいよ私の番が回ってきた。
【西の覗き】に挑戦して無事に終わり帰路に着いた。
大峰山から帰って来てどの位経ったのか覚えてないが、ある日公園に遊びに行く為自転車で向かった。
少し行くと信号機のない交差点がある。
そこを突っ切るとすぐそこに公園があるので、私が交差点を横切ろうとした時、後ろから私を呼ぶ声がした。
自転車を止めて後ろを振り向くと、その瞬間交差点をトラックが走り去って行った。
誰に呼ばれたのかもう一度確認したが、誰もいない。
あのまま交差点に飛び出していたらトラックにはねられていたかもしれないと思い恐怖を感じた。
その時、そう言えばあの山伏みたいな人からもらった御守りがあった事を思い出した。
御守りを確認すると、中にある身代り札が真っ二つに割れていた。
これは身代り札が私の代わりになったのか、それともただの偶然か、あの声は何だったのでしょうか今でも分かりません。
2024年2月8日(木) 21:00 野田 成彦 <shigechannel1883@outlook.jp>: