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会いたい
私は後悔している。
いや、後悔というとおかしいのかもしれない。
自分で選んだ道を間違っていたとは思いたくない。
だがこれは想定していたものと大きく違ったんだ。
意識が戻る。
厳密に言うと身体には戻っていないが。
ただ、自分の"意識"というものは空を漂っている。
『幽体離脱ってこんな感じなんだろうか』
私のクローンは3体作られた。
実験は成功したのだろうか、失敗だったのだろうか。
いわゆるアニメで見るようなクローンと同じで、"心"が無い。
それでも世界初のクローン技術として、全世界から賞賛された。
3体とも高値で取引され、研究施設に行くものもあれば、大富豪のおもちゃにされるものもあった。
もう私の意識とは切り離されているので、知ったこっちゃないのだが。
ただ一つ未練があるとすれば、
『彼に会いたい』
それだけだった。
何が良かったのか正直分からない。
ただの情で一緒にいただけかもしれない。
彼にとって私はただの実験材料だったのかもしれない。
それでも私は、どうしようもなく、彼に会いたいのだ。
次話はAnother storyです。