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一章 1話 授業

用語説明w

フィーナ:ノーマンの女子、黒髪で赤目、ウルのクレハナの王族。二年飛び級しているため体力はないが、魔法の素養がある


ミィ:魚人の女子、社交性があり、フィーナともすぐに仲良くなった


騎士学園は三年ごと、初等部、中等部、高等部の課程に別れている

中等部、高等部は本校舎と呼ばれる騎士学園の本館に通っているのだが、僕たち初等部は初等部用の校舎が別に用意されている


僕が三組の教室に入ると、ミィとフィーナがもう来ていた


「おはよう、ラーズ」

「おはよー」


「おはよう、フィーナ、ミィ。よく寝れた?」


「うん。疲れてたから、すぐ寝ちゃった」


「他のみんなも寝るの早かったよね」



新入生にとって、初めての寮生活が始まった

両親と離れ、一人で寝る初めてのベッド


緊張するかと思ったが、男子寮の新入生もすぐに眠ってしまった

そういう僕も同じだ


入学式、騎士学園と寮での新しい生活で、思った以上に疲れていたみたいだ



「はい、おはよう。みんな揃ってるかな?」


相変わらず黒い魔法使いの帽子をかぶったラングドン先生が入って来た



「 「 「おはようございます!」 」 」


「はい、いい挨拶だね。さっそく、今日から騎士になるための授業を始めていくからね」


そんなラングドン先生の言葉で、みんなの顔に緊張が走る


騎士とは、人でありながら人を越えた存在

各国が擁する英雄であり兵器だ


そんな騎士になるための授業が、ついに始まるのだ



「君たちの最初の目標は魔法の習得…、のための魔力の使い方を覚えること。杖を出しなさい」


ラングドン先生に言われ、僕たちは入学式で配られた杖を持つ

1メートルほどの長さの、訓練用の素朴な木の杖だ


「…この中に、もうすでに魔法を使える人はいるかな?」


「はい」「…」


二人の生徒が手を挙げた



「えーと、ラシドとフィーナだね。どこで習ったんだい?」

ラングドン先生が尋ねる


「僕は家庭教師に習いました」

「私も…」


フィーナは、注目されて小さくなっている

うむ、絶賛人見知り中だな


「ラシドは、ギアのどっかの国の貴族の家柄なんだって」

ミィが小声で言う


「へー、そうなんだ。フィーナもウルの国の王族だよ」


「え…、フィーナってお姫様ってこと?」


「うん、そうみたい。べつにおしとやかではないけど」



ポカッ!


「いてっ!」



振り向くと、フィーナが頬を膨らませて杖で殴ってきていた


「こらこら、喧嘩はしないように。では、二人は復習だ。最初は瞑想から…」

ラングドン先生が話を続ける


しかし…


「先生!」

元気よく手が挙がった


「君はヤマトだったね。何かな?」


「俺、特技(スキル)なら使えるんです。でも、魔法は苦手で…。どうしても、魔法って使えなきゃいけないんですか?」


「なるほどね。わかった、説明しよう」

ラングドン先生が頷く



騎士とは、闘氣(オーラ)を使う戦闘員のこと

戦闘ランクとしては、闘氣(オーラ)を使えた段階でBランクと認定される


Cランクとは、戦車と同じ戦闘力の評価

それを超える闘氣(オーラ)とは、それだけ破格の性能を持っている


しかし、騎士とは決まった戦い方があるわけではない

闘氣(オーラ)が使えさえすれば、魔法、特技(スキル)を使っていいし、武器も剣、槍、弓、銃や爆弾だって使って構わない


実際に、遠距離に特化した者、霊力を使う除霊術、闘氣(オーラ)特技(スキル)による近接特化、召喚魔法や広域範囲魔法の使い手など、タイプは多岐に渡る


つまり、魔法を使えなくても騎士になることは可能なのだ



「まず、魔法を使うためには何が必要かな、ヤマト?」

ラングドン先生が言う


「えーと、魔力ですか?」


「正解だ」

ラングドン先生が微笑む


「では、その魔力の扱いを習得することで、騎士にとってどんないいことが有るかな?」


「騎士にとっていいこと?」

ヤマトが首を捻る


ちなみに、僕にも分からない


「フィーナは分かるかな?」


「…っ!?」


急に当てられて固まるフィーナ



「…フィーナ、頑張って」

ミィがすぐに小声で励ます


「ま、ま、魔法を受けた時の防御など……で…す…」

フィーナが自信なさそうに答える


「素晴らしい、正解だ」


ラングドン先生が頷いてヤマトを見る


「学年が進めば、君達は騎士になるために学園内のダンジョン、()()()()に潜ることになる。中のモンスターには当然、攻撃魔法を使うものがいる」


「…」


「魔力を理解し、使えるようになれば、魔法に対する防御力も上げられる。だからこそ、騎士として最低限の魔力制御は必須なんだ」


「分かりました…」

ヤマトという獣人の男子生徒は、納得したのか素直に席に着いた



「では、騎士としての基本、瞑想の練習を始めよう。瞑想は、魔力、輪力、闘力の練習に必須だから、しっかりと練習するようにね」


「はい!」


ラングドン先生に促され、僕達は椅子に座った状態で杖をまっすぐに床に立てる


「これからやることは、自分の今の状態を知ること。雑念を廃して、()()()()()()()精神状態を作ること。これをマインドフルネスと言う」



マインドフルネス


意図的に、今、この瞬間の自分の身体や精神の状態に注意を払うこと

そこから沸き上がる気付きの状態


この状態を作り出すために瞑想が使われる



「さぁ、目を閉じて…」


僕達は目を閉じる



「今、君達は呼吸をしている…。空気はどこに入って行くかな?」





「音を聞こえているはずだ。どこから聞こえる?」





「お腹の中で内蔵が動いているはずだ。感じられるかな?」





「心臓や脈の鼓動は? 手に持った杖の固さは?」





「普段から、君たちの身体にはそれだけの情報が入って来ている。それに気がつくこと、気が付ける状態になること。それがマインドフルネスだ」





「…」


授業が終わった頃、僕達はぐったりとしていた



瞑想とは、ただ目を閉じているだけではない

神経を内面に向け続けているのだ



「疲れた…」


「まだ一時間目だよ…?」


俺とミィが机に突っ伏す



「次は理科と…、算数と…」


「ぐわぁ…、もう疲れたよ」


フィーナが空気を読まずに次の授業の準備をする


ここ学園であり、当然ながら普通の授業がある

特に、初等部と中等部は義務教育の期間でもある


「フィーナ、勉強が好きなのね」

ミィが言う


「私、ずっと一人で家庭教師に教わってたから…。授業って新鮮なの」


「そ、それも凄いわね。魔法も一人で習ってたの?」


「う、うん…。魔法って言うよりは魔術の基礎みたいな感じだけど…」



魔術とは、魔法も含む魔力を使った全ての術式のこと

魔法とは、魔力に法則を与えて現象を引き起こす技法だ


純粋な魔力の操作は、魔法ではなく魔術に該当する技法なのだ



「あ、先生が来たよ」


「え、え、次の授業なんだっけ!?」


僕とミィが慌てて教科書をゴソゴソし始める



「次は理科だよ」

とっくに準備を終えたフィーナが言う


くそっ、年下のくせに要領いいな



その時、教室に女性のメガネの先生が入ってくる


僕とミィは、なんとかギリギリで教科書を見つけ出すことに成功したのだった



一章開始です

よろしくお願いします♪


一章は毎日投稿の予定です!

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