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序章 2話 クラス分け


「このゲートの前に一列に並びなさい」


ハビエル先生に言われて、僕達は一列に並ぶ


「今期の新入生は三十六人。これから、君達を三つの組に振り分ける」



目の前にあるのは、空間属性魔法を発動するための魔法陣だ

空間を司る高位の術式であり、先生が魔法を発動する


魔法陣とは、魔法発動を補助、効率化するための図形のこと


更に、このゲートは、

・魂と霊体に引き付ける霊力を司る霊属性

・魂と肉体を引き付ける氣力を司る氣属性

を併用している


ただの組分けに、生徒の魔力や身体能力、更に因果や運命までもを加味するラプラスの概念までもを導入した、無駄にハイスペックな振り分け機能だ



「どうせなら一組がいいな」

「誰と一緒になるんだろう」

「優しい先生のクラスになりますように…」


生徒達がそわそわしている

もちろん、僕とフィーナもだ


「ラーズ…」

フィーナが心配そうに言う


「一緒になれるといいな」


「うん…」



「ね、あなた達は知り合いなの?」


「え?」


一人の女生徒が声をかけてきた

入学式でキョロキョロしていた魚人の子だ


「…うん。僕たちは龍神皇国から来て、フィーナとは家が近かったんだ」


「へー、幼馴染ってやつね。でも、ちゃんと食べてる? ちっちゃいわね」


「…」


フィーナが固まっている

知り合いとは結構話すのだが、人見知り癖があるため初対面には弱い


「フィーナはまだ七歳なんだ。飛び級で入学したからね」


「えっ、飛び級!?」


驚いて女生徒の声が大きくなり、周りの生徒の注目を集める


「そうなんだ。こう見えて天才なんだよ。ちっちゃいけどね」



「…」


ポカっ!



フィーナが無言で叩いてくる

動揺しているためか、全然力が入っていないので痛くはない



「私はミィ、よろしくね」

魚人の女の子は、人懐っこく言う


「僕はラーズ、この子はフィーナ。よろしくね」


「さ、列に並びましょ? 一緒の組になれるといいね」


それは本当に思う

フィーナは勉強は出来るのだが、本当に人見知りだ


一人だけ他の新入生よりも年下ということもあり、ちょっと心配している

出来ればフィーナと一緒の組がいいんだけど…




バウド・ボリュガ騎士学園は、惑星ギアの北半球にある国、ブリトンにある

このブリトンの南西にある、学園島と呼ばれる島全体が学園となっているのだ


この騎士学園は九年制であり、初等部、中等部、高等部を三年ずつの全寮制

特色は騎士学園の名が示す通り、騎士になるための授業があること


魔法、特技(スキル)闘氣(オーラ)の習得

モンスター、武器術、ダンジョンアタック等、騎士としての必要な技術・知識を学ぶ


そして、卒業後は各国に騎士として就職、又は、騎士大学や軍学校、防衛大学等に進学することが一般的だ


飛び級で入学したフィーナを除き、僕たち新入生は今年で十歳になる

みんなが、各国の英雄である騎士を夢見て入学して来た生徒というわけだ



「…」


僕は、フィーナとミィの前に出る

少し不安だけど、男だからしかたがない



目の前には魔法陣、その中央部分の空間が不自然に歪んでいる


「名前は?」


「ラーズ・オーティルです!」


「…よし、ゆっくりと進みなさい。止まらないようにね」



僕は、言われた通りゆっくりと進む

空間のゆがみがだんだんと近づいてくる


恐る恐る進んでいくと、突然、視界全体が歪んだ



「わっ!?」


…気が付くと、知らない別の部屋にいた



「ここは…」


部屋には、机といすが並んでいる

まるで、教室のようだ



「ラーズだね? 好きな席に座りなさい。そこにいると危ないよ?」


声がした方を見ると、黒いとんがった帽子をかぶった男の人が立っていた


「あ…」


「僕の自己紹介は、みんなが揃ってからするからね。ここは…」



ドスンッッ


「うわっ!?」「わぶっ!?」



突然、後ろからぶつかられ、振り向くとフィーナが後ろで鼻を押さえていた


「ほらほら、その場所がゲートの出口になってるんだ。まだ、移動してくる子がいるからね」


「あ、はい!」


僕は、フィーナと一緒にすぐにその場から移動する



「…」


その後、目をぎゅっと閉じたミィが何もない空間から出て来た



「ミィ、もうついてるよ」

俺は目を閉じたままのミィに声をかける


「……本当だ」


ミィは恐々と目を開けると、ちょっと恥ずかしそうに僕たちの所に来た


「三人とも同じ組ね」


「そうだね」


「よろしくね、フィーナ」


「う、う、うん…」

フィーナがミィの言葉にコクコクと頷く


「フィーナ、よかったな。今日から寮生活なんだから、ミィがいてくれれば女子寮でも一人じゃないだろ」


「…」

フィーナが不安そうにミィを見る


「フィーナ、私も一人で心細かったの。仲良くしましょ?」


「うん…」


ミィはかなりコミュ力が高いみたいだ

僕はさすがに女子寮まではついていけないし、ミィに任せれば安心かな




「はい、注目!」


しばらくすると、先ほどの黒い帽子の先生が声をかける


「このクラスは初等部一年の三組。そして、この教室にいる十二人が三組のクラスメイトだ」


先生の声で、僕たち生徒は周りを見回す


「そして、僕はラングドン。この三組の担任で、少なくとも初等部の三年間、一緒に勉強することになる。よろしく」


「…」


生徒達が、先生の話を聞いている


「…君たちは騎士を目指しているんじゃないのかい? 挨拶は騎士の嗜み、騎士への第一歩だよ?」


「 「 「…よろしくお願いします!」 」 」

生徒達が慌てて、一斉に挨拶をする


「うん、いい挨拶だね。今日は入学式で疲れただろう。これから男女別れて寮に向ってもらう。いろいろルールがあるから、しっかりと覚えて守るように」



…こうして、騎士学園での初日は終わった


入学式、杖やローブ、セフィ姉とモンスターの戦いに空間魔法…

始めて見るものばかりだった


僕たちはラングドン先生に挨拶をして寮へと向かう


「フィーナ、行くよー」


「う、うん!」


フィーナは僕に手を振ると、慌ててミィについて行く



…僕たちは今日、バウド・ボリュガ騎士学園に入学した



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