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一章 20話 仕事

用語説明w

MEB:多目的身体拡張機構の略称。二足歩行型乗込み式ロボット

始原戦争:龍神皇国の前身、龍神皇帝国が興るきっかけとなった、歴史上最後の魔大戦。ダンジョンより現れた魔王との戦いをきっかけとした、その後の国同士の戦乱から龍神皇帝国成立までの戦争


マーゴット先生:ノーマンの女性で、一組の担任。複数の魔法を使え、野草や植物の深い知識を持つ。薬学の研究をしている。


また週末

ヒャッホウな学園の休日だ


他の学生は、どんどんと外へ出ていく

港町へ行って遊ぶのだろう



「さぁ、頑張りましょうね!」

ミィが笑顔で振り返る


「ねぇ、何で?」

僕はミィに尋ねる


「何が?」


「…何で俺達は、貴重な週末の休みに労働に勤しんでいるのかってことだろ」

今度はヤマトが僕の質問を引き継ぐ


「まぁまぁ、いいじゃない。お小遣いだってもらえるんだから」


「フィーナ。普通の初等部の学生は、終末は遊ばないといけないって法律で決まってるんだぞ?」


「えっ、どこの法律!? ブリトンではそうなの?」


「嘘に決まってるでしょ、フィーナ。労働を禁止する法律なんて、あるわけないんだから」


「むー…」

ミィの突っ込みに、フィーナがヤマトを睨む


「怒るなって、冗談だよ。フィーナだって、本当は遊びたいだろ?」


「私、龍神皇国に行く前は、休日に友達とどこかに行くなんてなかったから…。何もないより楽しいよ?」


「フィーナって本当にかわいい。今日は頑張りましょうね!」


「ミィ、フィーナは本当の箱入り娘なんだから、変な事ばっかり教えるなよな」

僕はため息をつく


「人聞き悪いわね、ちゃんと説明したんだから大丈夫。ほら、着いたよ」


目の前には畑が広がっている

そして、その先にはシートを被っているMEBが座っていた


畑には小さな苗がたくさん植えられている

これが、前にマーゴット先生が言っていた妖精の苗って奴なのだろうか?



「あら、いらっしゃい。今日はよろしくね」

マーゴット先生が僕たちを見つけて手を挙げる


「はい! よろしくお願いします」

ミィが挨拶する


「お休みの日に悪いわね。畑のお手入れは、人手があると助かるのよ」


「マーゴット先生は畑が好きなんですか? いつも畑にいますよね?」

ヤマトが尋ねる


確かに、以前もラングドン先生に頼んで畑を広げていた


「私の専門は薬学だから。原料となる畑のお手入れからは逃げられないのよ」


「専門ってなんですか?」


「私達、騎士学園の教師は、それぞれ研究分野を持っているの。私は薬学、ラングドン先生は考古学、ゴンサロ先生は生物学…ってね」


「研究ですか、なんかかっこいい」


「騎士学園の生徒に、多くのジャンルの知識や経験を話す機会をつくるためなの」


「私、薬草とか興味あります!」

ミィが手を挙げる


「あら、そうなの? それじゃあ、少しだけ教えてあげる」

マーゴット先生が言う



今日は、ミィが見つけて来たクエスト…と言う名のお手伝い

マーゴット先生の畑の雑草取りで、おいしいお茶とお菓子、そしてお小遣いがもらえる


僕たち初等部は、中等部以上の先輩たちと違ってクエストは受けられない

よって、一定金額もらえるお小遣い以上の収入はない


だが、例外で初等部にもこういうお手伝いクエストが募集される場合があるのだ



「やぁ、みんな揃っているね」


振り向くと、ラングドン先生がやって来た


「おはようございます、ラングドン先生。先生も畑仕事ですか?」

僕が挨拶する


「うん、マーゴット先生のお手伝いだ。それと、MEBを帰しに行こうと思ってね」


このMEBで畑の中の大きな岩を取り除いた

おかげで、しっかりとした畑が出来上がっている


「置きっぱなしじゃダメなんですか?」


「MEBはみての通り人型ロボットだ。複雑な機構が多いからメンテナンスが必要なんだよ。この座っている格好も臀部に体重がかかりすぎるからあまりよくない」


「へー、大変なんですね。それなら、どんな格好で置いておけばいいんですか?」


「MEBは、天井から吊り下げるのが理想だ。そのための倉庫をハンガーと言って、重いMEBを吊り下げられるクレーンみたいなものが作られているんだ」


「ハンガー…」


「ラーズはMEBが好きなのかい?」


「うーん…、好きかどうかは分からないですけど、かっこいいと思って…。操縦してみたいです」


「それなら、十八歳から免許が取れるから、挑戦してみるといい」


「十八歳ですか…」


フィーナを除く僕たち初等部は今年十歳

あと八年後か…


騎士学園を卒業する年、僕たちはどうなっているだろう?

魔法や特技(スキル)闘氣(オーラ)を身につけて、ダンジョンをガンガン攻略しているのだろうか



「ラーズ、ラングドン先生に歴史を習ったら?」

フィーナが口を挟む


「え、急に何で?」


「ラングドン先生。ラーズったら、龍神皇国出身なのに始原戦争のことも知らなかったんですよ」


「ほー、ラーズ。歴史に興味を持ったのかい?」

ラングドン先生が、期待を込めた目を向けてくる


「え、その…。少しは知りたいなって…」

引っ込みがつかなくなった僕は、とりあえず答える


「何が面白いと思ったんだい?」


「えーと、大きな戦争の英雄たちの話とか、かっこいいなって」


「そうかそうか。それなら、分かりやすい本を今度持って来てあげよう」

ラングドン先生が笑顔で言う


「は、はい…」

とりあえず頷く僕


「…ラーズ。お前、歴史に興味なんかあったのか?」

ヤマトが尋ねてくる


「いや、そこまで…。ただ、セフィ姉も歴史が好きって言ってたから、ちょっと知ってみようかなって」


「セフィリアさんも好きなのか…。それじゃあ、俺も読んでみるかな」


憧れのお姉さんが好きなものは、自分達だって興味がある

十歳の男子の判断基準なんて単純だ


「男ってバカよね」

「うん、バカだよ」


そんな僕たちを、女子たちが馬鹿にしてくる

ほっとけや



僕たちのやることは、妖精の苗とよく分からんハーブ、浄化草という草の畑の雑草取りだ


手分けして、順番に雑草を取っていく

冬だって言うのに、意外と雑草が生えてるな



「痛っ! あっ、お前!」


振り向くと、ヤマトが畑の端っこに行き、木のモンスターであるトレントに殴られていた


「あら、ヤマト。離れて、近づくと叩いちゃうから」


「くそっ、こいつ腹立つな!」


危険な植物も多いため、近づいた人間を叩いて追い返すトレント

人の分別は一切つかないらしい



「マーゴット先生、でっかいカマキリがいました!」

ミィが立ち上がって、捕まえたカマキリを見せる


「こんな時期にカマキリ? まだ出て来るには早いはずだけど…」

マーゴット先生がカマキリを観察する


「大きいから珍しくないですか? 売れるかも」


「ミィさん。これ、ただのカマキリじゃないわ。モンスターよ」


「えぇっ!?」


「キラーマンティスっていって、大きくなればEランクのモンスターになるわ。少しだけど魔属性を帯びているから、手を洗ってきなさい」


「は、はい!」


ミィが慌てて手を洗いに行く


「この島にもモンスターっているんですか?」

フィーナが尋ねる


「いるわよ。大きなものはいないけど、このキラーマンティスやハーピー、ワイルドボアやノムルウルフなんかはたまに見るわね」


「キラーマンティが増えてきたら、また駆除しないとだめかもしれない」


そう言って、ラングドン先生が冷属性魔法でマーゴット先生が持つキラーマンティスを凍らせる

ラングドン先生は、魔導士の杖を持たなくても攻撃魔法が使えるのか…



「さ、雑草取りが終わったら、命の実の天日干しよ。それが終わったらお茶にしましょう」

マーゴット先生が言う


「ラーズ、後でMEBを起こすけど、少し乗ってみるかい?」

ラングドン先生も言う


「え!? いいんですか!」


「え。先生! 俺も乗りたい!」

「私も!」


ヤマトとミィが同時に言う


「それなら、私も…」

そして、フィーナもおずおずと手を挙げる



先生たちのお手伝いの休日


マーゴット先生のケーキとハーブティは美味しく、思った以上に楽しかった



トレント 一章 6話 農園

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