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プロローグ


この太陽系の第三惑星は、便宜上ペアと呼ばれている


ウルとギア、二つの惑星が二連星となっており、ペアとはこの二連星の名前だ


惑星ウル、魔法文明と魔導法学発祥の地

惑星ギア、物質文明と科学発祥の地



この惑星ギアのブリトンという国に、歴史ある学園が存在する


ボリュガ・バウド騎士学園


四千年前、二つの惑星から成るペアの人類を滅亡寸前まで追い詰めた謎の存在、神らしきもの

その神らしきものとの人類の存亡を賭けた終末戦争アポカリプス



その際、世界騎士として神らしきものを封印、勝利へと導いた二人の英雄がいた


魔導法学の叡智である圧縮超高密度魔法言語による反永続封印を成功させた魔法文明の天才、ボリュガ

科学の叡智である局所重力弾によって神らしきものを封印空間に押し込んだ物質文明の申し子、バウド


最後の戦いの後、生き残ったボリュガはこの学園を創設

その名に、生涯の友であり、帰らぬ人となったバウドの名と自身の名を連ねたのだ


人類を守るべき騎士を育成する、選ばれし者の教育機関だ



「諸君、入学おめでとう!」


大講堂に集められた新入生に対して、スターチス学園長がよく通る声であいさつをする



僕たちはこの日、正式にバウド・ボリュガ騎士学園に入学した

今日から、騎士になるための勉強や訓練が始まるのだ



「世界は、人類は、常に戦うための力を求めている!」

学園長の話が続く


周りを見ると、入学生でも様々だ


眠そうな子


真剣に聞いている子


僕みたいにきょろきょろと周りを見ている子



「…」

一人の女子生徒と目が合う


あの魚人の娘も、きょろきょろ派のようだ



ニッ…


お互いにちょっとだけ笑顔になると、すぐに前を向く



大講堂の中を見回っている先生が近づいて来たからだ




…騎士とは、国家が有する最大戦力の一つだ


軍隊や兵士の存在意義は武力による防衛

すなわち、必要があれば攻撃という手段を使って国や民を守ることを任務とする


そして、騎士とは

武力によって国と民を守ることは軍隊や兵士と同様だが、武力の手段と権限が違う


騎士とは、生命体のみが持ち得る力、闘氣(オーラ)を使う者

この闘氣(オーラ)を纏った攻撃はあらゆる物質を粉砕し、闘氣(オーラ)を纏った防御はあらゆる攻撃から身を守る


この英雄の力は人類を守る最高戦力の一つであり、騎士の存在自体が国家が持つ強力な破壊兵器

そのために騎士という身分によって厳格に管理、運用されるべき存在なのだ



この強力な力は国家の力と直結する

よって、騎士は国のために力を使う代わりに様々な特権が約束されている


高額な報酬、税金の免除、各種素材の優先的な取得の権利…

騎士たちが使う様々な装備は、その闘氣(オーラ)を存分に生かすために高性能なものであるため、騎士としての身分が無ければ資金や素材を揃えることは難しい


更に、中には貴族のように政治に関わる場合まである


騎士とは、人類の英雄であり、その戦力の象徴

そして、様々な脅威から国民を守る最終兵器なのだ




入学式が終わり、新入生が大講堂から退席する



パチパチパチ…


在校生と保護者からの大きな拍手が響き渡る



あ、父さんと母さんがいた

二人が僕に向って手を振ってくる


そして、僕の他にもう一人

背の順に並んだ生徒の列の一番先頭、小さな女子生徒にも手を振っていた



あの女の子はフィーナ

僕の幼馴染で、うちの両親とも仲がいい


王族のお姫様という身分を持つのだが、複雑な事情を抱えているらしく、今日の入学式にも親族は来ていない


ちなみに、僕の父さんは竜人で、母さんはハーフエルフ

僕は竜人のハーフということになり、竜人の角とエルフの尖った耳が遺伝している


フィーナはノーマン、黒髪の女の子だ




「好きな席に座りなさい!」


案内された教室に入ると、ローブを着た魚人の男の先生が大声で言う


「ラーズ、ここ」


「うん」


フィーナの隣の席に座ると、他の生徒も思い思いの席に座っていった


「諸君、入学おめでとう! 私はハビエル、君達初等部の学年主任だ」


そう言うと、ハビエル先生は黒いローブを手に持って生徒に見えるように高く上げる


「これから配るのは二つ。どちらもこの学園の生徒にとって必須のものだから大切に扱うように!」

ハビエル先生が言う


「このローブは、バウド・ボリュガ騎士学園のローブ。魔法の習得に必要な魔力補助の機能を持ち、同時にこの学園の制服でもある。各々、身に付けてみなさい。サイズが違う場合は手を挙げるように」


「うわっ、凄い!」「魔法のローブかぁ」「これで魔法が使えるの?」


生徒たちは、声を上げながら受け取った黒いローブを着る


「ラーズ、どう?」

フィーナがローブを羽織った姿を見せてくる


「うん、ぴったり。でも、フィーナは髪が黒いから、後ろから見ると真っ黒くろす…」



ボカッ


「痛っ! おまっ、杖はダメだろ!?」



「誰が黒い黒助だ」


「いや、冗談だって…。僕は?」


「ちょっと大きく感じるけど…」


「これくらいなら、すぐに背が伸びると信じて大丈夫だろ?」


俺とフィーナは、お互いにローブの着こなしをチェックして席に座る



パンパン!


ハビエル先生が大きく手を打ち鳴らす



「よし、着たら席に付け! 次はこの杖だ!」


今度は、ハビエル先生が長い杖を高く持ち上げる


「これは初等部で必須の、魔法訓練用の魔導師の杖だ。君達は初等部の三年間、この杖を使って魔法を学ぶ。大切に扱うように」


ハビエル先生が生徒達を見回す

そして、最後に俺とフィーナをジロッと見据えた


「…間違っても、バットやチャンバラなどに使わないように!」


「…」「…」


フィーナが杖で殴ったのをしっかり見られていたようだ



「かっこいいね…」


当のフィーナは、素知らぬ顔で杖を見ている

お前、心強いな


「よし、それではこの後、クラス分けを行うからな!」


杖を触っていた生徒達に、ハビエル先生が言う



こうして、僕たちの騎士学園での生活がスタートしたのだった



調子にのったり喧嘩したり、挫折したり乗り越えたり…


魔法あり、特技(スキル)あり、闘氣(オーラ)あり、剣や槍、ボウガンや銃、ゴーレムにロボット…


そんなカオスな世界観の学生生活ですw

どうぞよろしくお願いします

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― 新着の感想 ―
[一言] 真っ黒くろすけ(フィーナ)……髪を長く垂らせば魔女やお化けにクラスチェンジ!
[一言] ...あれ?フィーナの髪の色って既出だったっけ そうか、黒なのか
感想一覧
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