EP.39
叶奈の携帯が震えた。
叶奈は、SNSを開く。涼太からの連絡だった。
叶奈の心拍数が少し上がった。
「なんだろう?」
内容を読むと、ツナグたちが叶奈と悟に会いたがっているという内容だった。
「私も会いたい!」
叶奈は、いそいそと自身も会いたい旨を返事をした。
ツナグたちとのご飯の時間や、やりとりを思い出す。
今朝の朝食は、軽めに済ませた。
叶奈の仕事は、今日は休みである。
彼女は、カメラを片手に出かけることにした。
「どこに撮りに行こうかな」
いつも気まぐれに植物を撮りに行く叶奈。
今朝の連絡について話すことも兼ねて、悟の元を訪れることにした。
玄関を出て、ちょうど来たバスに乗り、電車に乗り換えた。
叶奈は、のんびりと電車に揺られる。
電車が六甲駅に着くと、市営バスに乗り換えた。
バスは、あっという間に植物園に辿り着いた。
「着いたー」
バスを降りた叶奈は、大きく伸びをした。
植物園に入ると、色とりどりの花が叶奈を出迎えた。
コアジサイや、シチダンカ、エーデルワイスなど、さまざまな品種が、その美しさを競っている。
叶奈はその花々を、持っているカメラで丁寧に撮っていった。
「どの花も綺麗だなぁ……」
叶奈は一通り撮り終えると、悟の家へ向かった。
土産物売り場を兼ねている悟の家は、ほんの少し人で賑わっていた。
中に入り、叶奈も土産物を物色する。
そんな中で、叶奈は綺麗な青い花のキーホルダーを見つけた。あの青いケシの花をモチーフにしているものだった。
叶奈はそれをそっと手に取り、レジへと向かった。
レジには、悟がいた。
「悟さん」
叶奈は、悟に声をかける。
悟は少し驚いたあとに、ニコリと笑った。
「叶奈さん。いらしてたんですね」
「はい。ツナグたちのことで話がしたかったのと、花の写真が撮りたくて」
「そうでしたか。今は少し忙しいので、落ち着くまで待っていてもらってもいいですか?」
「もちろんです。あそこの椅子に腰掛けてますね」
「わかりました」
「あ、買ってくださるんですか? ケシの花のキーホルダー」
「ツナグとの思い出に、欲しくなりました」
「そうですか。ありがとうございます」
二人は、そんなやりとりをして会計を済ませた。
叶奈は、フロアの隅の方にある前回紅茶を飲んだテーブル席についた。
叶奈を除いて三組の客しかいないので、オルゴール風の音が店内に響いている。
「何度来ても、ここはいいなぁ……」
叶奈は、そう独り言を言うと、店内を見渡した。
悟が店を切り盛りしているからか、元々なのか、落ち着いていて、優しい雰囲気が、フロア中に広がっている。
叶奈は、先程購入したキーホルダーを袋から取り出すと、そっと掲げた。
青く透き通ったプラスチック製のもので、店内の光が反射して、キラキラと輝いている。
叶奈はそれを家の鍵につけて、鞄に仕舞い込んだ。
店内の空気が静かに流れる。
叶奈は、その空気に溶け込むように、悟を待っていた。
優しい空気が、叶奈を包み込んだ。
読んでいただき、ありがとうございます。
叶奈が、悟に会いに行く場面です。
高山植物園、6月はアジサイや、エーデルワイスが見頃らしいです。
また行きたいなぁと思いながら書きました。
引き続き、お楽しみいただけると幸いです。




