EP.34
「今日の晩ご飯は、何にする!?」
ツナグは、大きく尻尾を振りながら、剛に尋ねる。
「そうだな……」
剛が思案していると、玄関が開く音がした。
「ツナグー! カレーを作ったからみんなで一緒に食べない?」
声の主は、ルイだ。ツナグは、ぱぁっと目を輝かせると玄関へと走った。
「食べるー!!」
ツナグの大きな返事につられて、林太郎が二階から降りてきた。
「何を食べるんだい? ツナグ」
林太郎の言葉に、ルイが答えた。
「みんなで食べようと思って、カレーを作ったの。林太郎もいかが?」
ルイはそう言って、持っている鍋の位置を高くした。
「俺は賛成だ」
「僕も賛成!」
「じゃあ決まりだね」
三人はそれぞれ返事をすると、ルイに笑顔を向けた。
ルイは、にっこり笑みを浮かべると、そそくさと台所へと向かった。
「じゃあ、まだあたたかいけど、一旦あたため直すわね」
ツナグは、待ちきれないとばかりに、ちょうど炊いてあったご飯を、いそいそとお皿に盛り付ける。
そんなツナグを、林太郎は慈しむように眺めている。
林太郎の視線に気づいたツナグは、頬を膨らませた。
「林太郎、何してるんだよぅ! 早くしないとカレーが冷めちゃうよぉ!」
あたためられているカレーのそばで、一瞬でも冷ますまいとするツナグの様子に、剛と林太郎は、クスリと笑った。
「すまないね、すぐするよ」
そそくさとご飯を平皿に盛ると、二人と一匹は、カレー鍋を混ぜるルイの横に並んだ。
「さて、じゃあ入れていくわよ」
目をキラキラさせるツナグから皿を受け取ったルイ。
ルイは、その皿に丁寧にカレーをかける。
「わぁぁ……」
ツナグから、感嘆の声が漏れた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう!」
ツナグは満面の笑みで受け取ると、そろりそろりとテーブルにカレーライスの載った皿を置いた。
順にみんなの皿にカレーライスが盛り付けられ、三人と一匹は席についた。
ツナグは、もう待ちきれないといった様子で、口火を切った。
「じゃあ、みんな揃ったね! いただきます!」
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
ひょいと、カレーを口に運ぶツナグ。すぐにうっとりとした表情で、左前足を左頬に当てながら、言葉を発した。
「おいしいねぇ。本当においしい。さすがルイが作ったカレーだねぇ」
「ありがとう」
ルイは、にっこりと笑う。
「うまい」
剛も、ぼそりとつぶやく。それに続いて、林太郎も言葉を発する。
「うん、本当においしい。ルイ、ありがとう」
その言葉に、ルイは少し頬を赤らめながら、返事をする。
「いえいえ。カレーはもちろんおいしくなるように作ったけど、おいしいと思えるのは、この四人で食べるからよ。何を食べるかも大事だけど、誰と食べるかも大事な調味料よ」
ルイはそう言うと、自身もカレーを口に運んだ。あとの二人と一匹は、うんうんと大きく頷いた。
ルイは、満足そうに言葉を続けた。
「んー、おいしっ」
すると、ツナグがふと思い出したように、今日見た夢について語り出した。
「そういや今日ね、こんな楽しい夢を見たんだ」
ーー
カレーの香りが、部屋を満たす。
今日も穏やかな一日が終わる。
何も起こらない静かな時間。
そんな時間を、月が優しく照らしていた。
いつも読んでいただき、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
ツナグは本当に可愛いなぁと、我ながら思います。
こんな子が家にいたらいいのになぁと。
ツナグは、一体どんな夢を見たのでしょうか?
きっととても楽しい夢だったのだろうなぁと、勝手に思っています(^ω^)
次回は、どのような展開になるのか。ぜひお楽しみいただけると幸いです。
また、差し支えなければ、評価・感想等いただけると嬉しいです。泣いて喜びます(;ω;)




