夢の話
「おっーす、天才お兄さんとうじょーう!」
メガネをかけた青年が部屋に入り、軽い感じで話しかける。
後ろにはどうやら大量の荷物が積んであるようだ。
全員の視点がメガネの青年に向く。
「うわっ、ウザメガネ先輩っ!」
「涙引っ込んだよぉ……」
やたら辛辣な言葉を寄せるとメガネの青年はおいおいというような感じで首を振ると言葉を発する。
「俺への扱い酷くない? せっかく良いもの持ってきてくれたのにぃー……」
彼の名前は紅咲 大樹、名字の通り蓮の兄で明音とは双子の兄弟、今年から高校3年生
飄々としており何を考えているのか分かりづらくなかなかの曲者。
しかし、能ある鷹は爪を隠すという。
彼からはとてつもないほどの雰囲気を感じる。
「こんにちわです、大樹さん……!」
「こんにちわ~!」
ぞんざいに扱う二人の一方で楓と陽花はしっかりと挨拶をする。
まだイジれる関係になっていないという事でもあるとはいえ礼儀をしっかりわきまえる。
「さっすがー常識が分かってますわ〜お嬢さんたちは」
「それに対してこの野郎どもは……」
両手とも人差し指を立て二人の頭をツンツン押す。
とはいえ、本気で怒っているようではなくいじりでやっているようだ。
それを10秒ほど続ける、さながらシュールな様子だ。
一通り押し終わると四人に語りかけた。
「まあ、それはそれとしてだな、今から皆さんには……」
そう言いかけると山盛りの荷物から大きな箱を取り出し地面にそっと置いた。
箱は白色と黒色、そして特定の色がワンポイントで入っている箱だ。
箱には「First Dream」と書かれてある。
おそらくこの商品の名前だろう。
そしてドヤ顔を決めながら腕組みをしこう宣言した。
「VRゲームをやってもらおうっ!その名はDream World Online! 熱狂と歓喜の世界へ、今世界で最も盛り上がっているVRスポーツだ!」
そう言い切ると人差し指を突き出しポーズを決める。
その表情は確信に満ちた表情だ。
三人ともえっと言うような表情をする。
蓮はゲームこそ好きなものの野球に夢中だったこととゲームはゲームでもVRに触れたことはない。
そして、翔汰と陽花も未経験のようだ。
更に翔汰は家の家計が厳しく、買ってもらえる余裕などないからだ。
しかし、一人だけ頷く素振りを見せる人物がいた。
「それ……僕もやってます……! 遊んでて……面白いですよね……! プロの試合中継も見てます……!」
「それなら話が早いっ!」
楓は四人の中で唯一VRゲームの経験がある。
中学時代にはVRゲーム部に所属していたほどだった。
その様子を見て大樹が満足そうな顔をする。
「もちろんこのゲームはMMO要素もある……それでも、最も熱いのはスポーツ部分だ……! 漫画やアニメのようなスーパーヒーローのような活躍ができるんだ……! それに、誰でもプロになれるのが最大の特徴だ……!」
長めにゲーム愛を叫び熱弁するが少し困ったような表情でため息を付きながら話を続ける。
「こんなに面白いのに、いまいち日本の世間じゃなかなか盛り上がらない……」
「そこでお前らに協力してほしいんだ……!」
長々と語り続け四人に問いかける。
すぐにゲームの魅力が伝わってしまうほどの熱弁だった。
そして声高だかに協力を宣言する。
「俺たちで日本一を取る!ちょうど、お前らが入学する高校にはVRゲーム部がある……当然、全国大会もある……!そこで優勝すれば岩手県のみならず日本で注目度が上がるはずだ……!」
説明を終えると腕を握りしめ目を鋭くニヤッと笑い問いかける。
「起こそうぜ、俺たちで旋風を!」
彼らが進学する赤代高校にはVRゲーム部が存在しており約2年前にエースの活躍もあり夏の全国大会でベスト4まで行った実績を持っており、冬大会ではベスト8の結果を残している。
しかし、去年はまさかのグループステージ敗退、冬大会にも出場できず全国の舞台に立つことはできなかった。
もっとも、赤代高校は強豪ではなく弱小と中堅の間を行く高校なのである。
日本でまだまだ発展途上な以上大樹はなんとかして部員を増やしたいようだ
その熱弁に三人は心を揺さぶられる。
ゲームへの愛も熱をそして決意を。
その言葉に動かされるまま、三人は返事をする。
特にこの言葉に動かされたのは蓮だ。
夢破れ行き場のない怒りに苛まれ、生きる希望さえ失った。
たった今、新たな夢が出来た、それだけで前を向ける。
名前 有栖川 陽花
身長 157cm
血液型 A型
誕生日 4月8日
好きな事 絵を描く事 漫画を読む 友達と遊ぶ
好きな食べ物 鮭のムニエル みんなから意外って言われるっ!
嫌いな食べ物 ないっ! 食べなきゃ勿体ないからっ!
最近のマイブーム 友達を書く でも、イケメンにし過ぎだとかかわいくし過ぎだとか言われるんですっ!
なんででしょうか