限界
(現実より身体能力が……ってことはジャンプ力とかも……)
(……だけど……試すのが……怖い……)
蓮が思考を巡らせる、考えることでゲームへの見識を深めていく。
それと同時に現実とは違う動作感に若干の恐怖感を覚えているようだ。
このゲームは現実での身体能力とゲーム自体のスキルが必要だ。
身体能力はステータスにある程度の影響を与える。
一方のスキルは操作の滑らかさや自分を制御する能力につながる。
身体能力は絶対的なものではなく、またゲームスキルもそうなるようにどちらかが圧倒的に優れているからと言ってトッププレイヤーになれるわけでもない。
夢中になり一歩一歩足を進め、陸上トラックで言えば8週ぐらいの距離になる、段々とスピードが速くなっていく。
痛みも感じない、息切れもない、なんの支障もないまま走り続けていける。
その時だった。
(うっ……動きが……)
体の動きが突然重くなる、それと同時に足が段々動かなくなる。
息切れもしていない、体も痛くならない。
現実ではありえない不思議な光景だ。
その様子を見ると大樹が説明を入れる。
「このゲームにはスタミナというステータスがある……スタミナの限界が近づくと次第に体の動きが重くなっていく……」
「そうなると、防戦一方にならざるを得ない……!」
そこからリオが追記を加える。
「もちろんっ! 完全に動けなくなるわけじゃないから気合で動かせばたまになんとかなるっ! そるでも試合中、スタミナの節約も考えなきゃならないってことっ!」
更に説明が続く。
「スタミナを上げるなら現実でトレーニングするのもありっ!」
その言葉を聞き蓮は周りを確認する。
翔汰は一番速く走り始めていたがまだスタミナが切れる様子はない。
陸上トラックで例えるならもう20周ぐらいはしていそうだ。
陽花は蓮の少しあとにスタミナ切れを迎えた。
大体15周ぐらいだろうか。
楓はとっくにスタミナ切れを起こしており、既に静止状態に入っていた。
こちらは5周ぐらいだろうか。
そこからしばらく時間が経ち翔汰が遂にスタミナ切れになる。
最終的に35周ぐらいまで伸ばした。
その様子を見て大樹がこちらを向くよう指示を出し、話しかける。
ここからまた説明が始まりそうだ
「現実とゲームの違い……わかってくれたか?」
「ゲームになるとスピードとスタミナが大幅に上がるこれらのステータスは身体能力……つまり現実の自分のステータスという事だ……! もちろん、現実でトレーニングを積み重ねればゲーム内での数値アップも期待できる……!」
「それじゃっ!次の練習行こうっ!」
リオが明るく声をかけ次の練習に入っていく。
練習内容が変わる瞬間、蓮たちに武器が強制的に装備される。