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第207甲殻魔導小隊  作者: 光 寿寿
第一章 ヘルズヘイム召喚
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魔力操作訓練

 綱一達の目の前には巨大な蜘蛛があった。形状は彼らのよく知る蜘蛛、しかし素材は金属、サイズは規格外、予想もしなかったその姿に驚いているとレイチェルは腰にてを当てて誇らしげにそれについて解説をする。


「この子は甲殻機タリナ、魔導炉をメイン動力とする戦闘用機動兵器デス!跳躍力は乗り手次第では高さ20メートルを超え!移動速度は時速100キロを超え!外部装甲はミノタウロスの一撃を食らってもビクトモシマセン!まさに堅牢!この子にはついていませんがメイン武装は上部に装着する90ミリ魔導砲と40ミリ2連魔導砲の2種類があり90ミリは高威力高射程で40ミリ2連は威力射程共に短いですが2ヶ所を同時砲撃出来たり連射性能も高いというメリットがありまして!キャイン!」


 そこまで言った所でレイチェルの頭頂部に強い衝撃が走り、その場でうずくまり頭をさすっている。

レイチェルは恐る恐る後ろを見上げるとそこには橙色のローブを羽織った初老の男性が立っていた。

 男性は白く色の抜けたそれでいて立派な口髭と顎髭を生やし鋭い眼光をしている。


「レイチェル、何事にも順序と言うものが存在するのだよ、そんないきなり機体性能だ兵装だ言われたところで彼らは混乱するだけで頭に入らんではないか?」


「ごめんなさいデス」


 初老の男性は拳をさすりながら諭すようにレイチェルに言う。先程の鋭い眼光とは打って変わって柔らかい穏やかな表情になっていた。


「見苦しいところを見せてしまったね、私は橙級とうきゅう魔法使いのヴァルムガル、ヴァルとでも呼んでくれ。君たちの魔力操作や甲殻機の操作を指導するものだ」


 ヴァルは軽く一礼をし綱一達に自己紹介をする。

すると華がピンと手をあげ一言。


「ヴァルさんは魔法使いって言ったけど魔法とか使えるんですか!」


 華の瞳はキラキラと輝いて見える。


「あぁ使えるとも、見てみるかい?」


「みたい!見たい!」


 ヴァルはにこりと笑みを浮かべ華の質問を肯定する、華はいっそう瞳の輝きを強くしていた。

 ヴァルは胸の前で手のひらを合わせゆっくりと離しながら、


「ファイアボール」


 そう声を発すると手のひら間に10センチほどの火の玉が出現する。四人は「おー」など「凄い」などの声をあげるが彼らとは別の人物?は目を光らせる。


「ヴァルさん!ここは火気厳禁ですよ!魔法を見せるなら氷魔法とか風魔法とか他にもアルでしょう!何で火魔法なんですか!」


 レイチェルであった、拳を握り両手を上げてムキーと怒りを露にしている。


「だって一番派手なんだもん……」


「だもん、じゃありません!」



数分後



「さて、早速魔力操作の訓練を始めようかのう?」


 四人はレイチェルが中央で作業する中そこより少し離れた工場の壁際に移動していた。

 そこには奇妙な見た目は普通だが肘おきの先端には左右1つずつ水晶のような丸い透明の球体がついた椅子が四つ並べられている。


「なんですか?これ?」


「とりあえずそれに座って手のひらをその透明の球体、魔導石にあてて」


綱一は椅子について質問をしたがヴァルに座るように促され、四人は顔を見合せ座ることにする。


「目を閉じて、体に流れる魔力を感じるんだ、ゆっくり深呼吸して」


 四人はそれにしたがい目を閉じゆっくりと深呼吸する。


(なんだろ……胸の奥が……あったかい……)


(体があったまってくる……)


 華と真弓の魔導石が紫色に光だす。

遅れて綱一と武の魔導石も紫色に光だす。


「紫か……そのまま感じた魔力を手のひらから放出するイメージをしなさい」


「こう?」


 華がそう呟くと魔導石は紫から藍色青緑黄橙赤と色が瞬く間に変わっていく。


「ほう、こりゃ驚いたこの短時間で……」


 ヴァルは目を見開き感心している。


「華君、体がだるかったりはしないかい?」


「ん……大丈夫」


「みんなそのままできいて、この訓練は体に魔力操作を覚えさせるのが目的だ、込める魔力の量によって色が変わる下から紫藍色青緑黄橙赤というようにね。最終的には居眠りしながら魔導石を光らせられるようになるんだよ、からだに疲れが出たらすぐに休憩するんだ、いいね」



30分後


「ああぁぁぁ!色が変わらない!」


 綱一は立ち上がり頭をかく。華は相変わらず魔導石を赤く光らせ続けていた。しかし残りの三人は未だに紫のままだ。


「姫路さん!コツ教えて!コツ!」


 華の魔導石に光が失われる。


「コツ?こう手のひらからぶわーってやってそれをずっと続けてたらいいのよ!」


「わかんねえよ!?もっとこうなんかないの?!」


「だからぶいーっよぶいー!」


「さっきとちがう!?」


 華は立ち上がりジェスチャーで伝えようとしているが残念ながら綱一には伝わらないようだ。

 座ったまま聞いていた真弓がクスクスと笑う。


「ごめんなさい……華ちゃん人に教えるの苦手で……」


「こうくんの理解力がとぼしいだけだし!」


 同じく座ったまま聞いていた武が魔導石に手をあて、一気に赤色まで光らせる。


「えー!?なんでできるんですか!今ので!」


 綱一は驚きを隠せない。


「ぶわーって言うのでピンと来てな、もう20年以上前か、俺が子供の頃に龍玉というアニメが流行ってね皆でやったもんだよエネルギー弾を出す練習を、その感じてやったらなにやら出来た」


「そんなんでいいの?!」


「なるほど……」


 綱一と真弓はとりあえずやってみることにした。

二人とも、なにやら出来た。


 数分後ヴァルがトイレから帰ってくると四人は魔導石を赤く光らせ椅子に座っていた。


「これは驚いたな、まさか四人とも赤までこんな短時間にもっていくとは……これは天弓に匹敵する逸材やも知れん……」


「四人ともその状態をいいと言うまで維持しなさい」


 四人はひたすら10時間、お昼にはレイチェルの用意してくれた食事をとりその椅子に座り続けた。




読んでいただきありがとうございます

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