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第207甲殻魔導小隊  作者: 光 寿寿
第一章 ヘルズヘイム召喚
6/58

終わりの始まりの始まり


2020年秋 日本某所


 彼は留置所に居た。夜中から朝まで友人宅で酒を飲み車で帰宅途中、明らかな速度超過で交差点に進入し対向車のトラックと正面衝突、トラックは横転。

 その際男女三人の学生が巻き込まれ死亡。トラックの運転手も死亡という事故を引き起こした。

 彼は奇跡的に無傷でその場で現行犯逮捕となり裁判まで留置所で過ごすこととなる。

 

「何で!あのタイミングで!トラックが!来るんだよ!」


 彼は壁をゲシゲシと蹴りながら憤怒の感情をあらわにしながら喚き散らす。


「だいたいあのクソガキどももあんなとこ突っ立ってないで避けろよ!お陰で俺の人生滅茶苦茶じゃねーか!糞が糞がクソがぁぁ!」


 彼は地面に座り込み顎に拳を当てて押し黙る。


「あー!クソッ……ムカつく」


 次の瞬間彼は何か胸の奥に違和感を覚える。


「ん?なんだこの感覚?……グゥ!あぁ?なん……だ……これ……?」


 胸の奥に激痛が走る、まるで誰かに心臓を握られているようなそんな感覚。それは次第に強くなっていく。


「やば……い!誰か……救急車……」


 しかし声はかすれ外まで届いていないようだ。

誰も気づかない。ほどなくして彼は勢いよく口から血を吐きそのまま絶命した。



 



 彼は目を覚ます。胸の痛みは全くない。その場で立ち上がり辺りを見渡すとそこは薄暗くよく見えない、先程の留置所やましてや病院ではないことはひと目でわかった。


「何処だここは?誰かいるのか!おーい!」


 彼は叫び辺りに人がいないか確認する。


「騒がしいぞ少し黙れ」


 何処からか声が聞こえたと思えば次の瞬間壁や天井に設置されている燭台に火が灯り辺りを照らす。

そこは巨大な空間で、壁は黒を基調とし金の装飾が施されたなんとも不気味な作りになっていた。

声のした方向には玉座がありそこには誰かが座っている。


「なんだあれコスプレか?」


 玉座に座る男の額には1本、こめかみに左右1本ずつ角が天を刺すように生えており、腰まで延びた金色の髪に赤い瞳、顔立ちは青年のように見える。

 服装は、色は全体的に黒で統一されているが所々に金の刺繍が施されていたロココに近いがコートは長く細部にはちがいが見受けられる。



こうべを垂れよ」


玉座に座る男にそう言われると彼は何故か即座に膝をつき手をつき額を地面に擦り付ける。


「ヤバイヤバイヤバイ!アイツはヤバイなんか知らんがヤバイ怖い怖い!」


 彼の顔は恐怖に歪み身体中から汗がにじみ出る。


「我は魔王ルイン、貴様に選ぶ権利を与えてやろう、我のために死ぬか、我に殺されるか選べ」


「そんな!どっちにしろ死ぬじゃないか!俺はまだ死にたくない!助けてくれ!」


 彼は顔をあげルインに懇願するが、


「我に意見するか……」


 ルインは目を細め彼を睨む。彼はヒッと言い直ぐ様顔を下げる。ルインは立ち上がりカツンカツンと音をたてながら彼にゆっくりと近付いて行く。

彼はガタガタと震えその場から一歩も動くことができずにいた。

やがてルインは彼の目の前までやって来て彼の頭をつかむ。ルインの手からは黒いもやのようなものがあふれ彼の体を包む。


「あががガガが!」


 彼が叫ぶと共に体の肉はうねり盛り上がっていく。背中からは黒いカラスのような翼が生え、こめかみからは左右1本ずつ角が生えてくる。顔はヤギのような形に変形する、体は赤黒く変色し筋肉は隆起しうねる。

数十秒ほどそれが続きやがて収まる。


「ナンだコレハ!チカラがあふれてくる!」


 彼は立ち上がり自分の体をまじまじと眺める。

 その見た目は先程の彼の姿とは全くの別物となっていた。身長は2メートルをゆうに超え筋肉は隆々の体それは最早人の見た目とはかけはなれていた。


「バフォメットか……ふむ、まあまあだな」


 ルインは無表情に彼を眺める。


「我のために戦い死ね」


「イヤだね!これだけのチカラがアレバお前を殺してオレはジユウニナレル!」


 彼は拳を振りかぶりルインに殴りかかるがその拳は目の前で止まりそこから進めない。


「魔力もまともに扱えぬ貴様では我に触れることも叶わぬ」


 彼は目に見えぬ衝撃により後方に数メートル弾かれる。


「玉藻はいるか?」


「こちらに」


 入り口にいつの間にか美しい女性が立っていた。

 銀の髪を足元まで伸ばし頭には狐の耳、9本の狐の尻尾を生やし真紅の着物に身を包み胸元ははだけ豊満な谷間がこぼれそうである。


「こいつを鍛えてやれ」


「かしこまりました、お前は今日からバフォだ。可愛がってあげるからこっちへおいで」


玉藻はバフォと名付けられた彼の角を掴み軽々と引きずっていく。


「それと、そろそろ奴らの準備が整ってきたようだ、皆に準備をしておけと伝えておけ」


「はい」


 そう言って玉藻は部屋を後にする、その顔には狂気の笑みがこぼれていたように思える。


「さぁ、再び始めるぞグロリアス。我を楽しませてみろ」



1話描写追加いたしました

もしよろしければ読んでいただけると幸いです

2020年7月22日

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― 新着の感想 ―
[良い点] めちゃくちゃ良い雰囲気じゃないですか!良きなのです!
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