霊峰ノーム
綱一達四人と新たに合流した四機の甲殻機は共にミスリナルを目指し岩場の多い平地をかける。
彼等はラーモン=シンドとその息子達、口の悪い長男のシャス、暴走気味な父親を止めきれない次男のチャル、口数の少ない三男のニャレ。
彼等との自己紹介もそこそこに目的地へと向かう。
「がっはっは! すっかり遅くなってしまったなぁ!」
ラーモンは豪快に笑いながら走っていた。
常に。
「誰のせいだよ! クソ親父!」
すかさず長男シャスの突っ込みが入る。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 僕達が父さんを止められなかったせいで! 皆さんに迷惑をかけてしまって」
そして次男のチャルは綱一達に対し謝りっぱなしである。
「いや、今思えばいい模擬戦ができたと言うか、これも一つの経験と言うか」
綱一は逆に申し訳ない気持ちになり何故かフォローをしている。
「後でしばいておく……」
三男のニャレはぼそりと呟く。
「グハハハハ! いやはや楽しい戦いだったわ! 207、またやるぞ、今度は手加減せんぞ、ぐわーっはっはっはー!」
「ムッ、俺達だって本気じゃありませんでしたし、まだまだ伸び代しかありませんし!」
「おお! そうかそうか、それは楽しみだ! ガハハハ!」
「ちょっとこうくん?! 何かってに約束してんの?!」
「あ、いやごめん、なんか本気なら負けないみたいな感じだったからつい……」
「もー」
「だが、あながち得られるものは多いかもしれないぞ? 手数は多いに越したことはないからな、盗める技術はとことん盗もう」
「はー、たけしゃんまで、これだから男は……」
華は深くため息をつく。
「おい、着いたようだぞ」
先頭を走っていたラーモンは崖で立ち止まり先を見据える。
視線の遥か先には巨大な岩山がそびえ立つ。
「あれがミスリナル……?」
綱一がラーモンにそう尋ねる。
「正確にはミスリナルはそのふもと都市の名前だよ、あの山はノーム、ドワーフの崇める精霊の名前がつけられた山だって」
次男のチャルは綱一にそう説明すると崖下へ視線を促す。
「で、ここが僕達の軍陣って所かな」
崖下には数多くのテントが設けられ、数千かそれ以上の人やエルフ、そしてドワーフ達があわただしく動いていた。
「とりあえず中央の一番おっきいテントに行けばいいんじゃないかな?」
チャルはそう言うと崖を下り始める、そしてそれに綱一達も付いていく。
ミスリナル最奥、とある光の当たらぬ場所。
「くっくっく、人間どもがきよったきよった、一人残らず我が養分としてくれようぞ、くっくっく」
「ちょっと? 折角私のペットを御貸しするのです、餌を分けて欲しいですの」
「ふん、新参風情が生意気な口を叩かないでいただきたい、適当に放ってさっさとお行きなさい」
「言われなくてもそうしますの、私も暇じゃありませんし、ではごきげんよう、くれぐれも夜天の名に泥を塗らないで下さいな?」
「誰にものを言っているのですかな? 新参の小娘が!」
「申し訳ございません、それでは」
「ふん、行ったか、小生意気な……」
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