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第207甲殻魔導小隊  作者: 光 寿寿
ミスリナル攻略戦
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赤髪の聖女


「西脇様、わたくしこの事覚えていないのですか?」


「すみません、全く……」


 エスリザはうつむきワナワナと震え、それを見た武は少し申し訳なさそうに、困った顔をする。


「たけしゃんホントに覚えてないの? うちだったらこんな美人早々忘れないよ?」

「ああ、もしかしたらサルムにいたときに会ったことがあるかもしれないがあの時は色々気がまわって無くてな」


 華と武は小声で話す。


「そう! サルムで西脇様はわたくしを助けて下さいました! わたくしが引ったくりに襲われたときです!! 西脇様は颯爽と現れ引ったくりを千切っては投げ千切っては投げ! まさに武神の如き立ち回りで悪漢を亡き者に! そしてわたくしに近づきこう言うのです!!」


「お嬢様? お怪我はありませんか?」


「と! そしてわたくしをそっと抱き上げ熱い抱擁を! あぁ、今でも忘れません……あの温もりを……」


 綱一と真弓は驚き信じられないと言った表情を武に向け、華はジト目で武を睨む。


「たけしゃん、抱擁って、それで記憶にないはちょっと酷いんじゃ無いかな?」


「ちっ違う! 誤解だ! そんなことをした覚えは無い!」


「西脇さん、千切っては投げって何人殺ったんですか?」


「綱一君! そんなわけ無いだろう! そんなことをしていたら俺は血塗れだ! 君はそんな姿を見たことがあるか?!」


「でも……記憶に無いんですよね? 一概に違うとも言い切れないような……」


「まてまてまて! 真弓さん! 逆にそれ程の事をして記憶がないだなんて最早記憶喪失じゃないか!」


 武は珍しく狼狽え必死に弁明を図る。


「ごほん、姫、お戯れが過ぎます」


 パポリヤスは軽く咳払いをしエスリザを注意する 。


「ふふ、申し訳ありません、忘れられているのが少し悔しかったので悪戯をしてしまいました、こう言う時皆様の世界ではチョームカツクと言うのですよね?」


 彼女はゆっくりと微笑みペロッと舌を出す。


「ははは、西脇さんの狼狽えた姿、初めて見ましたよ」

「たけしゃんの珍しい姿見たわー」

「ふふ、すいません西脇さん」

「はぁー」


 笑いに包まれる病室、ただ一人深いため息をついていた。


「姫、そろそろ本題の方を」


「失礼を、皆様にはこれよりミスリナル攻略作戦に参加していただきます、先の七死夜天の強襲により我々は多くの甲殻機と魔導士を失いました、そのため第一線を退いた魔導士の方々に再度搭乗していただくことが決定致しました、しかしそのためには甲殻機を修復、増産する必要があるのですが……」


「甲殻機の材料のミスリルが必要?」


 エスリザが口を紡ぎ、そこで綱一が口を開く。


「こうくん何で分かったの?」


「俺もこの世界について色々調べたりしてて、ミスリナルって今は魔族が占拠してるけど元々はドワーフの人たちの首都で最大のミスリル鉱山がある場所だから、そこを取り返す理由って言えばそれかなって」


「明石様の仰る通りです、七死夜天が再び現れたので此方も少しでも戦力を回復させなければいけません、その為にはなんとしてもミスリルの採掘が必要なのです」


「でもさぁ、えっちゃん、二人ともまだ怪我してるんだよ? こうくんにいたってはまともに歩くことも出来ないのに」


「えっちゃんとは姫の事か女?! この方は!」


「お止めなさいパポリヤス」


 華がエスリザを愛称で呼ぶことに激昂するパポリヤスであったがそれを制止する。

 そして彼女はゆっくりと綱一の元へ歩み寄り彼の肩に手を触れゆっくりと目を閉じる。

 すると綱一の身体から徐々に痛みは消えていく。


「何これ!? 身体の痛みが消えていく!」


「わたくしは癒しの魔法を使う七人の聖女のうちの一人なのです、もっともそれ以外の魔法は全く使えませんが、ですがあくまでその方の自然治癒を早める事ができるだけですので欠損や致命傷はしないで下さいね」


 そう言うと今度は武の傷を癒し始める。

読んでいただきありがとうございます。

もしよろしければブックマークといいねなどもいただけると嬉しい限り。


質問、や誤字脱字も全て受け入れていますのでありましたら宜しくお願い致します

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