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第207甲殻魔導小隊  作者: 光 寿寿
第二章  強襲 七死夜天
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夢の続きと初陣の終わり





「御姉様! 目を覚ましてクダサイ! 御姉様!」


 一体の小柄な機械人形オートマトンに抱かれながら彼女は目を覚ます。

 辺りを見回すと街は焼かれ一帯に彼女の同族の機械人形が点々と残骸が散らばっていた。

 胸には穴が空いておりバチバチと漏電していた。


「レイチェル……お前は無事だったのだな……」


「すぐに修理イタシマス! どうかもうしばらくお待ちヲ!」


 レイチェルはすぐに彼女の胸を修理しようと脇に置いてある工具箱へ手を伸ばすが彼女はその手を掴みそれを制止する。


「この体はじきに機能を停止する……お前は一つでも多くの魔導核を集め……あれに乗って人間達と合流しろ、三ヶ国にはラバットを飛ばしこの事を伝えた」


「しかし! 御姉様!」


「奴等は危険だ……彼等では太刀打ち出来ない、必ずあれを量産し対抗戦力とするのだ、なに心配はいらぬ……私は少し眠るだけだ……あれの完成楽しみに……待って……いる……ぞ?」

 

「御姉様!? 御姉様ぁぁぁ!!!」




 綱一は瞳を開くとそこは仄かに青緑の光源が照らす狭い空間。


(またあの夢か)


綱一はそこが甲殻機の中ということを思いだし起動操作に移る。


「ごめん、少し寝てた」


「まだ交代の時間じゃないから……大丈夫……だよ」


 綱一は隣で甲殻機に乗る真弓に一言謝罪し丘の上から辺りを見回す。

 すでに日も傾き薄暗い。

 目の前にはかつての戦場、ツァルの大平原が広がっていた。

 そこにはおびただしい魔族の死体とその一部を切り取る人の姿が確認できる。


「魔族の角や牙、それに骨まで薬になるなんて信じられないなぁ……それに今まで食べてた肉も……」


「でも隊長言ってた……そのお陰で病気での死亡率も減って飢餓で亡くなる人も少なくなったって」


(皮肉だな……)


 綱一達がサンドワームを倒してから間もなく後方に待機していた隊商が到着し魔族を解体し各部位ごとに馬車へと積み込みをしていた。


 綱一達はその護衛のためにそこに留まり周囲を警戒している。

 そして綱一と真弓はつかの間の休憩をもらい丘の上で待機していた。


「私たち……大丈夫……かな? もしあんなのがまた出てきたら……」


「その時は俺が守るよ、東条さんも姫路さんも西脇さんも……それにせめて目の前にいる人達位は……」


「ごめんね、ちょっと弱気になってた……私ももっとがんばる、綱一くんが危なくなったら助けられるように」


「うん、頼りにしてるよ……あれ? 名前……」


「あっ、もう交代みたい」


 真弓はそう言うと丘をかけ降りて行く。

 そして振り向きこう告げる。


「綱一くん行こ!」


「あっ!待って、ままま真弓さん!」



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