サンドワームとの戦い
「あああぁぁぁ!!!」
突如としてB.Bは下からの強い衝撃に襲われ、上空二十メートル程まで打ち上げられる。
そして彼を打ち上げたそれは追いかけるように地面より姿を表す。
その姿はまるで巨大なミミズのようだがその大きさは規格外。
胴回りは直径十メートル近くあり先端に頭のようなものはなくただ甲殻機を一飲みにしようと大口を空けている。
その大きさは甲殻機を一飲みにするには十分な大きさだった。
「B.B!」「B.Bさん!」「くっ!間に合え!」
マイケルと綱一と武はとっさにB.Bに迫る大ミミズへ魔導砲を向け魔力を込めるが、大ミミズがB.Bへ迫る速度は思いの外早く間に合わない。
「あ、死んだわ」
B.Bが自らの運命を覚悟した瞬間、もといた丘の上から一発の光弾が放たれる。
それは大ミミズの中心部へ命中し文字通りくの字に折れ曲がり彼を補食し損ね地面の中へと潜っていった。
そして地面には掘り起こされた形跡もなくまるでそこは水面のように静かに波打ちやがてそれは収まった。
「い……生きてる……?」
B.Bは地面に落下しはしたもののなんとか体勢を整え無事着地し自分が生きていることを再確認する。
「真弓、あんたまるで女神様だぜ! 危うく明日の朝日は奴の便所でスクラップと眺めるとこだった!」
丘の上からの真弓の狙撃によりB.Bは窮地を脱する。
「隊長! なんなんですかあれ?!」
「あれはサンドワームだ! 土魔法で奴の周りの土の性質を変え地中を泳ぐことができる、魔族の使役する魔物だが、本来全長十メートル程のはずだ! あんなデカイのは見たことも聞いたこともない!」
「あれどう見ても百メートルはありましたよ!」
綱一に大ミミズがなんなのか問われたマイケルだが彼もそれについて困惑していた、サンドワームは本来全長十メートル程の地中を泳ぐ大ミミズだがサイズからそれほど脅威となる魔物ではなかった。
しかし彼らの目の前に現れたそれは全長百メートル程ありしかも広範囲に魔法をかけており魔力探知をしても位置の特定が難しい。
「まずい!」
綱一 武 華 マイケル B.B ダリルは各機間隔をとり周囲を警戒しつつ魔力探知を行っていると武は突如丘へ向かい全力で駆けていく。
「東条さんか!」
綱一も武に少し遅れ丘を目指す。
「どうした!? お前たち!」
「さっきの狙撃で東条さんに狙いがいってます!」
丘の上でいつ何処から現れるとも知れぬサンドワームを警戒する真弓とアイシャとサラ。
「ちゃんと当てたのに……傷一つついていなかった……」
華が綱一達の元へ向かう際何かが近づいていると聞いていた真弓は有事のためにいつでも撃てるよう魔導砲へできうる限り全力の魔力を込めていた。
しかし彼女の目には傷一つ無い外皮がはっきりと見えていた。
魔導砲は甲殻機の最大の攻撃でありそれが通用しない相手を目の当たりにし彼女は徐々に恐怖を募らせていた。
「まゆみー、こわくないぞーサラが守ってやる! せんぱいだからな!」
「アイシャもな!」
「サラちゃん……アイシャちゃん……」
(こんな小さい子に心配かけてなに弱気になってるんだろう……しっかりしなきゃ!)
そこへ地中に魔力を真弓は感じる。
その魔力は真弓 サラ アイシャのあしもとに広がり地面がまるで沼のようにぬかるんでいく。
「なに……! これ……!」
ぬかるんだ地面に足をとられまともに動けない真弓とサラとアイシャ。
「サラちゃん! アイシャちゃん! 防壁展開! ここから離れて!」
サラとアイシャが魔導防壁を展開した瞬間に真弓は彼女らの足元へ魔導砲を放ち爆風でぬかるみから二人を脱出させる。
それと同時に目の前に大口を開けたサンドワームが地中より現れ彼女を襲う。
(ダメ……! 間に合わない……!)
魔導砲は横を向きもはや旋回させてサンドワームを狙う猶予はない、彼女は回転式六連装砲を撃つしか残されてはいなかった、しかしそれでもサンドワームは止まらない。
「まにあえええぇぇぇ!!!!」
その声と共に武は真弓に体当たりをかましサンドワームの突進を受ける。
「魔導防壁展開!」
そのまま木々を薙ぎ倒しサンドワームは森の奥へと進んでいくとさらに木々を薙ぎ倒しながらのたうち始める。
武は飲まれる前に魔導防壁を最大サイズで展開しそれが功を奏したか飲まれず口で引っ掛かっている。
しかしそれが気に入らないのかサンドワームは何度も頭を降りおろし武を地面へと何度も打ち付ける。
(ぐっ! これはつらいな……! だがこいつ潜らない? 魔導防壁が魔法効果を打ち消して土の性質を変えられないのか?)
「今こいつは潜れない! 今のうちに撃つんだ! そう長くはもたない!」
「西脇さん! でも外はかたくて効かないんです!」
そして遅れて綱一も丘の上へと到着する。
「東条さん! 無事!?」
「明石くん! 西脇さんが!」
綱一がサンドワームへ目を向けると口の中には武の甲殻機の姿が確認できる。
「急がないと!」
「明石くん! 口の中! 撃ったら!」
「わかった! あとは任せて!」
そう言うと綱一はサンドワームの元へと駆けていった。
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