ミーティング
投稿が遅くなり申し訳ありません。
もう少し早く書けるよう心がけます。
綱一達四人がネルリゲンに到着した翌日の昼下がり、彼等は甲殻機に乗り小高い丘の上に広がる森林の中に身を潜めていた。
マイケルを中心に左を207小隊が四機、等間隔に並び、右を206小隊が四機こちらも同様等間隔に並んでいる。
彼らの眼前には日の光に当てられ眩しい程に青々とした緑一杯の平原が広がっている。
(初めての実戦……流石に緊張する……)
綱一は初めての実戦に少し恐怖と不安があった。
ヴァルムガルと戦ったときは咄嗟と言うのもあったが彼が自分達を殺すつもりがないのがすぐにわかったからだ。
彼が綱一達を殺すのが目的なら甲殻機に乗り込んでいない時を狙えばいいだけなのだから。
しかし今回は違う、魔族には明確な殺意をもってこちらに向かっている。
そして自分も彼らに対して殺意を向けなければならない。
もしそれができなければ今彼の周りにいる仲間達や後ろにいる街の人々がただでは済まないかもしれない。
(やらなきゃ……現実を受け止めろ! 明石綱一!)
綱一は自分にそう言い聞かせながら今回の作戦内容を思い出す。
前日の夕刻
「じゃあ早速明日の明朝、甲殻機の整備点検が終わり次第私と一緒に魔族狩りに行くから」
綱一達はその言葉を聞いた瞬間心拍数が少し上がるのを感じる。
いずれそのときが来ると心の中ではわかっていた。
しかしその時は唐突に訪れる。
「B.B!ミーティングを始めるぞー、サラとアイシャはダリルを呼んできてくれ、どうせまだ自分の部屋で寝ているんだろう?」
「わかったー」
「たー」
マイケルは厨房のB.Bに声をかけサラとアイシャにダリルと言う人物を呼んでくるよう頼むと綱一達と同じテーブルに腰掛けほのかに笑みを浮かべながら、
「すまんな、来て早々だがまぁあまりかたくなるな、簡単なお仕事だ」
そう綱一達に声をかける。
ほどなくして二階からサラとアイシャに手を引かれ一人の女性が下りてくる。
吹けば飛びそうな細い体に透き通るような白い肌、腰まで延びた長い黒髪は寝起きのせいかボサボサ、長い前髪で瞳は隠れている。
「あれが俺達206小隊のもう一人のメンバー、ダリル=ヤーブだ」
二階から来た女性をB.Bは綱一達に紹介しそれに答えるように綱一達も彼女に自己紹介をすると彼女は、
「んー」
とだけ答えそのままふらふらと席につく。
「全員揃ったな」
マイケルはそう言うとテーブルに地図を広げる。
それはとても精巧とは言えずただネルリゲンの周辺一帯の地形をざっくりと書き記した粗末なものだった。
「今北東の方角から魔族の一団がここネルリゲンを目指して進行中だ、お前達206小隊と207小隊は私と一緒にここ、ツァルの大平原で迎え討つ」
マイケルは地図上のネルリゲンを指差そこからなぞるように指を動かし森を通りこの先の地で指を止める。
「全体の段取りだが、まず森で身を潜め奴等が来たら一斉放射にて奇襲を行い残った敵を各機掃討、それだけだ以上、質問は?」
マイケルはそういい終えて全員の顔を見回すと綱一が少し遠慮がちにではあるが手をあげているのが目にはいる。
「なんだ?」
「あのー、相手の数とか目的地までの距離とかなにと戦うのかとか気になるんですけど……」
「あー、言い忘れてたな、数は約五千、種類はゴブリンにオークとオーガ、それにミノタウロスが少数だ、どんな奴かは自分の目で確かめろ、ツァルの大平原までは甲殻機の足で三時間といった所か? この世界には時計がないから正確な時間はわからん、他に質問は?」
続いて武が手をあげる。
「俺達が待ち伏せしている所を敵が迂回して抜けていく可能性は無いのですか?」
「それは無いな、奴等は必ずここを通る、それは本能か奴等のボスの命令かは知らんが必ずこの先の奴等の拠点からここネルリゲンまでを真っ直ぐ突き進んでくる、……もう質問はないか? 無ければ解散だ、明日日の出と共にここを発つ寝坊するなよー」
そう言うとマイケルは席を立ち外へとさっさと行ってしまう。
それを全員で見送ってB.Bが綱一達に一言、
「行って倒して帰ってくる、ただそれだけの話さ、あんまり緊張しなさんな」
そう付け加える。
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