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第207甲殻魔導小隊  作者: 光 寿寿
第二章  強襲 七死夜天
32/58

メイドと姉妹と大男


 武が扉をノックするとしばらく間をおいた後、扉を隔てた反対側に人の足音が近づいて来るのが伝わってくる。


 扉はゆっくりと綱一達の方へ開けられ中から出迎えたのは、アメジストのような紫の髪を腰まで伸ばし黒いドレスに白いエプロンを身にまとった女性。


 彼女は綱一達の姿を見ると彼等が何者なのかおおよそ察する、しかし一応確認のため尋ねることにする。


「失礼ですがお名前をお伺いしてもよろしいですか?」


「突然の訪問失礼します、私は207小隊の西脇武と申します、彼が明石綱一、彼女達が東条真弓と姫路華です、ドワーフ工房のカバラッチさんからこちらを訪ねるように言われたのですが?」


「はい、伺っております、申し遅れました、私は皆様のお世話を仰せつかっておりますメイドのキュレーと申します」


 彼女そう自己紹介するとスカートを少しつまみ上げ片足を浅く後ろに引きにこやかに会釈をする。


「立ち話もなんですからどうぞ中に」


「お邪魔します」

「失礼します」

「たけしゃんが私なんて言うとなんか違和感あるね」

「仕事の癖でな、初めての荷受け主の所で聞かれたときに使っていたんだ」


 綱一と真弓は素直にキュレーに従い中へと、華は「ニシシ」と笑いながら武を茶化し共に中へと入っていく。


 中に入るとそこはまるで食堂のような空間が広がっていた、テーブルが規則正しく並べられており左奥にはカウンターと厨房が、正面奥には上層へと通じる階段があり、壁には幾つかドアが見受けられる。

 そして中央には少女を二人背中に乗せ腕立て伏せをするドレッドヘアーの上半身裸の筋骨隆々な肌の黒い大男がいる。

 そしてブロンドをポニーテールとツインテールに結んだ二人の少女はエメラルドのような瞳を綱一達にまっすぐ向けている。


「新しいやつだー!」

「だー!」


 二人の少女は大男の背中から文字通りピョンと飛び降り綱一達の元に駆け寄ってくる。

 後ろでグエっと声がしようがお構いなしに。


「おまえたちなにいろだ!」

「なにいろだ!」


 少女達は唐突に綱一達に色を聞いてくる。


「色?……階級の事か? 紫だけど……?」


 綱一は突然の質問に一瞬なんの事か分からなかったがここで聞かれる色と言えば階級の事だろうと察し答える、と少女達はみるみる表情が晴れやかになっていき後ろで寝そべっている大男の方を振り向き。


「びーびー! 下っ端だ! 下っ端だった!」

「だった!」


 そう報告する。


「イテテ、誰だ? 下っ端だなんて言葉教えたやつは……」


 大男はゆっくりと立ち上がり綱一達の元へ歩いてくる。

 その体躯は綱一や四人の中でも最も背の高い武ですら見上げるほどであった。

 おそらく二メートルを少し超えるほどであろうか。


「すまねぇなコイツらは悪気があって言ってる訳じゃねぇんだ、悪く思わねぇでくれ、俺はB.B、206小隊のもんだ、この二人はツインテールがサラ、ポニーテールがアイシャだよろしくたのむぜ」


 B.Bはそう言って手をさしのべる、綱一は両手に荷物を抱えているため会釈をし武は彼の手を握り固い握手を交わす。


「明石綱一です」

「西脇武だ、よろしくたのむ」


「サラ=カーミゴーリーだ!」

「アイシャ=カーミゴーリーだ!」


 真弓と華はしゃがみこみサラとアイシャに目線を合わせにこりと微笑む。


「姫路華だよ、よろしくねサラ先輩、アイシャ先輩」

「東条真弓です……よろしくね」


「びーびー、先輩ってなーにー?」

「なーにー?」


 サラとアイシャは先輩の意味がいまいち分からなかったらしくB.Bを見上げ質問する。


「んー? 上官とか上司とか目上の人間ってことだったか? すまんな、俺のいた国にはそれと同じ意味の言葉が無いが合ってるか?」


「ああ、だいたい合ってるぞ」


 B.Bは武に解を求め武もそれを肯定する。

 厳密には少し違うがまぁここではそう言うことにしておこう。


「せんぱい!」

「せんぱい!」


 サラとアイシャはいたくその響きが気に入った様子だ。


「あのー? 皆さんお疲れでしょうからそちらに」


 キュレーは遠慮がちに七人の会話に割って入りテーブルへ腰かけるように促す。


「ああ、すまなかったな、もうすぐ隊長が来るだろうからそれまで座って待っててくれ」


「では紅茶をいれて参ります」


「あっすいませんちょっと厨房借りていいですか?」


「かまいませんよ?」


 そう言って綱一は抱えていた木箱をもってキュレーと共に厨房へと入っていき残された六人は近くのテーブルへと腰かける。



読んでいただきありがとうございます。

もしよろしければ感想や評価なとしていただけるととても嬉しく思います。


あと短編も書いていますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです。

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