異界の地へ
明石綱一は意識が遠のいた次の瞬間意識が戻る。
(あれ?……確かさっきトラックに潰されて……はっ!そうだ!足!)
すぐに上体を起こし下半身を確認する。
しかし目に映ったのはなんともないいつもの下半身だった。
(……確か腰までガッツリ潰されてたはず……?すりつぶされていてもおかしくない状況だったと思ったんだけど……?)
意識がはっきりしてくると、どうやら周りではなにやら複数人が声を上げていることに気付く。
「やった!成功だ!」
「早く召喚士殿達を医務室へ!」
「急げ!」
(なんだここは……?まるでゲームとかに出てくるお城の王の間みたいな……?)
そこは先程とは全く違う別の場所の様なところだった。
よく見ると近くには女の子二人と、30代位だろうか?
男性が倒れている。
「大丈夫ですか!?」
三人を揺すり起こそうと試みる。
「う、うーん」
「んんっ」
「うっ…ここは?」
「良かった……生きてる……」
三人はなんとか意識を取り戻し辺りを見渡す。
「なに……ここ?」
「どっどうしてこんなところに?」
「確か交差点で……」
「目を覚ましたか、異界の者よ」
四人は声のした方へ目を向ける。
そこには王冠をかぶりきらびやかな装飾を施された衣服を身にまとう立派な髭を蓄えた初老の男性が、玉座であろう場所に腰かけていた。
「余はこの国の王グロリアス13世、そなた等をこの地によんだのは余である」
「あの……ここは……?」
30代の男性が遠慮がちに質問する。
「ここは、サルムワール王国、王都サルムである」
四人は顔を見合せ、
「聞いたことない……」
「知ってる?」
「いや……」
と口々に呟く。
「無理もない、ここはそなたらがいた世界とは別の世界なのだ、いわばお主らにとっては異界の地であろう」
王の言葉に驚きを隠せない四人。
「そして、率直に言おう、そなたらは死んだ」
「そんな!」
「ありえないし!」
「わっ私たち現にこうして!」
「………」
「身に覚えがあるであろう?」
確かに四人には身に覚えがあった。
事故による損傷は四人とも即死していてもおかしくはない。
今こうして五体満足で話している方がおかしいのだ。
「そなたらは確かに死んだ。魂と肉体は離れその魂のみを余の召喚士が呼び寄せたのだ」
「なんのために……?」
「この国……いや、この世界のために力を貸してほしい。この世界は未曾有の危機にさらされておる。50年前、魔王を名乗る物が突如現れ全世界に宣戦布告し、世界の国々は魔王の軍勢対し抵抗した。しかし奴等の数はこちらの遥か上を行き、次々と国が滅んでいった。この世界にはそなたらの力が必要なのだ、どうか頼む」
「しかし、我々は戦うすべを知りません。我々は戦いとは程遠い国で育ってきました、そんな我々に世界を救う等とだいそれた事はできないと思います」
30代の男性がそう告げると、
「お主達にはその力がある、お主達は召喚される際ゲートと言う所を通ってきたのだ。そのなかで魂の情報を元に受肉されその際に細胞の一つ一つにゲートより大量の魔力が与えられたはすだ、その魔力量は我々の保有量をはるかに越えておる」
「じゃあウチら魔法かなんかをバッコンバッコン使えるってわけ?」
金髪の女の子がそう質問するが王は首を横に振り、
「いや、お主らは魔法を使うための器官、魔臓を持っておらぬ。よっていくら修行をつもうと魔法は使えぬ」
「じゃあどうやって……?」
明石綱一の疑問に対し王は、
「魔力により動く兵器、甲殻魔導機に乗ってだ」
王はそう告げる。
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