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第207甲殻魔導小隊  作者: 光 寿寿
第一章 ヘルズヘイム召喚
23/58

模擬戦


 彼等が甲殻機に乗りはじめておよそ一ヶ月、毎日王都周辺での訓練に明け暮れていた。


 今日はというと山岳地帯で攻め手綱一と華、守り手武と真弓に別れ拠点攻防模擬戦闘訓練を行っている。


 ここら一帯は標高はそれ程高くないものの切り立った岩山が数多く点在しており見晴らしはそれ程よくはない。


 今回の模擬戦のルールはいたって簡単、攻め手は拠点に設置された旗を破壊すれば、守り手は攻め手の後方の腹部上部に据え付けられたゴム風船の破壊で勝利となる。

 ちなみに風船は綱一が赤で華は緑である。



 二機の甲殻機が山肌をゆっくりと山頂を目指して駆けている、綱一と華である。


「取り敢えず地形確認しようとこの辺で一番高そうな山登ってるのはいいんだけど、これ一歩間違えたら狙撃されて終わりじゃない?」


 明石綱一、彼は持ち前の器用さもあり甲殻機の操作能力と射撃は水準以上に達しており、魔導防壁という魔導砲により圧縮された魔力を自機の周囲にバリアとして展開する防御機能の強度も高く、攻防遠近何処でも戦えるバランス型として育っていた。


「ダイジョブ! ダイジョブ! うちの感知範囲には魔力反応無いから撃たれてもギリ防壁展開してガードできるはず」


 姫路華、彼女は魔力操作訓練時に見せた才能を遺憾無く発揮し、甲殻機の操作は四人の中では頭一つ抜けていた。


 そして魔力感知という周囲の魔力反応を感知する能力も本来ならば自機からせいぜい半径百メートル程に対し華はその数倍の距離の魔力反応を感知することが出きる。


 しかし遠方射撃に関しては命中率が低く近中距離の戦闘を得意としていた。


「でも油断大敵だよ! まゆみの砲撃はうちの感知外から正確に飛んでくるから」


 そして東条真弓、彼女は甲殻機の操作においてはまだまだだが、射撃においては止まっている的ならば外すことはなく、単純に動いているだけの標的ならこれも必中、回避行動をする的に対しては持ち前の動体視力と行動予測を行いほぼ外すことはない。


 しかし特筆すべきはその射程の長さにある、たとえ一キロ離れようとも彼女の目からは逃れることはできない。


 最後に西脇武、彼は射撃精度に関しては綱一よりはやや劣りそれなりではあるが魔導防壁の強度は飛び抜けて高く、現状あらゆる攻撃を防ぎきっている。


 そして武本人はもともと柔術を嗜んでいたためその動きを甲殻機に生かし接近戦では相手を組伏すなどの動きを見せている。



 山頂に到着した二人は周囲を見渡し地形の確認をしている。

 頂上は台地となっており周囲の地形確認にはうってつけの場所となっている。


「拠点ってどっちだっけ?」


 綱一は北の地形を確認しながら華へと訪ねる。


「ここからだと確か西に二キロ先だったような……」


 南の地形を確認していた華は西側へと顔を向ける、すると拠点があると思われる西方約二キロ地点の山頂に一瞬強い光が見える。


 そこから光弾が放たれ上空へとどんどんと上がって行きやがて太陽と重なるとそれは同化し見えなくなってしまう。


「……! こうくん! 防壁!」


 光弾の軌道に気づいた華はすぐに綱一へ警告を叫び自身は魔導防壁を展開する。


 北を向いていた綱一はその意図を理解するより先に条件反射的に防壁を展開しその瞬間光弾は綱一の側方に命中し防壁に阻まれその場で四散する。


「撃たれた! 撃たれた!」


 綱一と華は急いで東面の山影へと身を潜め様子を伺う。


「風船生きてる? 割れてない?」


 綱一は華に対し風船の生死の確認を求めまだ割れていないと聞き安堵する。


「あぶねー……俺が狙われたのたまたまだと思う?」


「多分……たまたまじゃないと思う、まずは射撃の得意なこうくんやってからうちを倒そうとしたんだろねー」


「風船の色で見分けた……? あそこからわかるのか~」


「ところでこうくん、今のはまゆみの狙撃で間違いないと思うんだけど……たけしゃんの所在は何処だと思う?」


 綱一は少し考え込む、遠方からのあのような正確な狙撃は武には少し難しい、ましてや角度が太陽と重なるように計算して撃つとなればなおさら。


「一つ、東条さんの盾に徹して役割分担、二つ、拠点から離れて一人で迎撃、三つ、それ以外の何かかな、つまり今はまだわかんね」


「だよねー、取り敢えず考えても仕方ないか~」


「ひとまず場所も地理もある程度わかったしふもとに降りて山影使って近付きますかねぇ」


「んだんだ」


 二人はそう言うと斜面を滑るように下っていった。



読んでいただきありがとうございます。

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