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第207甲殻魔導小隊  作者: 光 寿寿
第一章 ヘルズヘイム召喚
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四機の甲殻機

 

 彼等がこちらの世界に来て今日で十日目、ついに彼等が搭乗する四機の甲殻機が完成していた。


 今日はいつも通りの時間にやってきたヴァルムガルによって四人は集められ、横一列に並べられた甲殻機の前に、ヴァルムガルは甲殻機に背を向けるように、四人はヴァルムガルと向かい合うように立っていた。


「これから君たちには甲殻機に搭乗してもらうわけなのだけれども、それにあたって一つ注意事項がある」


「甲殻機はそれこそこちらの世界の住人では動かすこともままならない程魔力を消費するんだ、それは魔導石の比ではない」


「無茶な運用をすると最悪、魔力欠乏症におちいり死ぬこともある、それだけは肝に命じておいてほしい」


 そこで綱一が少し遠慮がちに手をあげる。


「あの、質問いいですか?」


「なんだい?」


「魔力欠乏症になるとどうなるんですか?あと、なったときの対処法も教えてほしいです」


「ふむ、まぁ当然だよね、まず体から50%の魔力が失われると頭痛、吐き気、目眩などの症状が出る」


「次に全体の70%の魔力が失われるとそれらに加えて吐血、中等度の意識の混濁が起こる、普通はここまで行使すれば意識を失って甲殻機も自動的に機能を停止するように出来てる」


「それでも甲殻機を動かし続けると、体の穴と言う穴から出血し、細胞が崩壊をはじめ死に至る」


「80%、ここが命の境界線だよ、これを越えるともう戻らない」


「そして、命の境界線を越える前に正しい処置をしないと生存率もグンと下がる、その正しい処置は…………」


 一同その方法にゴクリと唾を飲む。


「接吻じゃ、こうブチューっと一発熱い口づけをな!」


 ヴァルムガルは口を尖らせ両腕を交差させ手を脇の下に収め体をくねくねとくねらせる。


 そのふざけた動きに一同は呆気にとられる、がその言葉の意味を理解し綱一と華は顔を赤面させる。


「くぉぅら!糞ジジイ!うちらは真面目に聞いてんのになにふざけて!」


 最初に発言したのは華だった。

 至極当然、四人には命のかかった重要なことである。


「ちょっ、華君怖いよ、実際真面目な話接吻は本当じゃよ、人間の体液は非常に魔力を通しやすいからとても有効な手段だよ、後は傷口の密着とか指を切って口に傷口を突っ込んだりね」


「ほんとにぃー?」


「ほんとだとも、続けるね、最初はゆっくり慣らしていこう、体に不調が出たらすぐ報告するように、ではここからはレイチェル、お願いするよ」


「ワカリマシタ、まず甲殻機の説明から、左からシャルロット、ソフィア、ウンディ、ガリウスと言う個体名ガアリマス」


「性能差はアリマセンので好きな機体を選んでクダサイ」


 三人がどれにしようかと決めかねていると、綱一は一人一番左の甲殻機シャルロットへとまるで引き寄せられるように歩みを進める。


「俺、こいつがいいです、こいつじゃないとダメな気がする……」


 そっと甲殻機の前部、頭部にあたる場所へと手をゆっくりと押し当てるとその瞬間綱一の脳内へ直接語りかけるように声が聞こえた。


(よろしく頼む)


「え?」


 誰かが話しかけたのかと後ろを振り向くがどうやらその様子はない。


(気のせいか……?)





 残りの三人も取り敢えずなんとなくで搭乗する甲殻機を決め、各々の機体へと歩み寄っていく。


 綱一はシャルロットに、真弓はソフィアへ、華はウンディ、武はガリウスへと。


 甲殻機には二つの部位が存在する。

 

 前方の頭胸部、後方の腹部。

 

 前方は名前の通り頭部と腹部が一体となっており前方に六つの赤いレンズが左右三つづつと、中央先端には圧縮した魔力を弾丸として高速連写する事が可能な武装、回転式六連魔導機銃が装着されている。


 そして、頭胸部後方上部には圧縮した魔力を弾丸として打ち出す、九十ミリ長距離魔導砲が装着されている。


 頭胸部左右には四本づつ巨大な足がへの字型に延びており先端は三ツ又に割れており稼働しバランスをとりやすくなっている。


 搭乗する際は頭部が下へスライドし足から中へと潜り込むように入っていく。


 後方の腹部には動力源である魔導炉がつまっておりそのメカニズムはレイチェルのみぞ知る。


 

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