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第207甲殻魔導小隊  作者: 光 寿寿
第一章 ヘルズヘイム召喚
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真弓と華の休日


 真弓と華は中央広場へと到着する、そこは二人の想像以上の賑わいと広さを持っていた。

 昼前と言うこともあり積み荷を満載している馬車が、いくつも往来している。

 その脇を多くの人が世話しなく、又はのんびりと歩いている。

 それはいつもの光景なのか、御者も特に気にすることなくしかしゆっくりと馬車を引いている。


「いやー、すごい人だねー!これはここまわるだけでも1日かかっちゃうかもねー!」


「迷子になったらもう合流出来ないかもね……」


「まゆみー!怖いこと言わないでよー!」


 真弓はふふっといたずらっぽく笑いそれにつられるように華も自然と笑顔になる。


「はなちゃんどうする?これから」


「取り敢えず時計回りに見てまわろっか?」


「そう……だね、そうしよっか」


 真弓は返事をしながら中央の噴水の辺りに目を向けている。


「どうかしたの、何か見える?」


 疑問に思い華は視線の先に目をやるがそこには様々な露店商やそれを眺める人、噴水に腰掛け談笑している男女や家族、子供がいるだけで特にかわったところはなかった。


「ううん、なんでもないの」


(多分思い過ごし……だよね……)


 二人は自転車を押しながらゆっくり歩みを進めていく。

 最初に目に入ったのは色とりどりの半透明のつややかなソフトボールほどのサイズのガラス玉の並べられた屋台だった。


 華は好奇心に勝てず自転車を押しながら屋台へと駆け寄っていく。


「あっ待ってはなちゃん」


 遅れて真弓もゆっくりと後を追う。

 そこに焦り等はなくいつもの事のように慣れた様子である。


「おっちゃーん!これ何?」


 華は屋台につくや否や赤色のガラス玉を指差し屋台の主に質問をする。


「え?……あぁ、らっしゃい、嬢ちゃん知らないのかい?これは魔導石だよ、そんなに珍しいものでもあるまいて」


 少し強面の筋肉質な屋台の主は下を向きガラス玉を布で拭いていた為少し面食らったが彼も接客業を営むもの、突然声をかけられた程度では驚きはしない、しかし質問の内容があまりにも普通ではなかった為少し戸惑ってしまったが彼もプロ、直ぐ様持ち直し接客へとうつる。


「魔導石?それって透明のまるっこい石でしょ?」


「嬢ちゃん、それは属性付与される前の素材用か子供が魔力操作練習するやつだよ、魔導石は本来……そうだなぁ」


 そう言って店主は目の前の赤色の魔導石を掴み取りほんの数秒静止する。


「嬢ちゃん、触ってごらん」


 店主はそう言うとゆっくりと華の前に赤い魔導石を突き出した。


「え?……あつっ!くはない……」


 華はおもむろに突き出された赤い魔導石に手を触れ自分の予想していた温度とかけ離れていたため反射的に手を離してしまう。


 本来日陰においておけばガラス玉のように多少ひんやりしているはずの魔導石はまるで暖められたカイロのように熱を帯びていた。


「華ちゃん?どうしたの……?」


「まゆみも触ってみ?」


 そう言って華は真弓に魔導石に触れるように促す。


「あったかい……」


「おっちゃん何したの?」


「火属性の魔導石に少し魔力を込めたんだよ、これは魔法使いが火属性を付与した物で魔力の込め具合で30度から300度まで温度を上げることが出きる、料理や保温それからお湯を沸かしたりな、だいたい1時間くらいするか魔力を込めた本人が手を触れれば効果は切れて元の温度に落ち着くのさ」


「触れて……熱くはないんですか?」


 真弓は当然の疑問を投げ掛ける。

 300度にもなった物に触れれば火傷どころの騒ぎではない。


「魔力を込めた本人なら問題はないよ、魔力を熱として放出しているだけだからな、自分の魔法で自分を傷付けられないのと一緒さ」


(そうか……魔法は撃った本人には効果がないんだ……)


「で、こっちの青い魔導石が氷属性の魔導石、火属性とは逆でマイナス30度まで冷える、効果時間は魔力を込めた量によるがだいたい1日はもつな、あとは緑色の風属性、風を起こせる、多く出回ってるのはこれぐらいだな、他にもここには置いてないが光や闇属性雷属性なんてのもあるがこれらは使える魔法使いが少ないからあまり市場には出回らんな、何より高価だ」


「じゃあここにあるのはいくらなの?」


「ここにあるのは純度10%の良質品だが見習い魔法使いが作ったものってことでお手頃の一万クランツだ、1つどうだい?」


「うへぇ、お小遣いなくなっちゃうよ」


(純度……?)


「そいつは残念だ、次は買ってくれよ」


「うん、必要になったらね」


 真弓と華は店主に軽く手を降りお店を後にしようとする。すると店主に呼び止められた。


「嬢ちゃんたち、こいつを持っていきな」


 真弓と華は店主に青色の直径1cm程の魔導石を受け取る。


 「小さい氷属性の魔導石だ、飲み水にいれたらひんやりしてうめぇぞ、こういうのもあるから今度はお仲間さんも連れて来てくれよな」


「うん、ありがとー」

「ありがとう……ございます」


 真弓と華はまた手を降り今度こそお店を後にする。


(あの子達が噂の最近異世界から召喚されてきた子達か、愛想が良くていい子じゃねぇか)



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