三話 ホムンクルスの少女!?
はい、俺です。
というか、創造神には変な本を渡され、ダンジョンを作ったとか無茶苦茶なことを言われましたが、強く生きようと思います。
ということで、まずはほんの内容から。実は、本には題名がなく、どちらかというと、メモ帳に近い感じです。まぁ、通称『神メモ』で。今回も、簡単に内容をまとめると。
1.魔法の習得 (基本五属性、空間魔法)
2.武術の練習 (剣術、槍術、体術……)
3.ダンジョンでの訓練・制覇
4.その他スキルの習得
この本簡単に言うと、攻略本でした。つまり、スキルの習得方法からダンジョンの攻略法、お金の稼ぎ方までいろいろ書いてありました。創造神様様です。
ウキウキしながら読んでいると、小さめのメモ用紙が本から落ちてきた。
「なんだこの紙、『お主には、100年後に時の神を倒してもらう。』ってぇぇぇぇぇ! 」
衝撃の事実が分かったところで話をいったん整理しよう。時の神とは、時空魔法を作り出した神らしい。ちなみに、今は創造神との反対勢力に幽閉されているらしい。しかも、時の檻という面倒くさい魔導具に使った状態で。魔導具とは言っても、宇宙みたいな感じで今でも広がり続けているらしい。中の時間は、止まっていて、かつ超速で動いているらしい。それによって、周りの時空からとは異なっているため、出ることは出来ないし、周りからの干渉もよほどの力がない限りは無理だという。そして、100年後にこの空間が呑み込まれてしまうと、神メモには書いてあった。
「もう、一周回って落ち着けるな。とにかく、100年後までに時の神を倒さなければならないことだけは、分かった。ひとまず、この旅館を詳しく見て回ろう。」
まずは、中二病心をくすぐる、ダンジョンの入り口でも、見に行ってみよう。
――――
旅館の外に出て、10分ほど歩くと、洋風の古びた塔があった。
「お~。まさに、ダンジョンの入り口だ。昔行った、ピサの斜塔を思い出すな。」
塔にゆっくりと、近づいていると、真新しい看板が現れた。
『神界の古塔』
創造神によって作られた。高難易度ダンジョン、モンスターのレベルが高く、トラップも数多く存在する。
(お主も、気をつけるのじゃよ。by.創造神)
「実際に、入るのは、後にして旅館の裏手にあった、グラウンドというか、訓練場にでも行ってみるか。じゃあ、試しに《転移》」
目の前が光に包まれ、旅館の前に無事に出られたようだ。
「初めてにしては、割と使えるものだな。でも、少しめまいが。ひとまず、ステータスを確認してみよう。《ステータス・オープン》」
《ステータス》
名前:カイ (新井海斗)
性別:男
レベル:1
状態:魔力枯渇
HP:100/100
MP:30/300
STR:G AGI:G
VIT:G DEF:G
MDF:G DEX:G
INT:G
スキル:創造神の加護(不老、創造魔法)、成長限界突破、裏切らぬ努力、絆な魔法、料理(3)
称号:創造神の使徒、努力する者
「空間魔法は、獲得できていないな。あ、魔力が枯渇したのか。レベルの低いうちは、あまり連発できないな。ひとまず、少し休もう。フラフラして今にも倒れそうだ。」
寝室に戻り、3時間ほど仮眠をとることにした。
――――
3時間後。
「完っ全、復活~!」
確認してみたところ、MPも完全に回復していた。
「クゥゥゥ~~。」
朝食を食べただけで、他は何も食べていないので、腹の虫が盛大に鳴いた。誰もいないとわかっているが、恥ずかしい事には変わりない。
「さぁ~。早めの夕ご飯だ~。」
と恥ずかしさを誤魔化すように、廊下を進んでいると、訓練場に誰かがいるのが見えた。恐る恐る、窓を開けて確認してみると。相手から、こちらに剣を片手に近づいてきた。
「マイマスター、おはようございます。」
「う、うん。おはよう。ところで、君は誰?」
「自己紹介が、遅れました。戦闘型ホムンクルス77号、通称ナナと申します。」
剣に気を取られて、気づいていなかったが、普通の女の子であった。服装を除いて。
「ねぇ。どうして、そんな服装をしているの。」
「どうしてと聞かれましても、秘蔵コレクションの内容を解析した結果です。解析結果を発表しましょうか。」
「やめてください、本当にお願いします。」
そう彼女が、着ていたのは、超ミニスカ仕様のメイド服である。ニーソとスカートの間に見える、絶対領域が実にたまらないです。はい、ありがとうございます。
「話がそれたが、ナナはなぜここにいるんだ。あと、俺はおまえのマスターになった、おぼえはないぞ。」
「私を作られた創造神様が、カイをマスターに認定するとおっしゃっておられました。ついでに、私は、ホムンクルスではありますが、下半身は人族ベースで作られています。子供は、出来ませんが、行為自体は出来ます。どうです、押し倒します? 」
「え、遠慮しておきます。」
俺の理性は、わずかだがしっかりと仕事をしてくれたようだ。本格的に話がそれてきたのでひとまず、いろいろ聞いてみよう。
「ナナは、俺のサポートとして創造神が作ってくれたって認識でいいのかな。」
「はい。おはようからおやすみまで、戦闘面のサポートを命令されています。」
「ちなみに、使う武器とか教えてもらってもいいかな。」
「私の基本武器は剣ですが、他にも一通りは使うことができます。魔法についても、各種上級までなら使うことができます。」
「へ~。すごいんだね。」
話している間に、台所についてしまった。
ホムンクルスは、食事をするのだろうか。聞いてみよう。
「なぁ~、ナナ。ホムンクルスって食事するのか。」
「基本的には魔力によって動いているので、必要ありません。特にこの神界では、マナの量が多いため基本的には、魔力の供給も必要ありません。しかし、異世界の料理は興味があるので、ご相伴にあずからせていただきます。」
「おし。分かった。腹いっぱい食わせてやろう。」
始めての異世界の飯を食わせてやろうと意気込んだカイであったが、このあと訪れる地獄を知る由もなかった。
――――
「もう、勘弁してください。」
ナナは、既に10皿目のカレーを食べ終わり、さらに、お代わりを要求してきた。
あとに、聞いた話によると、もともと、消化するのではなく、直接魔力に変換しているので、無尽蔵に食べられるらしい。