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第4話 異世界で無一文は厳しいと思うのです…





「そうですか、色々教えてくださって、ありがとうございました。」


 しゃーないよね。お金ないし、野宿するしかないよ。

 しっかり、おばちゃんにお辞儀してその場を立ち去ろうとする。


「あれ?あんた泊まって行かないのかい?」


「そうしたいのは山々なんですが、生憎とお金がなくてですね。あはははは、」


 俺がそう答えると、宿屋のおばちゃんは腕組みして、何やら唸りだした。


「…いいだろう!この宿屋はじめての来客だ!一泊だけタダにしてあげるよ。」


「……え?…ほ、本当ですかっ!?」


「あぁ!」


 なんて優しいおばちゃんなんだろう。

 この恩は必ず、


「このご恩は必ず返します!」


「あぁ、返しておくれ。待ってるよ。」


 そう言って、宿屋のおばちゃんは優しく笑った。






**********************





「そう言えば、俺がはじめての来客って、まだ出来たばっかりだったんですねここ。」


「そうだねぇ。というか、まだ開店してすらして居ないからねぇ。」


「え?」


 どゆこと!?


「開店は明後日からなのさ。だから、お客さん相手の接客なんかを練習しておきたいところだったんでね。あんたが来てくれて少しは練習出来そうだよ。」


 なるほどなぁ。そう言う事だったのか。……というか、こうは言ってくれてるけど、実際開店前なら結構忙しい筈だし邪魔なんじゃ。……おばちゃん優しい人だし、俺に気を使って言ってくれてる感じだと思うのだが……

 やっぱり、ここはお礼だけ言って野宿した方がいいか…


「やっぱり、タダでってのは申し訳ないですし…また今度泊まら「おやおや、なにいってんだい。今、来てくれて助かったって言ったばかりじゃないかい。あ、それとも接客の練習相手は嫌かい?」


「いやいやいや、そんなことないですッ!ただ単純に申し訳なくて…」


「じゃあ泊まっていきな!いいんだよ。お互い利害ってやつは一致してるんだからね。あんたは宿を。私は接客の練習相手を。お互い様だろう?」


「…はい、本当にありがとうございます。これからお世話になります!」


「あぁ、ゆっくりしていきな。じゃあ、部屋を紹介するから着いてきな。」


「はいっ!」



 本当に優しい人だ。お陰で肌寒いこの中、草原で孤独に野宿せずにすみそうだ。







**********************







「ここを使いな。」


 おばちゃんがそういい、開け放たれたその部屋はベッドとテーブル&椅子のセットとテーブルの上に置かれた、ランプのようなものだけの質素な小さな部屋ではあったが、新設された宿屋だけあってとても綺麗な部屋だった。


「ありがとうございます。とても良い部屋ですね。使わせてもらいます。」


 俺はそう言って部屋に入った。


「井戸はこの宿の裏手にあるから、そこで好きに使っておくれ。体を拭きたければ、温かいお湯を入れた桶とタオルを貸すから気軽にいいなよ。あとは、トイレは1階のこの通路の突き当たりの部屋にあるからね。まぁ、伝える事はこんな所かね。この他に何か質問はあるかい?」


 うーん。他に質問か…一応聞こうと思ってたことはおばちゃん、全部教えてくれたしなぁ。

 あとは…


「いえ、宿泊に関する聞きたいことは全て聞けたと思います。でも、これとは全く別件で、聞きたい事があるんですがいいですかね?」






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