第2話 事の経緯はこうでした…
はい、俺は死んだらしいです。
いやー、確かに死ぬ直前の記憶はあるんだよ？
いやまぁ、あんな死に方するとは思わなかったけどさぁー。
「階段で足を踏み外し、頭部強打した事による、頭部外傷が原因での死亡です。」
あ、はい。そうです。階段でコケて死にました。
我ながらなんともまぁ無様な死に方ですよ、ほんと。
「はい、覚えてます。ところであなたは神とかそう言う存在ですか？」
そう、目の前でそう説明してくれた存在は、神様としか思えないような眩いまでのオーラを放っていたのだ。
いや、表現的なものじゃなくて、リアルで眩くて直視できんのよ。
「あまり驚かれないのですね。…はい。私が一応、神と言う者にあたるでしょう。」
「いや、実際かなり驚いてますよ？なんというか、予想だにしない状況過ぎて逆に冷静になれてるというか、まぁそんな感じです。」
「なるほどなるほど。そんなものですか。」
「それで、この場所に呼び出されたという事は、きっと何か用があるって事ですよね？」
「そうなんですよ！察しが良くて助かります！」
神様はそう食い気味に返答し、一つ指を立てた。
「なんとなんと！ただいま！希望者には異世界転移の期間限定キャンペーンをやってるんです！あなたはラッキーですね！」
そしてハイテンションにそう早口で捲し立てた。
いや、今はそんな事はどうでもいいのだ。
そうだ。異世界転移だ。
おいおいおい！みんなの憧れ！異世界転移だぞ！？
「行きますっ！異世界に転移させてくださいっ！……って言いたい気持ちなのは山々なんですが、幾つか質問してもいいですか？」
「もっちろん！どうぞどうぞ！なんでも聞いちゃってくださいっ！」
なんだか知らんがやけに、最初と違って滅茶苦茶ハイテンションになったな。この神様。
「まず、記憶はリセットでスタート、とかそんな事はないですか？」
「いいえ、ありませんよ。記憶は今までのものが引き継がれます。というかそうじゃなくっちゃ、普通に輪廻転生させるの変わりませんしね。」
そっか、良かった。一番の問題が杞憂に終わって。あとは、
「あとは、人間の姿での転移になるんですかね？さすがに、虫になって2度目の人生を。とかだとキツイんですが…」
さすがに人間以外の姿での転移は勘弁してもらいたい。記憶が引き継がれるって言うならば余計に、
「あぁ、その点もご心配なく。ちゃんと人間の姿での転移となりますよ！」
そっかそっか。いやー良かった。ならもうこんなもんでokかな…………いや、待てよ。異世界に転移させてくれるとは言ったけど、剣と魔法の世界に転移させてくれるとは一言も言ってない…
「あの、神様。転移場所は剣とま「勿論勿論！転移してもらうのは剣と魔法の世界ですよー！」
ほっ、良かった。これも俺の杞憂だったようだ。うーん、まぁ取り敢えずこんなもんかな、
「神様、決めました。俺、異世界に行きたいですっ！そんな最高の条件で2度目の人生を送ろうとしない、なんて勿体ないって話ですよ！なので、よろしくお願いしますっ！」
「お！そう来なくっちゃですねー！いいですよー！……ではではー！早速転移のゲートを〜、よいしょっと」
神様は手を前に突き出すと、そう言いながら黒色の、そうまさにゲートのような物を作り出した。
「はい！準備完了！！あのゲートの先が異世界、アルヴァレに繋がってるから！心の準備とか？そういうの出来たらどうぞ！あー、あとは、まだ質問あるなら受け付けるよー」
ふむ。1つ、さっきからめっちゃ気になってる事があるんだが、
「あの、なんでそんなハイテンションなんですか？」
「えっ？あーうーん。ごめん自分でも気づかなかったよ。そっかーテンション上がっちゃってたかー。いやね、今まで異世界に転移させてあげるなんて事、やったことない事だったし。いやまあ、とにかくすっごいキャンペーンなのよ、だからかなー？」
なるほどな。てっきり結構やってる事なのかと思ったが、初めての事だったのか。
「あ、そういえば。重要なこと言い忘れてたよ。君の体は脳への損傷が大きすぎて、器としては使えなそうだから新しい奴用意しといたよ！」
「あの、それって「もっちろん！ちょいと美形にしといてあげたぜ！」
神様はそう言ってサムズアップした。
か、神様…神様マジ最高です！！
向こうに行ったら絶対、信仰します！！！
で、あとはー
うん、異世界転移と言ったらあれだよな
「あの、チートは出来るんでしょうか。」
そう！異世界転移と言ったらチートだよねっ！
「あー、チートかぁ。うんまぁ、オーケーだよー！」
「マジですかッ！？」
「マジだぜ！！」
神様はそう言ってまたサムズアップした。
いやもう、神様マジ天使！
いや、神様マジ神！！
質問は…
まぁ、こんなところかな。
「神様。そろそろ行くことにします！」
「おっ、もう質問は大丈夫なのー？」
「はい、聞きたい事はすべて聞けました！」
「そっかー、じゃあいってらっしゃーい。」
神様はそう言って手を振って見送ってくれた。
「はい、ありがとうございました！行ってきます！」
俺は神様に頭を下げてから、ゲートを潜った。
