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原初吸血鬼

「そういえば、キリヤお前この刀に興味もってなかったか?何かの業物だったりするのか?俺刀には詳しくなくてな…。」


実はこの刀、俺が『鑑定』を用いて調べてみたのだが、唯一わかったのが蒼い方が火雷(ホノイカズチ)、紅い刀が迦具土(カグツチ)であることだけ。異能もあるにはあったのだが、まだ表示されていなかった。


ランクも表示不能となっていたが、ただの刀を家宝として大事に置いとくとも思えない。

『鑑定』よりランクが上の『大鑑定』でも同じ結果であり、行き詰まっていたのだ。


「いや、恐らくその刀、業物に名前を連ねるものではない。だが、昔、まぁ、昔といってももう300年ほど前だが、似たような刀を一度みたことがある。」


「300年も前から生きているのですか!?」

驚いたシズカはつい声を張り上げる。

俺も同じ事を思ったけども。今はそこじゃないんだ。


「それは、人が作れる刀ではないのじゃよ。」


この、なんと切り返したらいいのかわからない空気を破ったのエルダー・ドワーフのじいさんだった。


「すまないのじゃ。急に話に割り込んでしまって…。剣のことになると、ついのう。

ワシの名前はパルケ・ダビドフ。遠い昔に滅びた国で名の通った鍜治師をしとった。国が滅んで転々としておったが今はこの有り様じゃがの…」


じいさんは、カッカッカッと笑いながら、頭をポリポリとかき、そう告げた。確かにステータスをみると鍜治lv.10とカンストしている。


「いや、いいんだ。だが、どういうことだ?じゃあ、誰がつくったんだ?」


「おるんじゃよ。作れんがなれる(・・・)やつらがのぉ…。」


「どういうことでしょうか?なれるとは?」


シズカは気になってしょうがないようだ。

そして、じいさんは遠い昔を思い出すような目をして語り始めた。

「その昔、暗黒大陸と今で言う人間界は、ある少数の種族が支配しておった。その種族の数なんと、2000人。そや


「に、2000人!?ソリティア王国にいる人間の数だけで4億人ですわよ?人間界で見れば人間だけで50億人はいるというのに…。」


み、見事に遮った…。どうせ割ってはいるなら、今刀とこのはなしの関係性を聞いてほしかった…。

一応、いっておくが人間界というのは俺たちがすんでいたような暗黒大陸を除いた地域だ。


「そうじゃ。そやつらは一人でも絶大な戦闘能力を誇っており、たった一人でも他の魔王種や魔王どもと張り合えるほどに…。特に彼らの王は異常であった。噂では一人ですべての魔王を同時に相手取れるとも、神とも競り合えるとも言われておった。

また、賢王でもあった。どんな人種も民として迎え、民を一番に大切に思い、民のために動くそんな王じゃった。」


「それは、どの種族ですか?今頃どこか有名な魔王をされているのでしょう?私は王国ができた暁には、その魔王と同盟を結ぶべきだと思うのですが!」


と、シズカ。彼女、実はこの手の、今はない昔の話とか物とか大好きだ。


「おらん。200年前に彼らの王は殺されたのじゃ。」


パルケの表情からは怒りと悲しみがが見て取れた。


「すべての魔王を敵に回しても勝てるほどの魔王が一体どうやって…?」


シズカは率直な疑問を口にする。


「世代交代の時にすべての魔王と人間界の王から狙われたのじゃ。」


「彼らの能力は彼等の一族ごとに伝わる名を継承することでその真価を発揮する。すなわち、継承が終了する前を狙われると、そこまでの力を発揮できん。」


「ですが、その時には先代の魔王が!」


と、ここですかさずシズカが口を出した。


「ここがこの種族の特徴、そして今回のはなしになったきっかけじゃ。」


「彼らは、継承することが決定すると、自身の命全てを込め、武器や防具になる。まさに命をとして。

この武器には、自身の一族の血と名前を持つもののみが真価を発揮することができるようにと仕組まれておる。

まさに、正しい心を持った正当後継者のみが使える武器じゃな。

じゃが、その時はそれが仇となり、彼らの王は真の力を発揮できずに世界と戦うことになってしまった。」


「そ、それでどうなってしまったのですか!?王は!」


いつの間にかシズカ、国民の気持ちになってる…。


「その状態の王には、守るものがおおすぎたのじゃ。ついには彼は自身の命と引き換えにすべての国民の命を救った。」


「か、彼らは今!?」


シズカ、もう、のめりこんじゃってるよ…。ダメなやつだこれは…。


「その後。煙のように姿を消した。どこかに逃げ延びている。王の子孫を探し再興を狙っているとも滅んだとも言われておる。」


「何故、お主がそのような代物を持っておるのかは存ぜぬが、ワシはお主が持っておるその刀に彼らが使っておった武具と同じ物を感じる。ワシがみたものよりお主のものの方がいささか格が上の気もするがの…。」


「我も同じ意見じゃ…。」


今まで黙って聞いていたキリヤも口を開いた。

代々伝わる家宝と聞いていたため、とても古いものだとは知っていたが、こんな歴史あるものかもしれないとは…。


「だが、仮にそうだとしてなんでそれがうちに…。」


「それは、ワシにはわからんがな…。」


「汝は少し匂うから、その辺と関係あるのかもしれぬな…。」


ここで匂いを、持ち出すのは謎だ。

それはおいといて、ダメもとでもいい、とにかく、俺はそいつらを探したい。そして、この刀について知りたい。


「パルケ、キリヤ。その種族の名前は?」


彼らは口を揃えてこう答えた。


「「原初吸血鬼プリモディアルバンパイア」」

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