道中にて
魔法の設定を最初つけてたのですが、ごちゃごちゃしてくるので取り敢えず外します。
すみません。
まず、国を作るためには国民と土地が必要だ。
国民に関してはあてがある。
まず、先にすべきことは王国を作るための土地を探すことだ。他の王国や帝国の中に勝手に王国を作るわけにはいかない。したがって、まだどこの国も手を出していない未開発の土地に手を出す必要がある。しかも、食物が豊富な地域でなければならない。
と、なると選ぶべき土地は1つしかない。
暗黒大陸だ。
そこは、ソリティア王国から海を隔てたところに存在する世界でもっとも大きな大陸である。
しかし、どの国もこの大陸に手を出さないのには理由がある。
この大陸には、Sランク級の魔物がうじゃうじゃと住み着いているのだ。
それどころか、話によれば幻獣種や、魔王種、魔王までもがまでもが縄張りにしているという。
因みに、魔王種というのは、魔王になる資格のあるものたちのことを言うらしく、これになるためには一定数の配下が必要らしい。
その魔王種たちが魔王になるための条件は明らかになっていない。
とにかく俺が言いたいことはこのような化け物たちがいる場所に行くしかないということだ。
「とにかく、キャンベルに向かいましょう。」
シズカが俺にそう告げる。
キャンベルとは、ソリティア王国とサラマリン公国の間にあるどちらにも属さない、商人や冒険者が多く集まる商業都市だ。
そこでは、あらゆる地方のものが持ち込まれ売買される。
また、暗黒大陸に向けて唯一船が出ている場所であり、暗黒大陸から連れ帰った珍しい魔物や奴隷などが売買される。
そう。つまり、俺たちが暗黒大陸に行くためにはここに向かわなければならないのだ。
そして、俺達はこの場所でもう1つしなければならないことがある。それは、国民の確保だ。
この場所には暗黒大陸からの奴隷も多く売られている。俺は彼らの生きるための知恵が欲しい。
そんなことを考えていると、
「クレル様?聞いてますか?」
そういったのは、頬をプクッとわざとらしくふくらましながら俺の前に立ちふさがるシズカだった。
これからのことに必死すぎて回りの事にまで意識が言っていなかった。これがわざとでないというのだから、困ったものだ。
「どうした?シズカ?」
なるべく平静を装いながら俺はそう訪ねる。
「今回、クレル様が手にいれた異能はいったいどのような能力なのでしょうか?」
そういえば、まだシズカに能力の事を話していなかった。
「俺が授かった能力は『常識』と『富国強兵』だ。
まず、『富国強兵lv.1』という能力は、俺が配下もしくは仲間と認めたものの能力値や、潜在能力、異能の力を大きく上昇させるという能力だ。
そして、『常識lv.1』という能力についてだが、俺が常識だと認識した物を常識にする異能らしい。
ただし、これには条件があって一度に変更できる常識は2つまで。そして、常に変更した常識には意識を向けておかなければいけない。
例えば、石が飛んできた際、危ないなどと別のことに意識を向けた瞬間、異能は解除されるというものだ。」
俺が長々とした説明を終えると、目をキラキラと輝かせたシズカは俺の肩をガシッとつかむ。
「どちらも、素晴らしい能力です!特に『常識』は今でこそなかなか個性の強い能力ですが、まだlv1。これからがたのしみです!」
驚いた。シズカは普段こんなに自身の感情を表に出すタイプではない。俺の肩を握る手のひらの柔らかい感触と熱が布一枚を挟んで伝わってくる。俺は、その温もりを感じながら固まっていると、
「すみません。つい、興奮してしまい…。ただ、不思議ですね?今さらこんなに強力な能力が芽生えるとは…。」
シズカは、そう疑問を口にした。あぁ、手が俺の肩を離れていく…。もう少し温もりを感じていたかった。が、そんなこと言えるはずもなく。
「そ、そうだな。だがむしろ逆かもしれない。どんな異能でも開放するには、その異能ごとに決められたステップを踏まなければならない。そして、それは異能のランクに応じて難易度があがる。だから、強力な異能程取得するのに時間がかかることが多いんだ。それに、俺は人より長生きするからその辺も関係あるのかもしれないな。」
ちなみに、多分今回の俺のステップは『常識』の方が今まで誰もしなかった道を切り開く非常識な行為を行ったことだろう。
すなわち、王子という地位を自ら捨て新たな国を作ろうとすること。
そして、『富国強兵』は自分をトップとする仲間を作ったことだろう。
だから、どちらも国から出るということが決まったことで開放されたのだろう。
その説明を聞き、納得したように頷くシズカ。
「そういうことだったのですね。納得がいきました。私も同じ世代のものたちと比べれば遅く開放しましたもの。
そういえば、クレル様はハーフでしたね。」
シズカは俺の母親譲りの目を覗きながらそう呟く。天然なのかわざとやっているのか顔が近い。俺は恥ずかしさを隠すため、顔をそらしながら、
「あぁ、ハーフではなく、クォーターだがな。」
そう、詳しくは知らないが俺は、母方のお祖父様が人間ではないらしい。これが人より寿命が長い理由だ。ちなみに、俺はこれが魂球がない原因出はないかと踏んでいる。
そんなことは今の俺にはどうでもよく早くキャンベルにつくことを願った。
これ以上一緒だと俺の欲望が口に出てしまう…。
そうこうしているうちに、キャンベルが見えてきた。