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2.状況確認


 俺の名前はクラウド、んで赤ちゃんである。

 当然だが、まだ歩けないし、首も座ってないので自分では身動きが出来ない。

 でも、話すことは可能だ。

 こんなことは、現実では絶対にあり得ない。

 そしてここは、俺の知らない世界だ。

 そう、異世界だ。

 どうやら、俺は異世界に転生したらしい。

 地球での最後の記憶が飛行機の墜落事故だから……俺は元の世界では死んだことになっているはずだ。

 家族の事はもちろん心配だが、俺はもう死んだのだ。

 それにこの体では……元の世界に戻ったとしても、合わす顔などないしな。

 という訳で、まずこの世界でやって行こうと思う訳だが……。


 異世界って言ったら定番のアレが無いのだ。

 アレだよアレ!

 異世界っていったらステータスでしょ?

 んで、冒険者ギルドで依頼をもらってさーレベルを上げるんだよ?

 Sランクが一番強くて、次いでABCDってランク付けされてさ。

 それでダンジョンだよダンジョン!

 無いんだよダンジョンが!ギルドが!ランクが!ステータスが!

 この世界にはそれらが一切無いんだよ!?


「ステータスですか?何でしょうか?」

「ほら、冒険者ギルドで自分のレベルやランクが分かるやつ」

「冒険者?ギルド?そんな職業は聞いた事がありませんが。クラウド様は、冒険が好きなのでしょうか?」


 マリアーナ王妃は小首をかしげて答える。


 無いのかよステータス……。


 ステータスがダメでも、異世界っぽい事は確認出来た。


 ――亜人種の存在と魔法だ。


 亜人種と呼ばれる種族は、主にドワーフ等の小人族、動物の姿に近い獣族がいると聞いた。

 うーん、これぞファンタジーって感じが出てきたな。

 それに、この世界には魔法使いがいるらしいから、ステータスやギルドが無いのが惜しい所なんだよな。

 ゲーム的要素が何もないじゃん。

 平和で、倒す魔物もいないし!

 最近流行りのラノベとかじゃ異世界=ゲームの中みたいな風潮があって、ゲーム的要素が俺は好きだった。


「あー……せっかくの異世界。レベル上げとかやりたかったなぁ」


 まぁ……魔法だけでもあるらしいから良しとするか。


 それから俺は、この体が動けるようになったらこの世界の魔法というものを調べてみる事にしたのだった。



◇◆◇◆◇◆◇



 1年が経過し、俺は1歳となり一人で立てるようになった。

 もう一人で歩けるので、成長は早い方だと思う。

 もっとも、生まれて3ヶ月で話せるようになったので早いも何もないが。

 だが、これで自由に魔法に関する情報を集める事が出来そうだ。


 俺に用意されている部屋は、この国の王城の離れにある一角だった。

 そして、俺の部屋に出入りする人は王妃と姫と世話人の3人のみだったので、この一年はやることも無く結構暇だった気がする。

 それでも、本を読んでくれたり、この国の文字を教えてくれたりしたので、本は読めるようになっていた。

 文字は違うのに言葉が通じるのが不思議で仕方なかったが……。


 それはそうと、魔法を調べなければならないのだ。

 その為の文字の知識は得た訳で。


 俺は、これまで教えてもらった魔法に関する話を思い出してみた。


 たしか……魔法使いになるには、魔法の素質が無ければならず、素質の無い者は絶対に魔法は使えないだったな。

 その素質を見極める方法までは教えてくれなかったが、通常は子供が5歳になったら見極めの儀が行われるらしい。

 あと4年も待ってられないし、方法だけでも知りたいと思ったので自分で調べてみる事にした。

 体が小さいのでドアを開けるのとか苦労したが、王城の離れから城内へ行き書庫を漁る。

 書棚の上の方とか届かない範囲は、必要なら移動式階段を使用すれば手が届いた。

 その本を見つけた時には捜索から1ヶ月は経過していた。


「みつけた!『なれる魔法使い 第一章』って資格本!?」


 魔法使いになる第一歩は見極めの儀から始まる。

 ――見極めの儀の攻略方法。

 管理官に魔法使いの素質を見極められなければ、魔法使いへの道は閉ざされてしまうので、ここが重要なポイントです。

 素質を見極められるように頑張りましょう。

 ――魔法使いの素質とは。

 その人が魔法を使えるかどうか魔力計を使って計測します。

 魔力計の値が100メモリ以下なら素質が無いので諦めましょう。

 魔力計の値が100メモリを超えていたら素質有りとして魔法使いへの道が開けるでしょう。


「これだ!」


 ステータスという概念は無かったが魔力計が存在する事が分かった。

 でも、100以下ならこの本……なれない魔法使いだろ……。


 あとは魔力計を探すだけだ。


 結果から言うと、魔力計はあっさりと見つかった。

 俺の部屋に置いてあった体重計と思っていた物が、実は魔力計だったのだ。

 早速、魔力を計測してみる事にしたが……。

 その結果は、既に知っていた。


 魔力計の値…… 5。


 壊れた体重計だと思っていたので、身長が伸びても値が上がらない事に疑問を感じていたのだが、これで判明したという訳だ。


 一般人でも50~100はあるらしいので、この値は一般人以下の値となる。

 ただ、見極めの儀自体が5歳で行われるので、まだあきらめるのは早いのかもしれないが……。


「才能ある人は、大抵生まれつき魔力が1000以上はあるらしいですよ?」


 マリアーナのそんな言葉を聞いた事を思い出した俺は、魔法使いへの道をあきらめざるを得なかったのだ。


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