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1.プロローグ

一応? 新作です。


 俺の乗る飛行機の中はパニック状態だった。

 ホノルル発羽田行の飛行機はホノルルを出発後、エンジントラブルを起こして、片側エンジンでの滑空に切り替わっていた。原因は良く分からないが、バードストライクでもあったのか…… とにかく、俺が命の危機に晒されている事は間違いなかった。


 クソッ……だから飛行機って奴は嫌いなんだ!

 全く、なんで……!なんで、こんな事になってしまったんだ!


 客室乗務員は「落ち着いて下さい!」と叫んでいるけど…… 乗客の悲鳴と神に祈る叫びが、俺の心を折りにくる。


 上から落ちてきた黄色い酸素マスクを付け、機内は蜘蛛の巣のような状態だ。

 飛行機の高度が下がったり上がったりを繰り返し、恐怖が機内を支配していた。

 破滅へのジェットコースターのカウントダウンは、既に始まっていたのだ。


 今年で32歳になる俺は、普通の大手企業のサラリーマンだ。

 ハワイに出向中、俺のリストラの話を同僚の小原から聞きつけ、本社に直談判する為に、この飛行機に乗り合わせた結果がコレだ……。


 流石に俺の運の悪さには辟易する。

 ……もし、本当に神がいるというなら助けて欲しい!

 俺には、妻と7歳になる息子と5歳の娘がいる!

 ここで死ぬ訳にはいかないんだ!

 助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!

 助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!

 助けてくれ!!!助けてくれ!!!!助けてくれ!!!!助けてくれ!!!!


 ドーーーン!!!

 と、機体後方から爆発音が聞こえた。

「「「「キャァァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!」」」」

 機内に複数の悲鳴が上がる!

 終わった!――と思った。

 あーーーー!!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!!!!


 涙で視界が悪く携帯の画面が良く見えない、必死にボタンを押す。

 これしか……もう、俺に出来る事は無かった。


「あぁ……ごめんよ亜理紗 実と……真由を頼む……」


 飛行機の高度は見る見るうちに下がっていき……海が迫る!


 瞬間!全身に衝撃が走り、俺の世界は闇に閉ざされた。



◇◆◇◆◇◆◇



 目が覚めると、俺は天蓋付きのベッドに寝かされていた。

 王宮というのが適当なのか……見事な金色の装飾の部屋に豪華な刺繍の入った天蓋付ベッド。


 ――天国か?


 あの状況下で、俺が生きている筈は無い。

 乗っていた他の乗客も全員死んだと思う……。


 でもこの状況は何だ?

 天国にしては生々しい現実感。

 いや……そもそそも天国というものを知らないので、なんとなくだが……。

 夢か?夢ならこのまま覚めないで欲しいし、あの壮絶な現実に戻るなんてのは絶対嫌だ。

 そんな事を考えていたら、ふと天蓋の薄い布地の外から声をかけられた。


「目覚められましたか? 勇者様」


 声をかけられた方を見ると黄色いドレスを身に纏った綺麗な女性が立っていた。


「はい?勇者?」


 いや……俺は勇者じゃないし……。

 後ろを振り返るが、この部屋には他に俺しかいない。


「私はスタール王国の王妃マリアーナと申します。此度は、娘アムレイシアの命を助けて頂き有難う御座います」


 マリアーナはそう言うと深々と頭を下げた。


「は?」


 スタール王国? 俺が助けた? どういうことだ?


「でも……流石は勇者様です。赤ん坊の姿で召喚なされた時はどうしようかと思いましたが……娘の病気はお蔭さまで快方に向かっているとの事」


 もはや意味不明だし?


「俺が赤ん坊だって?まさかそんな事があるわけ……」


 ――まさかと思い自分の体を確認してみると……俺の体は……なんと赤ん坊の姿に変わっていたのだ。


「えぇえええ!? 本当に俺……赤ちゃんだし!?」


 ――しかも話せる赤ん坊って何だよ!?


「例え赤ん坊のお姿でも勇者様は勇者様です」

 

 それから事情を詳しく聞くことになる訳だが。


 アムレイシア姫は今年5歳を迎えたばかりなのだが、病気を患っており余命いくばくもない状況であったようだ。

 そこで最後の手段として、俺が召喚されたという訳らしい。

 召喚後の姫は徐々に体調も良くなっており、俺は命の恩人という事になっているようだった。


 そこで気になったのが召喚されてから、どの程度時間が経ったのかという事だ。

 徐々に体調が良くなったという事は、かなりの日数が立っているのではないか?と考えられる。


「俺が召喚されてからどのくらい経ったのか教えてほしいんだけど」


 マリアーナ王妃は少し考えるようなそぶりを見せると、天使の微笑みで答えた。

「そうですね……召喚の儀式が行われたのは、3ヶ月ほど前の事になります」


「そうですか……」


 そんなに俺は気を失っていたのか……。


「クラウド! お話しできるの?」


 ベッドの下から何だか可愛らしい声が聞こえたが、ここからはよく見えなかった。


「アムレイシア お礼を言いなさい」


 マリアーナ王妃が、ベット下にいるアムレイシアにお礼を言うように促すと。


「クラウドありがとう! アムは元気になったよ!」


 アムレイシア姫は命の危機があったなんて考えられないような元気な声でお礼をしてきた。


「クラウド?」


 アムレイシア姫は俺の事をクラウドと呼ぶようだが……何故だろうと考えて、俺がまだ名乗っていないことに気が付いた。


 そういえば名乗ってなかったんだな。3ヶ月も寝てたら名乗ることも出来ないが。


「赤ん坊でしたので、勇者様につけさせていただいた名前です。お嫌でしたか?」


「いや、確かにそうなるんだろうけどね、俺の名前は……いや、クラウドでいいか」


「では、クラウド様と呼ばせてください」


「よろしくね!クラウド」


「よろしく頼むよ!姫様」


 こうして異世界での俺の生活が始まったのだった。




面白かったら続きます。

よろしくお願いします!


まだプロローグですが。

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